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「放送しちゃダメでしょ…」「とんでもないドラマ」“あまりの過激描写”に抗議殺到…だけど「再放送すべき」切望の声続出の問題作

  • 2025.7.22

ドラマの中には、名作と評価ながらも、さまざまな事情で再放送ができない作品があります。今回は、そんな“再放送が難しいといわれている名作ドラマ”を5本セレクトしました。本記事ではその第1弾として、『ライフ』(フジテレビ系)をご紹介します。いじめ描写があまりに過激で、抗議が2,000件超。“子どもに見せたくない番組”にも選ばれた問題作でありながら、今なお“名作”として語り継がれる理由とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):『ライフ』(フジテレビ系)
  • 放送期間:2007年6月30日~2007年9月15日
  • 出演: 北乃きい(椎葉歩 役)

主人公・椎葉歩(北乃きい)は、親友の夕子(大沢あかね)が志望する高校を目指して必死に努力を重ね、見事合格を果たします。ところが皮肉にも、一番行きたがっていた夕子は不合格に。「あなたなんていなければよかったのに!」という言葉に深く傷ついた歩は、人との関わりを避けるようになります。

新しい高校でも人間関係を築くことをあきらめていた歩でしたが、クラスメイトの安西愛海(福田沙紀)たちに迎え入れられ、少しずつ心を開いていきます。

しかしその矢先、愛海の恋人・佐古克己(細田善彦)を奪おうとしていると誤解され、歩はいじめの標的に。愛海を中心とした女子グループによる陰湿ないじめがエスカレートしていきます――。

累計1,000万部の人気漫画が描いた“いじめ”のリアル

本作の原作は、すえのぶけいこさんによる同名漫画『ライフ』です。講談社の少女漫画誌『別冊フレンド』で連載され、累計発行部数は1,000万部を突破。壮絶ないじめをリアルに描いた作風が話題となり、第30回講談社漫画賞・少女部門を受賞しました。誌面の人気投票でも常に上位に入り、少女コミックの中でも異色の存在として注目を集めてきました。

その人気作が、2007年にフジテレビ系で連続ドラマ化。原作に描かれていたリストカットの描写はあえて省かれ、いじめ問題に焦点を絞った構成となっています。

主人公・椎葉歩を演じたのは、当時16歳の北乃きいさん。ティーン誌の専属モデルを経て、『ミスマガジングランプリを最年少で受賞した北乃さんにとって、本作は初の連ドラ主演作でした。重いテーマに真摯に向き合った演技が高く評価され、第45回ゴールデン・アロー賞新人賞を受賞するなど、女優としての大きな転機となりました。

安西愛海役を演じたのは、後に『SPEC』などで注目を集める福田沙紀さん。他にも、劇中の名セリフで話題になった末永遥さんや、現在、多くの話題作に出演している中村倫也さんも出演。振り返ってみると、豪華なキャストが顔をそろえた作品でもありました。主題歌には中島美嘉さんの『LIFE』が起用され、物語の世界観を力強く支えています。

抗議2,000件の衝撃作

放送開始と同時に毎回12%前後の高視聴率を記録した『ライフ』ですが、現在はFODでは配信されているものの地上波では「再放送が難しい」と言われています。その最大の理由は、ドラマ内でのいじめ描写の過激さ。劇中では、主演の北乃きいさんが演じる主人公が、トイレで水をかけられたり、黒板に「死ね」と書かれたり、教科書をゴミ箱に捨てられたりと、目を背けたくなるようなシーンが次々に描かれました。

放送当時、フジテレビには「いじめを助長している」「子どもには見せたくない」といった声が相次ぎ、抗議は2,000件以上にのぼったといいます。放送倫理・番組向上機構(BPO)にも苦情が寄せられ、日本PTA全国協議会が発表した“子どもに見せたくない番組”ランキングでは8位にランクイン。

その影響もあるのか、地上波での再放送は一度も行われておらず、2010年にCSチャンネル“フジテレビTWO”で再放送されたのを最後に、テレビでの再放送はありません。

一方で、北乃さんの体当たりの演技や、「おめーの席ねぇから!」という強烈なセリフが話題を呼び、若い視聴者を中心に「主人公に勇気をもらった」「自分の過ちに気づかされた」といった肯定的な声も多く寄せられたといいます。最終回は高視聴率を記録し、再放送は難しくとも、いじめと向き合う勇気を描いた名作として、今も語り継がれています。

再放送されないからこそ、語り継がれている名作

本放送から18年近く経った今もなお、語り継がれている『ライフ』。

SNSには、「放送しちゃダメでしょ」「過激すぎて正直つらい」「とんでもないドラマ」といった声も一部あるものの、「過激すぎて再放送NGだけど、好きだった」「いじめ問題が騒がれてる今こそ再放送すべき」「今の時代じゃ無理そうな過激な内容だけど、でもやっぱりドラマはこうじゃなきゃ!」「途中で心が折れそうになったけど、主人公が少しずつ強くなっていく姿に感動した」「マジで再放送して」といった称賛のコメントや再放送を望む声が数多く寄せられています。

再放送は実現していないものの、いじめという社会問題を真正面から描いた作品として、これからも多くの人の記憶に残り続けることでしょう。


※記事は執筆時点の情報です