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『褒めてるつもり』が逆に傷つけてる … 親が良かれと思って言いがちな“3つのNG口癖”とは?【臨床心理士が監修】

  • 2025.6.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

子どもを褒めることは、成長を励まし、自己肯定感を育てる大切なコミュニケーション。でも実は、褒めるつもりでも子どもの心にマイナスに働いてしまう「NG口癖」があることをご存じでしょうか?親としては良かれと思って言った言葉が、知らず知らずのうちに子どもの自信ややる気を奪ってしまうこともあるのです。そこで今回は、臨床心理士の知見をもとに、子どもの自己肯定感をむしろ下げてしまう3つの代表的なNG口癖と、その背景にある心理についてわかりやすく解説します。この記事を読めば、「褒め方ひとつでこんなに違うの?」という驚きとともに、今日からできるかしこい声かけのコツが見つかるはずです。

なぜ「褒めてるつもり」が裏目に?

自己肯定感とは、自分を「価値ある存在」と自覚し、自己を肯定的に受け入れる気持ちのこと。

子どもの成長に欠かせない自己肯定感は、学習意欲や対人関係の形成、精神的な安定など多方面に好影響を与えます。だからこそ、保護者や教育者は「褒める」ことでこの自己肯定感を育もうと奮闘します。

ところが、褒め言葉の伝え方や使い方によっては効果が真逆になり、かえって子どもの「できなかった自分」への意識を強め、自己評価を下げてしまうケースも少なくありません。免疫のように、正しい褒め方を身につけなければ、せっかくの好意的な働きかけが子どもの心の負担になることもあるのです。

現代の子育て現場でも、親たちは自分なりに「いい褒め方」を探っています。けれども、言葉の裏にある心の動きや子どもの受け取り方を見落とすと、『褒めているのに認められていないような気がする…』という子どもの感覚を生んでしまいます。

したがって、自己肯定感の基本となる「正しい褒め言葉の育て方」を理解しておくことは非常に重要なのです。

要注意!自己肯定感を下げる“3つのNG口癖”とその理由とは

それでは具体的に、子どもの自己肯定感を下げかねないNG口癖を見ていきましょう。臨床心理士のアドバイスを参考にしつつ、代表的な3つを紹介します。

  1. 「なんでそんなこともできないの?」
    これはできていないことを強調し、子どもに否定的な自己イメージを植え付けがちな言葉です。子どもは「できない自分はダメなんだ」と感じやすくなり、挑戦意欲が削がれてしまいます。努力過程より結果だけを見てしまうのもポイントです。
  2. 「あなたは○○が得意だから大丈夫だよ」
    一見ポジティブな表現ですが、特定の分野ばかりを褒めると、子どもは「得意じゃないことはダメ」と自己評価を制限してしまうことがあります。これが自己肯定感の硬直化につながり、「本当の自分はコレじゃない」と葛藤を生むケースも。
  3. 「ほかの子はもっとできているのに」
    比較によるプレッシャーは自己肯定感を著しく損ないます。子どもは「自分は周囲より劣っている」と繰り返し思うようになり、自己否定のスパイラルに陥りやすくなるのです。

なぜこれらの言葉がNGなのか、その背景には「条件付きの承認」「結果重視」「比較による評価」という共通点があります。

人は誰しも無条件に認められたい生き物ですが、条件付きの褒め方はその願いに反し、じわじわと自己肯定感を蝕みます。だからこそ、言葉かけの細かな工夫が大切なのです。

自己評価できる力を育てる

親が子どもを褒めるとき、それはあくまで“親の評価”に過ぎず、子どもは「評価された」という感覚を抱きがちです。

まずは「あなたはどうだった?」「なぜやってみようと思ったの?」と、子どもの感想を聞くことが大切です。その言葉をそのまま受け止めることで、子ども自身が気持ちを整理し、次の目標につなげていけます。

「失敗した」「悔しかった」などの感情に、「そんなことないよ」と励ましで返すと、子どもの気持ちを否定することになってしまいます。「そう思ったんだね」と共感し、寄り添う声掛けが心を育てます。

子どもが将来、自分の価値を他人の評価ではなく“自分の評価”で認識できるようになることが大切です。そのためにも、日々の声掛けを見直し、評価よりも“共感”を意識して接してみましょう。   

今日から意識したい!自己肯定感を育む“賢い褒め言葉”のススメ

子どもの自己肯定感を高めるためには、ただやみくもに褒めるのではなく、どんな言葉をどのように伝えるかが重要です。今回紹介した「なんでできないの?」「○○が得意だから」「ほかの子はもっと…」というNG口癖は、親としてはつい言ってしまいがちな言葉。でも、無意識のうちに子どもの心を傷つけ、自己評価を下げるリスクがあります。褒める際は努力や過程そのもの、子ども自身の存在そのものに注目し、「頑張ったね」「そのやり方、とても素敵だね」というように、結果だけでなくプロセスや個性を尊重する言葉が効果的です。

より豊かな親子コミュニケーションと子どもの健やかな心の成長のために、ありのままの子どもを認める姿勢を意識してみてください。


監修者:一般社団法人マミリア 鎌田 怜那

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臨床心理士・公認心理師
保育・教育・心理を学び、現在は子育て支援や発達支援を専門としている。また、3児の母として子育て奮闘中でもある。知識があっても、子育ては難しい! 悩みを語り合える仲間とつながり、「悩める幸せ」をかみしめ、みんなで子育てを楽しもう!