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30年前、世界中が震えた“革新的ファンタジー映画” バブル後の大人すら虜にした“誰もが夢見た子ども世界”

  • 2025.7.27

「子どもの頃、ともだちだったおもちゃっている?」

1995年、アメリカで“世界初のフルCG長編アニメーション映画”として公開された『トイ・ストーリー』。翌1996年、ついに日本にもその革新的な作品が上陸した。

バブル崩壊後の景気低迷が続き、インターネットもまだ一般家庭には普及していなかったこの時代――。そんななか、“おもちゃに心があったら”という誰もが一度は想像し夢見た世界が、圧倒的なリアリティと感動で描かれ、観る者の心をやさしく貫いた。

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

ピクサーとディズニーが開いた“まったく新しい扉”

『トイ・ストーリー』は、ピクサー・アニメーション・スタジオがディズニーと共同で製作し、世界初の全編をフルCGで描いた長編劇場用アニメとして1995年11月22日にアメリカで公開。監督はジョン・ラセター。世界を感動で震えさせたこの作品は、翌1996年3月23日からは日本でも劇場公開され、大きな話題を呼んだ。

当時の観客にとっては、“手描きではないアニメ映画”が2時間近く続くこと自体が衝撃だった。だが、驚かされたのは映像だけではない。

“おもちゃの世界”というファンタジックな設定の裏に込められた、嫉妬・孤独・友情・自己肯定感といった人間ドラマが、あまりにもリアルだったからだ。

主演は、少年アンディのお気に入りだったカウボーイ人形「ウッディ」。英語版ではトム・ハンクスが声を務め、最新型スペースレンジャーのアクションフィギュア「バズ・ライトイヤー」役にはティム・アレンがキャスティングされた。

日本語吹き替え版では、ウッディ役に唐沢寿明、バズ役に所ジョージが起用され、作品に絶妙なテンポと情感を吹き込んだ。

“ただの子ども向け映画”ではなかった、心の奥を照らす物語

物語は、単なるドタバタ冒険劇ではない。

ウッディは、アンディの「一番のお気に入り」というポジションを、突然現れたバズに奪われそうになり、深い嫉妬と不安に陥る。一方のバズは、自分を“本物の宇宙戦士”だと信じていて、自分が“おもちゃ”であるという現実を受け入れられない。

自分の価値はどこにあるのか。誰かに選ばれなくなったとき、どうやって自分を保てばいいのか。

そんな普遍的な問いを、カラフルなおもちゃたちが、驚くほど繊細に演じてみせた。

中盤以降、ウッディとバズは困難を乗り越えながら、互いの弱さを知り、友情を築いていく。そのプロセスはまるで、現実世界で他者と関係を築き直す「大人の成長物語」のように見えた。

“失われていく居場所”“存在の不安”“誰かに愛されたいという願い”――そうした感情が、すべてCGの中の人形たちに託されていたのだ。

“子どもに見せたい”ではなく、“自分が見たい”と思えるアニメ映画へ

当時、『トイ・ストーリー』は子ども連れのファミリー層だけでなく、大人たちの口コミによって観客を広げた。

「子どもの付き添いで観に行ったつもりが、自分が泣かされた」「もう一度観たいと思った」――そんな声が、雑誌や新聞のレビュー欄に溢れ始めた。

アニメ映画は“子ども向け”という常識を覆したのが、この『トイ・ストーリー』だったのかもしれない。

その後、この作品は続編が次々に制作され、第4作まで公開。日本国内でも大ヒットを記録。

“おもちゃの物語”が、人生の節目を語る映画になった。

30年経った今も、心を照らし続けている

1995年から数えて30年。

『トイ・ストーリー』は、単なる映画作品としてだけでなく、“CGアニメの夜明け”を告げた歴史的な一作として語り継がれている。さらに、観る者の年齢や立場によって意味が変わる“人生に寄り添う物語”として、多くの人の心の棚にしまわれ続けている。

あのとき映画館で感じた、“おもちゃの目線で見る世界”の切なさ。今ふたたび観直してみれば、自分の変化もまた、そこに映るかもしれない。

――自分が「大切にされていたこと」に気づく瞬間。

その感動を、初めてくれた映画。それが『トイ・ストーリー』だった。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。