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本物の恋愛とはご無沙汰だけど、久しぶりに恋の予感…。45歳バツイチ男が西麻布で過ごした夜

  • 2025.5.31

経験も経済力も豊かな45歳。

自分の好みを研ぎ澄まして好きなものを買い、気の向くままに流行りの店に行く。その言動すべてに、余裕と自信がみなぎる年齢だ。

ただ、これまでの経験値がむしろ邪魔して、本気の恋愛はご無沙汰になってしまいがち。

今回は、離婚を経て現在独身、とある男の港区の夜をのぞいてみた。

♂「港区の華やかな鮨店だからこそ、誘ったのは、35歳の大人なあの子。お互いに“ちょうどいい”気がしている」
3月27日に誕生した『THE TOKYO』のテーマは、“日本一のアイコニック・バー・ラウンジ”。そのバーエリアの隣に、『2nd edition TERUZUSHI Nishiazabu』が開業した


西麻布交差点から近いビルの地下。20代の頃、ここに元あったクラブで飲んだことがある。そう懐かしい気持ちになって同じ階段を下りた。

今年3月末に『THE TOKYO』という大人の遊び場になったらしい。中に入ると港区らしくお洒落にギラついている。

自分が来た理由は、北九州『照寿司』のセカンドブランドがあると聞いたから。

東京カレンダー


ひとり座ると、面識ある大将が気さくに話しかけてくれた。

金曜夜7時50分。彼女と会うのは4年ぶり。会社員時代、赴任先の香港で、日本人同士の飲み会などでたまに会っていた。それから僕は先に帰国し、SNSで互いの近況を知る程度の関係が続いた。

妻と別れて2年、独立したのも同じ頃。その辺の変化もうっすら知られていると思う。

久々に会うきっかけは、彼女が飼い始めた犬に僕がつい反応して送ったDM。自然と会話が続いて、会う流れとなったのだ。

美人な友人と会う気分に微かな期待が混じる。確か35歳で独身らしい。モテそうなのに。

♀「金曜夜に誘われたのは、新しくできたお洒落なお鮨屋さん。少し外国の雰囲気でドキドキしてくる」
『THE TOKYO』のバーエリアにはDJブースもあり、外資系ホテルのラウンジとクラブが混じったような空気感。食事も可。鮨店とバーエリアの間は壁のないシームレスな造りだ


最初に彼からDMが来たときは、一瞬、海外からの怪しげなスパムに見えた。私があげた愛犬のストーリーズに対して、「かわいい!名前は?」とのコメントだったが、同じ類いが海外からよく届くのだ。

そのうち近況などを聞かれ、やりとりが続き、「近々飲みに行こう」とカジュアルに誘われたが、提案してきたのは高級鮨店だった。

彼のSNSを見ると、独立してからの仕事が上手くいっているようで羽振りがいいのだろう。

奢りじゃなくてもお鮨を食べるいい機会だと思った。それに、仕事で難しい相手とのやりとりが続き、彼のような明るい人と気分転換がしたかったのだ。

下心は謎だが、35歳独身女性と45歳バツイチの男性は、「ちょうどいい」なんて互いに思いそうな組み合わせだ。ほんの少しの邪推に微かな期待が入り交じる。

彼が選んだ店に着くと、そこは遊び慣れた人が行きそうな華やかな空間。

大将と楽しそうに話す彼が私に気づいて、同じままの笑顔で手を振った。やっぱり、歳上の男性は楽なのかもしれない。

♂「SNSでお馴染みのポーズに、彼女も笑顔。面白いは正義と教えてくれる鮨店なのだ」
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彼女に久しぶりに会うと、理知的な美しさを漂わせていた。

向こうでたまに会ったとき、僕は既婚者だったし、単に綺麗な人としか思っていなかったけれど、ふたりで会うと、美人の解像度が上がってくる。正直、気軽な気持ちで誘ったから不意打ちだった。

