1. トップ
  2. レシピ
  3. “整うカレー”で夏を乗り切る!虎ノ門『Spice and Vegetable 夢民(ムーミン)』

“整うカレー”で夏を乗り切る!虎ノ門『Spice and Vegetable 夢民(ムーミン)』

  • 2025.7.17

皆さん、ごきげんよう。LIVING東京地域特派員の西村美鈴です。

連日の猛暑に見舞われているこの頃。照りつける日差しに体力が奪われますね。この時期、冷たい麺や喉ごしのよいあっさり系に頼りがちですが、実は“スパイス”の力が夏の不調に効果的です。巡りを整え、食欲を刺激するスパイスは、まさに“夏の食養生”の立役者。

今回ご紹介するのは、そんなスパイスの力を、野菜とともに味わえる虎ノ門の人気カレー店『Spice and Vegetable 夢民』。1978年に早稲田で誕生し、惜しまれつつ一度幕を閉じた伝説のカレー店が、“スパイスと野菜”をテーマに、現代版として虎ノ門で2023年から再始動しています。

彩りも香りも満たされる、14種の野菜カレー

看板メニュー『14種の野菜カレー』は、単に品数が多いだけではありません。素材に合わせて「揚げる」「焼く」「茹でる」「生のまま」など異なる下処理を施し、味・食感・香りに多彩な表情を持たせています。

なかでも印象に残ったのが、切り干し大根のフライ。カリッと香ばしく揚がったその一品は、スパイスの香りと相まって、見た目からは想像できない奥行きのある味わいに驚かされました。

さらに、今回使用されていた白いにんじん(カラフルにんじんの1種)も特筆すべき存在。一見すると控えめであっさりした印象を与えますが、実際に口にするとその味の濃さと深みに驚かされます。甘みと土の香りがしっかりと感じられ、まさに“見た目に反して力強い”一本でした。

夢民では、これらの野菜の多くを全国の契約農家から直接仕入れており、規格外野菜も積極的に活用しています。見た目にとらわれず、「野菜そのものの価値」を見つめ直すような一皿に、店の信念が込められています。

まさに、野菜を食べる楽しさと、驚きが共存するカレー。一口ごとに、「こんな野菜の表情があったのか」と気づかされる時間でした。

出典:リビング東京Web

その日の旬の野菜を、揚げ・焼き・茹で・生など多彩な調理法で。見た目も味も豊かな「14種の野菜カレー」。

出典:リビング東京Web

仕上げはスパイス香るルゥをたっぷりと。野菜とスパイスの一体感が、体にやさしく染み渡る。

名物の進化系。ネオ・カツカレーの完成度

もう一品、名物として名高い『ネオ・カツカレー』もいただきました。名前のとおり、伝統的な夢民のカツカレーを現代的に再構築した人気メニューです。

使用されているのは、北海道産の銘柄豚「神威豚(かむいとん)」。ハーブスパイスに漬け込まれたカツは、衣はさっくり、中はとてもジューシーで、脂も重くなく、豚肉の旨みをダイレクトに感じられます。

そして、驚くべきはそのカレーとの一体感。夢民特製のルゥは複雑なスパイス構成でありながら、辛さだけに頼らず、深みとやさしさを併せ持つ味わい。このルゥとカツ、具材のバランスが非常に良く、最後の一口まで飽きさせません。

具材は、ポパイカレーに由来するほうれん草・トマト・スクランブルエッグ。トマトは甘みのあるカゴメ社のイタリアントマト、ほうれん草は宮崎県産など、素材選びにも一切妥協がないのが伝わります。

カツ、ルゥ、野菜、それぞれが主役となり、同時に一皿の調和を生み出す──。まさに夢民の「進化形カツカレー」としてふさわしい完成度でした。

出典:リビング東京Web

北海道産「神威豚」のカツが主役。夢民ならではのスパイスルゥと具材が織りなす“進化系カツカレー”。

カレーに寄り添う“主役級”のドリンクたち

スパイスカレーの魅力をより一層引き立ててくれるのが、夢民が提供するこだわりのドリンクたちです。どれも単なる“添え物”ではなく、カレーと並んで味わうべき主役の一杯として用意されています。

まずはラッシー。使用されているのは、店内で仕込まれた自家製ヨーグルト。濃厚でありながらも爽やかな酸味があり、スパイスの余韻をやさしくリセットしてくれます。甘さ控えめのバランスが絶妙で、スパイスカレーとの相性の良さを実感できる、大人のための一杯です。

そしてもう一つ、印象に残ったのが自家製ジンジャーエール。ひと口含めば、生姜のシャープな香りと刺激がじんわりと広がり、体の内側からリフレッシュするような感覚に。特に注目したいのは、トッピングとしてたっぷり添えられている生姜のピール。その存在が香りと風味をさらに引き立て、見た目にも個性を加えています。

さらに、夢民ではアルコール類も豊富に揃えており、輸入ビールやハイボール、カルダモン焼酎といったラインナップは、カレーとの新しい組み合わせとしても魅力的。「カレーで一杯」という、新しい食の楽しみ方がここにはあります。

カレーとともに、“飲む楽しさ”まで丁寧にデザインされた夢民のドリンク。そのどれもが、料理と同じくらい真摯に作られていることを感じさせてくれるものでした。

出典:リビング東京Web

左:自家製ヨーグルトを使用した濃厚ラッシー、右:生姜ピールたっぷりの自家製ジンジャーエール。スパイスカレーにぴったりの“主役級”ドリンク。

『カレー=早食い』のイメージを覆す空間と想い

夢民が提供するのは、ただの食事ではありません。「カレー=手早く食べる料理」という固定観念を覆し、ゆっくり味わう“余白”の時間が流れる空間を整えています。

店内のインテリアや照明は落ち着いた雰囲気でリラックスでき、タブレットには素材や背景ストーリーが丁寧に記載されており、「知って味わう」楽しみが加わります。

かつて西早稲田で「学生に野菜を」とスタートした夢民の精神は、虎ノ門でも変わらず、今度は「オフィスワーカーに野菜を」とかたちを変えて受け継がれています。

ちなみに、西早稲田時代の味を懐かしんだ大学教授が、ブラジルから来店したという驚きのエピソードも。夢民のカレーは、美味しかった記憶と時間、距離さえも超えて、人の心を動かす存在なのです。

出典:リビング東京Web

落ち着いたトーンとグリーンが印象的な店内。テーブル毎の間隔も広く、“整う”時間を味わう空間づくりにも、夢民のこだわりが光る。

サステナブルな挑戦と、未来への展望

「スタートアップを応援したい」「農家さんの力になりたい」──夢民のメニューには、そんな思いがそっと込められています。

使われている野菜の多くは、千葉県をはじめとする全国の農家から届く、“規格外”や“希少”なものたち。「形が綺麗じゃなくても、具材としてすべてカットするので問題ないんです」という考え方には、見た目にとらわれず本質を大切にする姿勢がにじみ出ています。その柔軟さと実行力が、多くの生産者にとっての支えとなっています。

さらに、月替わりのカレーや季節ごとのドリンクなど、訪れるたびに発見のある提案も継続中。日々の食事に、ちょっとした彩りと楽しさを添えてくれます。

今後は、カレーフェスでの出店や百貨店での催事参加も視野に入れつつ、「無理せず、誠実に」という信念のもとで、少しずつ、でも着実に歩みを進めていくといいます。

一皿のカレーから始まるサステナブルな選択が、これからも静かに、そして確かな力で広がっていく──そんな未来を感じさせてくれるお店でした。

元記事で読む
の記事をもっとみる