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「観ていて辛い…」「途中でリタイア」“ 痛々しいほどの脚本”に離脱者も…だけど「久しぶりに夢中になった」絶賛の秀作ドラマ

  • 2025.6.27

誰かのお世話になることも、また誰かを支えることも、決して簡単なことではありません。今回は、そんな“介護をテーマにした作品”を5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、ドラマ『我らがパラダイス』(NHK)をご紹介します。「心が折れそう」「もう限界かもしれない」――そんな日常に抗うように、3人の女性が選んだのは、人生を取り戻すための大胆な計画でした――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

「もう無理…」――追いつめられた3人が選んだ“禁断の計画”とは

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(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):『我らがパラダイス』(NHK)
  • 放送期間:2023年1月8日 - 3月12日
  • 出演:木村佳乃(田代朝子 役)

舞台は、都内の高級老人ホーム・セブンスター・タウン。

看護師長として働く朝子(木村佳乃)にとって、そこは“自分とは無縁”の世界でした。優雅な老後を送る入居者たちとは対照的に、朝子の現実は、つましく暮らしながら母親の介護に追われる毎日。弟の慎一が突然転がり込んだことで、母の施設入所問題も差し迫った課題となります。

厨房で働くさつき(高岡早紀)も親の世話を抱え、同僚の邦子(堀内敬子)も父の介護をめぐって家庭内で孤立。3人はそれぞれ限界ぎりぎりの暮らしを支え合いながら、職場では上司のパワハラに苦しんでいました。

そんな中、心が折れそうな現実に抗うように、3人は“ある計画”を立てます。それは、自分たちの人生を取り戻すための、大胆な企てでした――。

「明日の私自身かもしれない…」現実の重み

このドラマの原作は作家・林真理子さんの同名小説です。主役・朝子を演じるのは、林さんのファンでもある木村佳乃さん。木村さんは出演にあたり、こう語っています。

林さんの小説に出てくる女性達はとにかくリアル。とても人間臭く、綺麗事だけではない、まさに匂い立つような生々しさ。私に頂いた役もまさにそれです。それに加えて自分の親の介護問題まで…これは私自身にもとても身近な問題です
出典:木村佳乃、NHK痛快介護ドラマで主演 原作は林真理子「我らがパラダイス」 model press 2022年9月27日配信

介護は決して特別なものではありません。むしろ私たちのすぐ隣にある、遅かれ早かれ直面する現実です。仕事を続けながらの在宅介護、きょうだい間の温度差、施設入所にかかる費用や空き待ち…。そして、ケアする側がじわじわと追い詰められていく日々――。どれも、今まさに身近な誰かの家庭で起きていることばかりです。

本作は、そんな“リアル”を林真理子さんならではの筆致で描き出しています。

ドラマの中の“誰か”は、明日の私自身かもしれない――そう実感させられる作品です。

“選べる人”と“選べない人”――経済力で変わる“介護の質”

原作者・林真理子さんには、母親を地方の介護施設に預けた経験があります。その際、東京の高級施設との間にある格差を実感したといいます。

特に、定年退職後の男性職員がおむつ交換をしている姿を見て、母親の尊厳が傷つけられるように感じたそうです。この体験を通して林さんは、経済力や地域によって“受けられる介護”に大きな差がある現実を痛感しました。

ドラマ『我らがパラダイス』では、富裕層が優雅に暮らす高級老人ホーム・セブンスター・タウンを舞台に、“ケアを受ける側”と“ケアする側”の格差が描かれています。

看護師の朝子をはじめ、さつきも邦子もそれぞれ家族の介護問題を抱え、経済的にも精神的にも追い詰められています。
彼女たちが人生を取り戻すために選んだのは、入居者を“すり替える”という大胆な計画でした。

同じ施設にいながら選択肢を持つ富裕層と、持たないケアスタッフ――林さんが実感した“介護格差”が、物語の根底に息づいています。

林さんの実体験が反映された本作には、「観ていて辛い」「あまりにもリアルでしんどくて途中でリタイア」「途中で観るの辞めた」とあまりにもリアルで生々しさを感じさせる本作に胸が苦しくなる視聴者や途中で離脱してしまう視聴者も。

一方で「毎回リアルな老後問題が表現されてて面白い」「何が幸せかをを考えさせてくれた」「観るのやめようかな…と思いつつ引き込まれてしまう」「久しぶりに夢中になった」といった称賛の声が寄せられています。

このドラマは、軽妙なブラックコメディでありながら、老後や人生設計について考えるきっかけを与えてくれる名作です。


※記事は執筆時点の情報です