その胸の内が顔に出ないか心配だったが、店がよかった。『照寿司』本店譲りのエンタメ感でふたりを和ませたからだ。

和食を学んだあと『照寿司』で修業して二番手になった森谷純平さん。このポーズは約10年前に本店大将・渡邉貴義さんが始め、当人のInstagramフォロワー数は現在72万人超


鮨を見せるお決まりのポーズについては、「鏡を見ながらキメ顔の練習をしています!」。

裏話にまた盛り上がり、彼女もご機嫌。マグロのタルタルにキャビアとウニがのったつまみは清々しいほど港区的で、金曜の夜として申し分ない。

ふたりで向き合って近況報告をするのもありだけど、それは2軒目、または次回でもいいだろう。

45歳にもなると、よくも悪くもゆったりとかまえてしまう。余裕のふりして、この歳で焦って振られたくない予防線。いまになり、“両想い”に憧れているという青春返り。

ふたりでいるほうが孤独と感じる時期も長かったからだろうか。いまはひとりに慣れたが、週末の寝起きにふと寂しくなることがある。夜は眠りに落ちるだけだが、寝起きは現実の始まりだから。

♀「面白いだけじゃなくて、ちゃんと美味しい。デートとしても久しぶりのインパクト」
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友達といるときのような楽な表情で私を見る彼。初めてふたりで会うけれど、デートと意識しすぎない雰囲気でよかった。

最近、神経を張り詰める仕事が多かったから、お店のパフォーマンスに笑顔になって元気も出た。

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ある意味、お鮨デートはフィーリングが合うか言葉が少なくても測れる気がする。

「ここのシャリ好み」と彼が言うのを聞き、私も同じように思って、それは狭いストライクゾーンの一致だ。

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横並びになり、互いに手で食事をするのも、合わなかったらぎこちなさを感じるはず。

潔癖な自分の反動か、既婚者の人が独身になると急に異性に見えるとも知る。指輪をした人とは特にお鮨デートは行けない。

♂「2軒目は彼女が乗り気だったら行けばいい。生き急がなくなったのは年齢か、経験か」
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後半、ペースが落ち着いてワインをボトルで開けた頃、「お仕事楽しそうですね」と彼女が言った。そのシンプルな言葉から「独立したばかりは大変だったけど」と、身の回りを少し話すことになった。

不動産大手で40を過ぎた頃から上司と部下の間で板挟みが増えた。就職氷河期の勝ち組のようで、その実、辛酸も多かった。

「いまは自分の時間が増えたから、実家にも帰る頻度も高くなって」と、親が高齢になってきた45歳らしい話にも。

彼女の「出身どこでしたっけ?」から基本の自己紹介が始まる。昔は名古屋と言ってたが、「名古屋から電車で30分の」と、正直に田舎だと話す。彼女は「私のほうが」と、熊本の地元がいかに自然豊かか教えてくれた。

そんなふたりが、港区のど真ん中でブルゴーニュのグラン・クリュを開けている。

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「最近、実家にちょっと高い防犯カメラをつけたんだ」という話をすると、彼女は「私はペットカメラを」と見せようとした。

♀「2軒目に行くつもりだったけれど、急の帰宅。嫌な顔を見せない余裕が、心地良かった」


ペットカメラをつけると、愛犬が想定外に荒ぶっていた。届かないはずの充電コードをかじっているようだった。誤飲が心配でいてもたってもいられなくなった。

ちょうどコースが終わっていたので、「ごめんなさい、家に戻ったほうがよさそう」と彼に言うと了承してくれて、「お会計は済ませておくから気にしないで」と送り出してくれた。

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充電コードは噛まれていたものの誤飲の形跡はない。彼にお詫びのLINEを入れた。

