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【半日でめぐる大倉山グルメ】大人の「ひとり時間」を満たす、最旬カフェ→人気焼肉店→伝説のバー

  • 2025.7.13

50代、人生も佳境。見知らぬ街・大倉山に越してきた、とあるおじさんの休日。

妻は地元の友人に会いに、娘は部活とお遊び。突如訪れた暇を持て余し、街を探索しようと、彼はのそのそと家を出た。

【PROFILE】
東京カレンダー


渋谷の某企業に勤める52歳。ひとり娘が中学に上がるタイミングで手狭になった都心の賃貸マンションから越してきた。

大倉山に土地勘はなかったが、妻の実家が港北区のため、周辺で物件を探したところ、大倉山駅徒歩約10分の新築戸建てを発見。今春から新生活を始めている。

忙しい妻と娘の不在中、不意に訪れたひとり時間


空ってこんなに近かった?商店街を歩いて驚いた。日差しが眩しく、街は輝いている。白い建物が多い?

思いを巡らせつつ歩いていくと、カフェを発見した。やっぱり白い。

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「今日のシングルオリジンはパナマにあるエリダ農園です」とバリスタらしい男性。本格的で唸る。

聞けば、彼は恵比寿の『猿田彦珈琲』で長く店長を務めたプロ。上の階には古着店とヘアサロンもあるという。洒落ているじゃないか。

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定番で薦められた「ドッチモ。」という名のスイーツは自家製プリンをスコーンでサンドしたスタイル。上品な甘さで気に入る。

気さくな彼に聞いたのだが、この商店街はアテネと姉妹関係にあって「エルム通り」と呼ばれるそう。建物のデザインルールも多く、外壁は白が基本で、高さ制限などもあるらしい。

だから、空が近いのか。ふたりにも教えてあげよう。

50代の初体験。挑むは「孤独のグルメ」風情


正直、ひとりのごはんはあんまり得意じゃない。食事って喜びを分かち合う相手がいるから美味しいわけだし。

けれど、今日は仕方ない、いざ、ひとりメシ。気になる店は見つけてある。カウンターしかない焼肉屋。結論から言うと、これが大正解だった。

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何より、女将がいい。付かず離れずの心地良い距離感でいろいろと気にかけてくれる。

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まずは名物の「アツタン」。厚さに驚いていると「両面だけでなく側面も焼いてくださいね、パンパンに膨らんでくるまでじっくり」。言われるまま焼けば最高。

次を迷っていると「男性ならホルモンかな、味噌ダレがビールに間違いなく合いますから」。

絶妙のタイミングで教えてくれる。

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楽しんでいると暖簾からスーツ姿の男性がひょっこり顔をのぞかせ、女将に「今日、イケる?」「大丈夫ですよ」「じゃ、着替えてくるわ」。

そんな手もあるのか。ひとりでも入りやすいこんな店があるなんていいじゃないか、大倉山。

家族としての私もあって、男としての私もある


ひとり焼肉は大満足だった。女将によると、週末は家族も多いそうだから、今度ふたりを連れ出そう。きっと喜んでくれる。

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帰ろうと歩き始めたそのとき、ふいに「あと一軒」。そんな欲が頭をもたげた。今晩はふたりとも遅くなる。ならば、もう少し飲んでもいい。

自然と足はある場所に向かっていた。以前、野毛には行ったことがある本格バーで、姉妹店が大倉山にあることは知っていた。

読書しか趣味らしい趣味のない自分にバー巡りは唯一の道楽だった。ただぼんやりしたい夜は決まってバーを訪れた。何より、いるだけで紳士になれる、あの空気感が良い。

大袈裟に言えば、男の人生に不可欠な充電時間。気付けば、件のバーの扉の前にいた。

静寂に包まれて過ごす、ひとり時間の充実に酔う


広い。それが第一印象だった。テーブルがあって野毛より席も多く、歴史ある英国パブのような気品も漂っている。オーナーの重鎮バーテンダー氏も笑顔で迎え入れてくれた。

カウンターに陣取ると、クールビューティな女性が颯爽と対応してくれた。

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今夜は、偵察がてら、軽く一杯だけ飲むことにする。ショートカクテルでオススメは何か尋ねる。

