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「二度は観れない」「二回観るべき」意見が“真反対に分かれた”異質な脚本…「日本映画の最高峰」“偉業を成し遂げた”衝撃作

  • 2025.6.28

映画の中には、胸を締め付けられるような感動を描いた名作があります。今回は、そんな中から「心がえぐられる作品」を5本セレクトしました。本記事ではその第2弾として、映画『怪物』(東宝・ギャガ)をご紹介します。ある日、学校で起きた小さなケンカが、親や教師、そして社会までも巻き込む騒動へ…。すれ違う視点の先に浮かび上がる真実とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

「たかがケンカでしょ?」すれ違う証言が“嵐の朝”を呼んだ――子どもたちはなぜ消えたのか

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(C)SANKEI
  • 作品名:『怪物』(東宝・ギャガ)
  • 公開日:2023年6月2日
  • 出演:安藤サクラ(麦野早織 役)

あらすじ

湖のある郊外の町に、息子を育てるシングルマザーの早織(安藤サクラ)、生徒思いの教師・保利(永山瑛太)、そして少年・湊(黒川想矢)と依里(柊木陽太)が暮らしていました。

ある日、学校で起きた“よくある子ども同士のケンカ”。このケンカが発端となり、事態は思いもよらぬ方向へ動き出します。食い違う関係者の証言から小さなほころびが生まれ、やがて親や学校、さらには社会やメディアを巻き込む大きな騒動へと発展していきます。

そして迎えた嵐の朝。
子どもたちは、突然姿を消してしまうのです――。

主演女優の細やかな気配りに感動する撮影秘話

映画『怪物』は、『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭の最高賞・パルムドールに輝いた是枝裕和監督と、『東京ラブストーリー』『Mother』『カルテット』など、数々の話題作を手がけてきた脚本家・坂元裕二さんが初タッグを組んだ作品です。

本作『怪物』は、第76回カンヌ国際映画祭では、脚本賞とクィア・パルム賞のダブル受賞を果たし、世界的に高い評価を受けました。

撮影では、湊役の黒川想矢さんに対して、主演の安藤サクラさんが細やかに気を配っていたといいます。子役は20時までに撮影を終える必要があり、ゆっくり声をかける余裕がないこともあったそうです。ある日、安藤さんは撮影後に監督へLINEを送っていたことが、総合映画情報サイト『映画.com』のインタビューで語られています。

想矢が今のOKに納得していないから、ホテルに戻った時に声をかけてあげてください
出典:是枝裕和監督&安藤サクラ、「成熟」と「幸せ」の共犯関係(映画.com)2023年6月6日配信

その日のOKがあっさりしていたことで、黒川さんは撮影時間を考慮して“妥協したのでは”と感じていたようです。子役の気持ちに寄り添う安藤さんの優しさが伝わる撮影秘話ですね。

「怪物だーれだ」の問いにゾッとする…「二度は観れない」「二回観るべき」真反対に分かれた声

映画『怪物』は、一つの出来事を三人の視点から描き、「真実は何か」を観る人に問いかける作品です。

シングルマザーの早織とその息子の湊、担任の教師である保利が、同じ出来事をそれぞれの視点から語り、その視点が変わるごとに、登場人物の印象がガラリと変わります。最初は息子を守る良い母親に見えていた早織が、次の場面ではモンスターペアレントのように見えたり、冷たい教師だと思った保利が、実は生徒思いの優しい先生だったり…。

そのとき、ふと頭に浮かぶのが、「怪物だーれだ」という本作のキャッチコピーです。
問いかけられているのは、もしかすると登場人物ではなく、“怪物探し”をしていた自分自身なのかもしれません。

SNSでは、「二度は観れない」「二回観るべき」という真反対の意見が見受けられます。作品の描写があまりにも生々しく、観終わったあとに深い余韻や疲労感、場合によっては苦しささえ残ることも。そのため「もう一回観たいけど、もう一回観たら心が壊れてしまいそう」「もう一度観るには覚悟が必要」という声があがるのです。

一方で「時系列や心の変化を思いながら二度三度と観たくなる」「二度観てみると、一度目はあまり理解出来てなかったんだな」「同じのを二度観ることあまりないけどこれはまた観たくなる」といった声も。このような意見からもわかる通り、本作は一度観ただけでは捉えきれない深みや余韻があり、観るたびに新たな発見があるという点で、多くの人の心に強く残る作品となっています。その重厚なテーマ性と繊細な描写が、観る人それぞれに異なる感情や考察を呼び起こし、何度も向き合いたくなる理由となっているのでしょう。

そんな本作に対し、「是枝監督と坂元さんのタッグは素晴らしかった」「日本映画の最高峰」と絶賛の声が続出。

登場人物だけでなく、自分の中にも“怪物”がいると気づかされる――。それが、この映画が「心がえぐられる」と言われる理由なのかもしれません。


※記事は執筆時点の情報です