「よかった!じゃあ話の続きはまた今度」

前は軽いノリの印象だったけれど、それは気のよさだったかもしれないと35歳のいまは思う。あの歳になって柔軟なのも珍しい。

SNSに彼がのせているグルメの話を聞くと、毎日2食必ず外食とか。料理は全くしないが、「意外と簡単ですよ」と私が言うと、「何を参考にしたらいい?」と始めることに躊躇がなさそうだった。

続けて「料理ができる人のほうがいい?」と聞かれ、「そうですね。よくカレーをスパイスから作る男性と付き合ってはいけないっていうけど、私はそういう人好きかも(笑)」なんて会話をすると、興味深そうに笑う。そのあとは、私が働くコンサルの話を少し。

最後まで、なぜ独身か、彼氏はいるのかは聞かれなかったし、私も聞かなかった。今日の楽しい写真を見返しながら、近いうち、今度は私がご馳走するデートに誘おうと思った。

♂「ギラギラした西麻布の夜が招いたのは、45歳になる男の春の新生活。少しの変化が帰路を浮き足立たせていた」
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彼女が急遽帰ってから30分後。何も問題がなかった報告とお詫びのLINEが届いた。暖かくなったから麻布台の自宅まで歩いている途中、僕もほっと安心した。

土日の予定は何もなく、のんびりした週末。彼女との“カレー話”を思い出して、ちょっと挑戦してみようかと考える。母親も元妻も専業主婦。父も僕も何も料理をしない男。自分の中の当たり前を変えてみたい。

「まずはサラダやパスタが簡単だと思う」という彼女の言葉通り、スーパーで買い物。商品のバーコードの下に書かれていた文字は、“GOOD FOOD, GOOD FUTURE”。

既にいいことをした気分になっているとLINEが。

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先月、食事会で会った20代女性から飲みの誘いだ。溢れ出るお財布探し感。

いつもならほいほいお財布になった僕だが、今夜は違う。帰って料理の予習をするのだ。断りを入れると、それとは別に1本のLINEが。

「次の週末、ランチしませんか?」

さっそく彼女に、初自炊の報告ができそうだ。

物語の舞台は……「THE TOKYO」

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約145坪もの空間で、バーエリア、カラオケ付きのプライベートルーム、鮨店で構成される。

バーエリアでは鮮魚のカルパッチョやパスタを提供し、旬のフルーツを使ったカクテルにも注目。朝4時まで営業するので、2~3軒目としても使い勝手がよい。

VIPの利用も見込まれる個室料は1時間¥25,000~。

■施設概要
施設名:THE TOKYO
住所:港区西麻布4-1-1 B1F
TEL:03-6427-4276
営業時間:18:00~28:00
定休日:日曜、祝日
席数:カウンター89席、個室5(43席)、鮨カウンター7席

■店舗概要
店名:2nd edition TERUZUSHI Nishiazabu
住所:港区西麻布4-1-1 THE TOKYO B1F
TEL:03-6427-4276
営業時間:18:00~、20:00~の二部制
定休日:日曜、祝日
席数:カウンター7席

■衣装
[男性]コート¥143,000〈アスペジ〉、ジャケット¥165,000〈ラルディーニ/ともにトヨダトレーディング プレスルーム TEL:03-5350-5567〉、カットソー¥44,000〈バルバ ナポリ/コロネット TEL:03-5216-6521〉、パンツ¥99,000〈ヤコブ コーエン/ヤコブ コーエン 東京ミッドタウン店 TEL:03-3405-0852〉、シューズ¥165,000〈オールデン×シップス/シップス 銀座店 TEL:03-3564-5547〉
[女性]コート¥181,500〈ヴィンス/コロネット〉、ジャケット¥291,500、トップス¥184,800〈ともにジェントリー ポルトフィーノ/ウールン商会 TEL:03-5771-3513〉、スカート¥61,600〈アスペジ/トヨダトレーディング プレスルーム〉、ネックレス¥63,800〈アイプリモ/アイプリモ銀座本店 TEL:03-3528-6921〉

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