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『若手教員』の授業を“乗っ取る”元校長「代われ!」許すまじ若手狩りの光景に「尊敬できない」

  • 2025.7.25
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

職場の人間関係は、どこの業界でも悩みの種になりがちです。特に学校現場では、経験豊富なベテランと若手教員の間で、時として思わぬトラブルが起こることも。指導のつもりが、かえって若手を追い詰める結果になってしまうケースもあるようです。

今回は、30代教員・Aさんが目撃した、再任用として働く元校長が若手教員の授業を勝手に乗っ取ってしまうという驚きのエピソードを紹介します。

突然の「代われ!」で授業を乗っ取る元校長

学校には、退職後に「再任用」として働く教員の制度があります。

ある時、再任用で働いていた元校長のK先生に困ったことがありました。有能な再任用教員も多い中で、K先生はとにかく「若い世代にモノ申したい」という性格の方でした。

問題は、若手の先生の学級に突然入っていき、授業を勝手に乗っ取ることでした。

最初は、腕を組みながらじっと授業を見ているだけなのですが、突然、「違う違う!これじゃあわからないよなあ?」と大声で指摘し、いきなり前に出て行って、「代われ!」と一言。チョークを手に取ると、得意げにそのまま授業を進めていくのです。

若い先生が逆らうことなど、もちろんできません。

せめて、授業が終わった後にアドバイスをするのであれば良いのですが、子どもたちの前で若手の先生にダメ出しをするものですから、「僕たちの担任って、授業が下手なんだ…」と、若手の先生への信頼が落ちることになります。そうなると、学級の雰囲気が乱れ、若い先生は苦境に立たされることに。

ある日、K先生の「乗っ取り」と、しょんぼりした表情で教室の後ろで授業見学していた若手に気づいた同僚が、その行為を管理職に相談しました。しかし、管理職としても元上司であるK先生には注意をしづらい状況でした。

結局、K先生に直接注意をするのではなく、他の業務を任せることで若手のクラスに近づけないように調整が行われ、少しずつ「授業の乗っ取り」は減っていきました。

若い先生と子どもたちの信頼関係を壊すような行動を取るK先生は、いくら教員としてのスキルが高くても、私は尊敬できないと感じました。この教員不足の時代に教壇に立とうとしてくれる若手を、温かく支えていく職場の空気を作っていきたいものだと感じています。

経験を生かす指導と、威圧的な介入は別物

Aさんが体験したこのエピソードは、職場の上下関係の難しさを物語っています。経験豊富なベテランの知識やスキルは確かに貴重な財産です。しかし、それを若手に伝える方法を間違えると、かえって成長の妨げになってしまいます。

子どもたちの前で教員の権威を失墜させるような行為は、学級運営にとって致命的です。指導は建設的であるべきで、相手の尊厳を守りながら行うのが基本。どんなに立派な経歴があっても、人を育てる姿勢がなければ、本当の意味での「先輩」とは言えないのかもしれません。


《取材協力》
現役小学校教諭・Aさん(30代・関東在住)
2010年より教職に就き、現在は5年生を担任。得意科目は体育。教職のやりがいは「子どもの『わかった!できた!』の瞬間」