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40年前、“愛するため”に生まれた歌 時を超えて日本中が恋に落ちた“情熱の叫び”

  • 2025.7.20

「40年前の今頃、どんな“愛”が響いていたか覚えてる?」

1985年、日本の音楽シーンはアイドル全盛期から脱皮しつつあり、洋楽では世界的スターがチャートを賑わせていた。“黄金期”と呼ばれる90年代に向けて、新しい音楽の潮流が少しずつ動き出していた。

そんななか、“ひとりの男”が突きつけた、あまりにストレートで、あまりに強烈なラブソングがある。

フレディ・マーキュリー『I Was Born to Love You』(作詞・作曲:Freddie Mercury)ーー1985年4月8日リリース。

この楽曲は、後に彼の所属していたクイーンによって再構築され、2004年には木村拓哉主演のドラマ『プライド』(フジテレビ系)の主題歌として日本中で再注目を集める。日本ではCMやスポーツシーンなどでたびたび使われ、“絶対的な高揚感”を求められる瞬間に選ばれ続けている。

なぜ、こんなにも時代を越えて愛されるのか?その理由を、40年の時を巻き戻して見ていこう。

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

異端すぎるソロ作が刻んだ“爆発的な愛の衝動”

『I Was Born to Love You』は、フレディ・マーキュリーが在籍していたクイーンとは一線を画す“ソロ作品”としてリリースされた1枚目のアルバム『Mr. Bad Guy』からの先行シングル。つまりこれは、バンドではなくフレディ個人の名義によるものだった。

エレクトロ風味のビートと、どこまでも昂ぶるボーカル。そのサウンドは当時のクイーンファンにとって衝撃だったかもしれない。だが、フレディの“本質”がまさにここに詰まっていた。

「生まれてきたのは、あなたを愛するため」ーーなんて、言えない。でも、彼は叫んだ。全力で、真正面から。

圧倒的な声量と熱量で畳みかけるこの曲は、音楽というよりも“肉声の衝動”に近い。愛の賛歌というにはあまりに情熱的で、バラードというにはあまりに激しすぎた。

そのアンバランスさこそが、多くのリスナーにとって心を突き動かす“違和感”として響いたのだろう。

19年後、日本のドラマで再び火がついた“クイーン・バージョン”

この曲が再び脚光を浴びたのは、2004年。木村拓哉主演の月9ドラマ『プライド』の主題歌に、クイーンが1995年に発表した“バンドアレンジ版”が起用されたことで、日本中が再びこの曲に恋をした。

当時の月9といえば社会現象を生むコンテンツだったが、『プライド』において『I Was Born to Love You』は、ただのBGMではなかった。主人公の孤独と情熱、不器用な愛し方に、この楽曲がこれ以上ないほどマッチしていたのだ。

「なんでこんなにピッタリなんだろう」と感じた人は多かったはず。それは、再構築されたクイーン・バージョンが“よりロックに、よりドラマチックに”生まれ変わっていたからこそ。

しかもこのドラマで初めてフレディの存在を知った若年層が、そこから“原曲”や“クイーン”に逆流していく現象が起きた。つまり、一度忘れられかけた名曲が、まったく新しい世代に“発見された”のである。

TVもCMもスポーツも、なぜこの曲に頼りたがるのか?

『I Was Born to Love You』はCMやスポーツ番組など、あらゆる“高揚感が求められる場面”で使われ続けている。ここでひとつ不思議な事実がある。

この曲、実は大ヒットシングルではない。

日本での発売当時も、世界的に見ても爆発的セールスを記録したわけではない。それなのに、なぜここまで“存在感”を放ち続けているのか?

それは、この曲が“人間の感情そのもの”だからだ。

ゆるやかに始まるAメロも、わずかな静寂を挟むブリッジも、すべては“叫び”のために用意された助走だ。終始エモーションは張り詰めており、聴き手に休む隙を与えない。

「愛してる」と歌うのではない。「愛するために生まれた」と、命ごとぶつけてくる。

だから、どんな文脈に載せても、聴く人に「胸が熱くなる」という反応を生む。言葉やシチュエーションすら飛び越えて、感情を直接揺さぶるからこそ、広告や映像との相性も抜群なのだ。

フレディの“遺言”が、40年後の世界で生きている

『I Was Born to Love You』という楽曲は、結果的にフレディ・マーキュリーの“遺言”のような役割を果たしている。

彼が命を燃やしきるように歌い、バンド仲間が彼の死後にその音源を再構築し、さらに別の国のドラマや広告で息を吹き返すーーまるで音楽が生き物のように形を変えながら、40年も旅を続けてきた。

今、この曲をあらためて聴いてみてほしい。

少し息が詰まりそうなとき。誰かに言いたいけど言えない想いがあるとき。胸の奥から、きっと何かが目を覚ます。

フレディの「愛」は、40年経っても、まだ“進行形”なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。