「では、マティーニはいかがでしょう?」

二つ返事でお願いした。

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仕上げに、指先の所作も美しく、レモンピールをひと搾り。

冷涼な香りが素晴らしく、口にすると意外にもすっきり。ドライベルモットの華やかな香りがふわっと鼻に抜けて心地良い。美味しさを素直に伝えると、口元がわずかに緩んだように見えた。

平日は会社帰りに立ち寄る人も多く、老若男女を問わず、ひとり客中心だそう。確かに静寂に包まれたこの空気感は、賑やかな都心から帰った心身をリセットするにちょうどいい。

また来る旨を伝えながら見るのを忘れていた携帯を確認すると、LINEの未読が何通も。お会計したらチャージなし。さらに贔屓にしたくなった。

愛する地元で家族と暮らす。そんな幸福で満たされた街


大倉山には名に違わず、山がある。標高は40mほどだが、公園として整備されていて記念館もあるらしい。

すべてバリスタ氏の受け売りだが、ほろ酔い気分でバーを出るとこの坂が聞いていた山への経路だと気付く。かなり急な勾配。少し上って、息が切れた。今日のところはこのくらいにしておこう(笑)。

そろそろ妻も娘も帰ってくる。踵を返し、坂を下ると、電車が入っていく駅の向こうに、マンションや戸建ての住宅が立ち並んでいる。

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これが大倉山の街か。都心と違い高層ビルがほとんどない分、家々の息遣いがよりリアルに感じられる気がする。

この明かりの一つひとつにそれぞれの人生があり、幸福がある。早く帰ろう。また明日から日常が始まる。

物語で大倉山おじさんが訪れたのは…… 『STAY FRESH COFFEE&FOODS』

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オーナーの船山琢夫さんが同じ横浜出身の仲間たちと一棟を使ってオープン。

1、2階でスペシャルティコーヒー(¥600~)と軽食、2階には古着店、3階にヘアサロンを併設し、「街のしがないライフスタイルショップ」を名乗る。

■店舗概要
店名:STAY FRESH COFFEE&FOODS
住所:横浜市港北区大倉山3-2-31 フォーチュン大倉山 1~2F
TEL:045-834-4300
営業時間:11:00~21:00(金土~22:30)
定休日:火曜
席数:カウンター2席、テーブル18席、テラス8席

『焼肉家あいちゃん』

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店主・小林あいさんのフレンドリーな接客を目当てに訪れる常連も多い人気店。注文が入り次第、塊肉に包丁を入れる“切りたて”を提供。

「アツタン」(¥1,700)はタン元を使った名物で、迫力満点だが驚くほど柔らかくジューシー。

■店舗概要
店名:焼肉家あいちゃん
住所:横浜市港北区大倉山1-18-6 大倉山ビルA館 1F
TEL:090-3149-8929
営業時間:17:00~LO22:00(土15:00~LO22:00、日祝15:00~LO21:00)
定休日:不定休
席数:カウンター13席

『BAR GLORY 大倉山』

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横浜を代表する伝説的なバーマン、宮内 誠さんが約30年前に開店。

「マティーニ」(¥1,100)はもちろん、ホワイトラムベースのオリジナル「デスティニー」(¥1,200)なども人気で、師とともに愛弟子のエミリーさんが腕を振るう。

■店舗概要
店名:BAR GLORY 大倉山
住所:横浜市港北区大倉山2-1-11 キャッスル美研 1F
TEL:045-549-3775
営業時間:18:00~28:00
定休日:月曜
席数:カウンター12席、テーブル10席

■衣装
シャツ¥40,700〈アレッサンドロ ゲラルディ〉、カーディガン¥48,400〈フィリッポ デ ローレンティス〉、パンツ¥25,300〈ブリッラ ペル イル グスト〉、ベルト¥28,600〈アンダーソンズ/すべてビームスF TEL:03-3470-3946〉、時計¥1,188,000〈ゼニス/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス TEL:03-3575-5861〉、メガネ¥50,600〈アイヴァン/アイヴァン 東京ギャラリー TEL:03-3409-1972〉

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