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お馴染みの奈良モチーフが見違える♡「サトリデザイン」の雑貨にひと目惚れ!「関西コレ、ええやん♡vol.5」

  • 2025.6.3

こんにちは、奈良在住の編集者・ふなつあさこです。まるで真夏のような陽気の日もあれば、梅雨の真っ只中のような雨の日もあり、参ってしまいますね。
 
そんななか、今回は私が奈良に引っ越してきたばかりのころ、人気エリア“ならまち”でひと目惚れした紙文具を手がける「サトリデザイン」の“デザイン担当の方”羽角聡子(はすみさとこ)さんにお話を伺ってきました。
 
サトリデザインさんのオリジナルアイテムのうち、一番人気は「奈良てがみ」。奈良の定番モチーフをアッと驚く鮮度の高いデザインに落とし込んだシリーズです。
 
ご連絡したら同年代なだけでなく、なんと大学の先輩でもあり、“素敵だなぁ”と思っていたお店のロゴやフライヤーのデザインを担当されていたことも発覚したウキウキのひとときをお届けします!

柿の葉寿司に奈良漬がこんなおしゃれに!? 大人買いした紙文具

40歳で結婚したのを機に学生時代を過ごした奈良に戻ってきた私。県外から進学を機に奈良へ、卒業後に奈良を離れて再び奈良に……という流れをひと筆書きすると“N”になるので、これを私は勝手に“Nターン”と名付けています。

そんな“Nターン”を果たした翌月、友人と以前ご紹介した「路地ぶら」で特別拝観できるならまちお寺を巡っていたときのことです。可愛いお店〜とフラッと入った「カウリ」さんで出合った紙文具にビビビッとひと目惚れ! それが、サトリデザインさんのオリジナル商品「奈良てがみ」と「ならばんし」でした。

直接お会いしたこともないうちから、(何故か私が)アンバサダーを務めた昨年の大阪・阪神梅田本店の奈良イベント「enjoy NARA!」にお声がけし、サトリデザインさんが参加されている奈良のクリエイターズユニット「小鹿企画」の皆さんに出店いただくなど、やりとりはあったもののついにこの連載でお目にかかることに!

今年のイチオシは“若草山” ! 奈良にカムバックしたデザイナーの視点

サトリデザインの羽角さんと待ち合わせたのは、私が「奈良てがみ」「ならばんし」を大人買いした、ならまちの日用品店・カウリさん。サトリデザインさんの新商品もラインナップしています。

カウリさんのほか、取り扱い店舗も増えつつあるものの、羽角さんのお仕事のうちオリジナル商品の企画・制作・販売は1割ほどで、メインはクライアントから発注を受けてデザインする仕事なのだそう。

ちなみに「サトリデザイン」は、プログラミングを担当する夫さんとデザインを担当する羽角さんの名前に“サト”が共通するところから名付けた屋号だと「そんな面白い話じゃなくてスイマセン」と、なぜか謝りながら教えてくれました。

実はカウリさんも、フライヤーや包装紙、パッケージなどのデザインを発注するクライアントさんのおひとり! クライアントごとにきっちり整理されたファイルから、これまで手がけたカウリさん関連の作品を見せてもらいました。

1割程度といいつつもオリジナル商品も少しずつ増やしていて、羽角さんの今年イチオシのモチーフは、若草山。近鉄奈良駅から奈良公園方面に向かうと突き当たりに見える山で、毎年1月に「山焼き」が行われていることもあって、芝生に覆われています。

そんな奈良市のシンボルのひとつを「古墳クッション」も手がけている「宇宙椅子」のフクトククニヲさんにクッションに仕立ててもらった「若草山クッション」ほか、奈良てがみやクリアファイル、トートバッグなども販売中。なお、「奈良てがみ」「ならばんし」以外の商品は、サトリデザインさんのオンラインストアをチェックしてください。

ちなみに、カウリさんは関西や九州を中心に店主の中内さんが自分で目にして“いいな”と思ったものをセレクトして集めた生活雑貨のお店。作家ものも取り扱っていて、年数回個展を開催しています。奈良町家をリノベーションした居心地のよい空間には、暮らしに馴染む飽きのこないもの、それでいて手仕事の味のあるものが取り揃えられているので、ならまち散策の折にはお立ち寄りを。

そして奈良みやげには、羽角さんがデザインを手がけた「カウリのお菓子」をぜひ♪

ヨソモノもウェルカムな奈良の懐の広さに感動 「毎日夢が叶ってます」

カウリさんを後にし、やはりサトリデザインさんのクライアントさんでもあるという焼き菓子屋さん「pieni blanc(ピエニブラン)」さんへ。

カルダモンのドーナツをもぐもぐ食べながらお話を伺ってみると、実は羽角さんも私と同じ奈良女子大学の卒業生で、“Nターン”仲間でもあることが判明!


