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寝るとき抱き合うカップルは安心感が高くストレスが少ない

  • 2025.5.25
Credit:canva

ドラマや映画では、カップルや夫婦は当然の様に一緒のベッドで眠っています。

こうしたシーンに対して、いくら結婚していたとしても寝るときくらい一人で自由に眠らせてほしい、と考える人もいるかも知れません。

実際パートナーがいる人は、一緒に寝るほうが良いのでしょうか? それとも寝るときくらいは別々になった方が関係は長続きしやすいのでしょうか?

心理研究では、こうした就寝時のちょっとした身体的なふれあいは、二人の関係性や心理的な安定に大きく影響しているといいます。

そしてアメリカのオーバーン大学(Auburn University)に所属するジョシュ・R・ノヴァク(Josh R. Novak)博士らの最新の研究によると、そのときのお互いの取る姿勢も、二人の関係に影響している可能性があるというのです。

この研究成果は2025年1月、『Journal of Social and Personal Relationships』にオンラインで公開されています。

目次

  • 夜の寝姿勢が「愛着スタイル」を映し出す?
  • 触れ合いながら眠るカップルは「安心感」が高い

夜の寝姿勢が「愛着スタイル」を映し出す?

Credit:canva

これまでの心理学研究では、身体的なふれあい(身体的親密性:physical intimacy)は、恋愛関係において信頼や絆を深める重要な要素だとされてきました。

特に、ハグやキス、手をつなぐといったスキンシップは、不安やストレスを和らげ、オキシトシンという「愛情ホルモン」の分泌を促すことが知られています。

一方で、「眠っているときの姿勢」についての研究はあまり進んでいませんでした。

眠っている間の姿勢は、意図して操作しにくく、より無意識な関係性の表れとも考えられるからです。

ノヴァク博士の研究チームは、こうした視点から「就寝時にパートナーとどのような距離で眠るか」が、カップルの愛着スタイルや心理的な安定、さらにはストレスとの関係にどう影響しているのかを調べることにしました。

この研究では、アメリカに住む143組の異性愛カップルを対象とし、平均で13年間以上一緒に暮らしている男女(男性の平均年齢は43歳、女性は40歳)に協力を依頼しました。

調査では、パートナーと就寝時にどれほど身体的に近い距離で眠っているか、普段感じているストレスの度合い、そして「愛着スタイル(attachment style)」と呼ばれる、他者との心理的なつながり方の傾向についてアンケートが行われました。

愛着スタイルとは、心理学における重要な概念で、大きく分けて「安定型」「不安型」「回避型」などがあります。

たとえば、「不安型」の人は相手に見捨てられるのではないかと不安を感じやすく、「回避型」の人はあまり他人と深く関わろうとしない傾向があります。

研究チームは、これらの愛着スタイルと就寝時の身体的近さ、さらにはストレスの自己評価との関連を統計的に分析しました。

触れ合いながら眠るカップルは「安心感」が高い

この調査の結果、次のような興味深い傾向が明らかになりました。

就寝時にパートナーと身体的に近い距離で眠っているカップルは、ストレスが少なく、より「安定型」の愛着スタイルを示す傾向が強かったのです。

これはつまり、抱き合ったり、身体が触れ合った状態で眠る習慣がある人は、心理的に安心していて、パートナーとの関係もより安定しているということを意味します。

さらに興味深いのは、人と眠ると自由な姿勢が取れなくなるのに、それを不快と感じず、むしろ安心感や親密さが高まる傾向が見られたという点です。

一人で寝るとき好む姿勢が取れなくなっても影響はなかった/Credit:canva

ただ、人と引っ付いて寝るというのは、寝付く前は良いものの、実際寝たあとは体がぶつかり合うなど、睡眠の質を妨げる要因になりそうな印象もあります。

しかし、研究ではふれあって眠る行動は睡眠の質(sleep quality)や睡眠障害(sleep disturbance)への影響は見られませんでした。

つまり、夜に「くっついて眠る」ことは睡眠を妨げる要因にはならないようなのです。

この結果をどう解釈すればよいのでしょうか?

研究チームは、身体的なふれあいが「安心感のサイン」であると同時に、「安心感を育む行動」でもあると述べています。

心理的な結びつきが強いカップルほど、自然と近づいて眠る傾向があり、それがさらに関係の安定やストレス緩和につながっている可能性があるというのです。

ただ、この研究は明確に因果関係を明らかにしているわけではなく、お互いの信頼感が高くストレスの少ないカップルほど、くっついて寝る傾向があるだけだという可能性も否定できません。

ふたりの関係を育てる「眠り方」を見直してみよう

この研究は、「夜の眠り方」に私たちの心のつながりが反映されていることを示唆しています。

もちろん、すべての人に「くっついて寝ること」が合っているわけではありません。

でも、「寝る前に少しだけ手をつなぐ」「肩に触れる」など、ちょっとしたスキンシップがあるだけでも、お互いに安心感をもたらすことがあるかもしれません。

恋人や夫婦関係において、不安やストレスを感じることがあるなら、まずは「眠り方」に目を向けてみると、そこに、意外なヒントが隠れているのかもしれません。

参考文献

Study finds couples who cuddle at bedtime feel more secure and less stressed

Study finds couples who cuddle at bedtime feel more secure and less stressed
https://www.psypost.org/study-finds-couples-who-cuddle-at-bedtime-feel-more-secure-and-less-stressed/

元論文

“Cuddle buddies”: Couples sleep position closeness at onset is indirectly related to lower insecure attachment through lower couple perceived stress
https://doi.org/10.1177/02654075251315478

ライター

相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。

編集者

ナゾロジー 編集部

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