1. トップ
  2. 「あまりにも衝撃的」「とにかく苦しい」“まさかの結末”に視聴者震撼…「忘れられない」一流女優が“苦悩した”度肝を抜く名映画

「あまりにも衝撃的」「とにかく苦しい」“まさかの結末”に視聴者震撼…「忘れられない」一流女優が“苦悩した”度肝を抜く名映画

  • 2025.7.1

映画の中には、胸を締め付けられるような感動を描いた名作があります。今回は、そんな中から「心がえぐられる作品」を5本セレクトしました。本記事ではその第5弾として、映画『かくしごと』(ハピネットファントム・スタジオ)をご紹介します。母性と正義のあいだで揺れる選択。その先に待っていた“結末”とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

嘘から始まった、かりそめの家族

undefined
(C)SANKEI
  • 作品名:映画『かくしごと』(ハピネットファントム・スタジオ)
  • 公開日:2024年6月7日
  • 出演:杏(里谷千紗子 役)

絵本作家の千紗子()は、長く疎遠だった父・孝蔵(奥田瑛二)が認知症を発症したことをきっかけに、しぶしぶ田舎に戻ることに…。ぎこちないまま始まった父との同居生活に疲れを感じていたある日、千紗子は、事故で記憶を失った少年(中須翔真)と出会います。

少年の身体には、虐待を受けた痕が残っていました。彼を守るため、千紗子は自分が母親だと嘘をつき、共に暮らし始めます。次第に三人は心を通わせ、血のつながりを超えた“家族”のような関係を築いていきます。

けれども、その穏やかな幸せは、長くは続きませんでした――。

予期せぬ結末に…「あまりにも衝撃的」

本作は、はじめは田舎で認知症の父を介護する娘の物語のように見えます。ところが物語が進むにつれ、主人公・千紗子が記憶障害のある少年を誘拐し、最終的にはその少年の父親を殺した罪で逮捕されるという、思いがけない展開になります。

しかし、初めに父親を殺そうと刃物で刺したのは少年本人であり、千紗子は彼を守ろうと、とどめを刺したのでした。少年の罪をかぶって裁判にかけられた千紗子。しかし、裁判の場で少年は自ら真実を語り、自分が殺したこと、そして記憶は戻っていたことを明かします。さらに、自分の母親は千紗子であると話し、千紗子はその言葉に涙を流すのでした。

このラストに「あまりにも衝撃的な映画でした」「介護の話かと思ったらとんでもない方向に決着した」と予期せぬ結末に衝撃を受けたという声も。

一方で「久しぶりに良い映画に出逢えた」「忘れられない一作」「とにかく苦しい映画だけれど、観てよかった」絶賛の声が多く見られました。

杏さんが演じる千紗子は、事故で記憶を失い虐待を受けていた少年を守るため、自分が母親だと嘘をつきます。それは法的には許されない行為ですが、その根底にある「この子を守りたい」という純粋な想いが、観る人の心を強く打ちます。千紗子の行動について、杏さんは映画.comによるインタビューで、次のように語っています。

司法を飛び越えて体現していく、ブルドーザーみたいな千紗子には尊敬を覚えました
出典:杏、司法を飛び越える強烈な母性を体現 「倫理に左右されない行動力」を通して観客に問いかける(映画.com)2024年6月7日配信

3人のお子さんを育てる母である杏さん自身も、今の自分ならできるかもしれないと、千紗子に深く共感したといいます。その一方で、撮影中は2日に1度のペースで精神的に追い込まれるほど重いシーンが続き、涙が止まらない日もあったそうです。

母としての想いと、法や正義という社会のルール…。その境界が揺らぐとき、人は他者を救うことができるのか…。
杏さんの鬼気迫る演技は、その重い問いを観客一人ひとりに突きつけます。

SNSには「杏さんの表情が忘れられない…」「杏さんの母性と狂気が圧巻」「母性の内に秘められた狂気が詰め込まれている」といった絶賛の声が後を絶ちません。

嘘か、愛情か――正しさでは裁けない“かくしごと”の物語

この映画の原作は、北國浩二さんの小説『』です。映画化にあたりメガホンを取ったのは、『生きてるだけで、愛。』で注目を集めた関根光才さん。

本作のタイトル『かくしごと』には、監督である関根さんの深い思いが込められています。監督は、シネマカフェによるインタビュー内で、次のように語っています。

映画で『嘘』というタイトルだと、お客さんにとって嘘という前提が刷り込まれ、誰が嘘をついたのかという視点で観てしまうと思ったので、タイトルを変えました
出典:杏主演の映画『かくしごと』監督・関根光才が託した思い「傷が癒える人がいるかもしれない」(シネマカフェ)2024.4.14 配信

関根監督が描きたかったのは、誰かを傷つけたくないという気持ちや、言葉にできず胸にしまってきた“秘めごと”でした。
そうした繊細な感情を伝えるために、『かくしごと』という言葉が選ばれたといいます。

表に出せなかった感情、守るためについてしまった嘘――。そうしたひとつひとつの思いが、千紗子の行動の根底に流れています。

この作品が「心がえぐられる」と言われるのは、正しさだけでは語れない人間の選択と、その先にある痛みを描いているからかもしれません。


※記事は執筆時点の情報です