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羽角さん
出身は静岡県の浜松で、奈良女子大に進学したのですが、学生時代は実はそんなに奈良にどハマりしていたつもりではなかったんです。むしろ当時奈良にあったビブレのビレバン(ヴィレッジヴァンガード)で沼田元氣さんの『東京喫茶店案内』に出合い、“卒業後は絶対東京行く!”と決意するぐらい、衝撃を受けました。

左:『東京喫茶店案内: ぼくの伯父さんのガイドブック』(沼田 元氣・著、東京喫茶店研究所・編/ギャップ出版)
右:オマージュとしてサトリデザインさんが作成したマッチ箱形のzine

ま、まさか。こんなところで沼田さんのファンに出会うなんて! と、お互いにびっくり。ちなみに私が以前手がけた『LOVE! 京都』は企画段階から沼田さんの『京都スーベニイル手帖』からも多分に影響を受けています。

左:名曲喫茶らんぶるの外観
右:長年使われてきた紙コースターの廃盤を機に羽角さんがデザインを担当した現在らんぶるで使われているコースター


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羽角さん
念願叶って東京の企業に就職したものの、1年で退社し、新宿の名曲喫茶「らんぶる」でバイトしながら、子どもの頃からの夢のひとつだったイラストレーターを目指そうと専門学校に通い始めました。でも、周りとのあまりのレベルの差に愕然としてすぐに通わなくなってしまって……。結局、母の病気をきっかけに、地元に戻りました。

私も現役でとりあえず入った会社にはすぐ見切りをつけ、編集者になるために振り返ればフリーターとしか言いようがない時期を過ごしたので、あのころのヒリヒリした気持ち、よくわかります。その当時私がバイトしていたのも新宿なので、らんぶるで羽角さんにコーヒー出してもらってた可能性もあるかも。


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羽角さん
転機は、地元のハローワークで「職業訓練 広告デザイン科」の案内を偶然見かけたこと。右も左もわからず、予備知識もありませんでしたが、藁にもすがる思いで受講し、職業訓練校の3人の先生の熱血指導のおかげでなんとか技術を身につけ、浜松市内のデザイン事務所で実務経験を積みました。

そこからどうやって“Nターン”に至ったのでしょうか。


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羽角さん
らんぶるのバイト仲間だった夫との結婚を機に、独立してサトリデザインを立ち上げるとともに、奈良に引っ越しました。お互いとくに縛りがなくて、どこに住んでもいい状態だったので、それならいつか戻りたいと思っていた奈良に住んじゃおうか、と。

いつか奈良に戻りたいなぁ、と思ってはいたものの、なんとなく老後のイメージでいたので、予定がかなり早まりました。

でも、在学中は奈良にそこまでガツンと深入りしていたわけではなかったんですよね?


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羽角さん
そうなんです。でも、外国人向けのボランティアガイドをしたり、やはりボランティアでクラゲバー&ギャラリー「浮遊代理店」で働いたり、奈良を離れてみたら学生時代は意外と充実していたな、と気づいたんです。

戻ってきて、お仕事を通じて奈良で頑張っているお店や人に関わるにつれて、どんどん奈良が好きになっていますね。

ならまちにある「花園新温泉」には、クラウドファンディングのリターンとしてサトリデザインさんの「奈良てがみ」の絵看板が

私はもともと奈良が好きで、東京に帰ってからも年に数回通い続け、「奈良に帰りたい」が口グセだったほどですが、振り返れば、奈良で過ごした学生時代があまりにも楽しかったからだったのかもしれません。

これまでサトリデザインさんが手がけてきた、奈良関連のフライヤーやショップカードの一部


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羽角さん
奈良には小さくても自分でお店や商売をしている人が多くて、私が出会う人は独立心が強くて前向きで、地道に頑張る人ばかりです。しかもそういう人って、他人にも優しい! 移住して11年目になりますが、自分がヨソから奈良に来た人間だという疎外感を感じたことは一度もありません。

奈良の最高なところは、懐が広いというか、本質的な余裕があるっていうか、言葉にしづらいんですが、そういうところだと思っています。

わ、わかる。奈良の人はよく「奈良の良さはわかってくれる人にわかってもらえればいい」というようなことを言うのですが、実際、奈良の魅力を言葉にしようとすればするほど、かえって本質から離れてしまう気がします。
 
東京から奈良に帰ってくると、肩の力がふっと抜けて、ああ、ちゃんと呼吸ができるなぁと思うのですが、そんな感じが奈良のええとこやと思います(地元は東京なんですけどね……)。そんな大らかな奈良で、のびやかに自分らしさを発揮するサトリデザインさんのこれからの活動に、ぜひご注目を!

この記事を書いた人

編集者
ふなつあさこ

ふなつあさこ

生まれも育ちも東京ながら、幼少の頃より関西(とくに奈良)に憧れ、奈良女子大学に進学。卒業後、宝島社にて編集職に就き『LOVE! 京都』はじめ関西ブランドのムックなどを手がける。2022年、結婚を機に奈良へ“Nターン”。現在はフリーランスの編集者として奈良と東京を行き来しながら働きつつ、ほんのり梵妻業もこなす日々。

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