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【フィガロジャポン初登場】京本大我、予想を裏切る男。

  • 2025.5.21

京本大我という人を知れば知るほど、引き出しの多さと表現への意欲に驚かされる。アイドル、俳優、写真家、そして作詞作曲も行うアーティストとして。気まぐれで予測不能な才能を放つ彼に聞く「表現せずにはいられない」、その理由。

京本大我(SixTONES)

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あくなき探究心を表すかのように、薄手のニットトップとスエードパンツ、そしてコットンのバケットハットという異素材のアイテムをミックス&マッチ。トップ¥253,000(参考価格)、パンツツ¥803,000、帽子¥152,900(すべて予定価格)/以上プラダ(プラダ クライアントサービス)

"多分、裏でコツコツと地道にものを作るのがすごく好き"

SixTONESの活動と並行しながら、俳優業や昨年からスタートさせた自身のクリエイティブ・プロジェクト『ART-PUT』で、表現者としての存在感を高めている京本大我。そのクリエイションへの情熱は、静かで、熱い。

ブロードウェイで味わった刺激を動機に変えて。

10年にわたり『エリザベート』『モーツァルト!』など数々の舞台に立ち、舞台人としての評価も高い京本が新たな刺激を受けたのは、4月に行ったブロードウェイでの初観劇だった。「本場の空気を味わい、刺激をたくさんもらいました。ブロードウェイが目標とまでは言わないですけど、作品を生で観られたことが自分にとって大きな財産になりました」。

ブロードウェイでは本年度の注目作である『SMASH』『フロイド・コリンズ』や、ロングラン公演中の『ライオンキング』『アラジン』などのミュージカル作品を観劇。

「それぞれに魅力がありましたが、昨年から注目していた『アウトサイダー』を観られたことは特にうれしくて、序盤からかっこよさに引き込まれ ました。演出のギミックが最先端で、光の使い方などがいまっぽくおしゃれ。あまりの素晴らしさに第一幕後の幕間にレコードを買いに走ったほど。帰国後、最初に部屋でかけたのもそのレコードでした。それぐらい曲にもハマったんです。ブロードウェイの観客は良くも悪くもぶっ飛んでるという印象(笑)。 拍手だけでなく声も出すし、良いのか悪いのか上演中に喋っている人もいて、そんな中で集中力が切れない演者もすごいな、など、いろんな発 見もありました。観劇の文化の違いを実感しました」。

6月9日にWOWOWで放送される第78回トニー賞授賞式の生中継番組では、昨年に続きスペシャル・サポーターも務める。「アメリカ演劇界で最も権威ある賞の番組に、昨年初めて携わらせていただきました。白熱したパフォーマンスや受賞者のスピーチの熱さなど、ステージから発せられる熱量に感動しました。今年もどの作品が受賞するんだろう、と一緒にハラハラしながら楽しめたらなと思っています」。

京本自身も舞台に立つ魔力に魅せられて10年。その魅力とはいったいなんなのだろうか。

「やはり生でお客さんから反応をいただけることです。目の前で拍手や歓声を返してもらえる、そのリアルタイムのキャッチボールがこちらをより熱くさせてくれる。昨日と違っても、舞台として成立させられれば、それがひとつの正解になる。アクシデントが起きた時のキャストやスタッフの一体感も好きです」。

作り上げていくプロセスをいま、とても楽んでいる。

表現者としてはこの1年、湧き出る創作への渇望を満たすように、『ART-PUT』の活動にも力を注いできた。全曲自ら作詞作曲を手がけた初のアルバム『PROT.30』の制作や写真家としての表現活動では、クリエイションの裏側にも深く関わることで多くの学びを得たと語る。「何ごとも、両面を知ることは大切だと思っています。普段、演者としての活動では企画の最終形は見えても、そこにいたるプロセスや大変さまではあまり見えないことがある。けれど、制作にゼロから携わって、アートワークや宣伝も含めて発売されるまでの手順や労力も知ることができました。文言チェックも自分でやっているんです。MVも監督選びから、衣装やイメージも全部ディスカッションして。一緒に作り上げていくプロセスがとても楽しいですね」。

聞けば聞くほど、創作に携わることも好きなのがわかります、と伝えると意外な答えが返ってきた。

「僕、もともと人前に出るのがあまり得意じゃないんです。歌番組に出演する時がいちばん緊張します(笑)。アルバムを制作している時はただ純粋に楽しくて、多分、裏でコツコツと地道にものを作るのがすごく好きなんだと思います」。アルバムは全曲、作詞作曲・京本大我。静かな心の叫びを感じる「滑稽なFight」やメロディが癖になる「酒と映画とナッツ」など、曲調もMVのムードも異なる世界観が漂い、同一人物から生み出されたクリエイションだと思えないほどの幅の広さ。

「せっかく作るならひとつひとつが別人格というぐらい変化があるほうがおもしろいな、と思って作っています。『酒と映画とナッツ』はMVにイラストを使いたかったので、イラストレーターさんを探しました。髪色もMVのイメージに合わせて逆算して、この時期に緑にして、金髪にして......と、ビジュアルも考えています。ヘアメイクさんやスタイリストさんも曲によって変えたりと、『ART-PUT』という場でいろいろ試しています」。

楽曲はどこか懐かしさもあり、いろんな世代に刺さるムードも魅力だ。「それは多分、僕のルーツが令和にないから。ミスチルとかイエモン、スピッツ、ラルク(以上敬称略)......平成のロックを聴いて育っているので、自分にとって心地いいアルバムにしたらこうなりました。流行りの音を入れようとは考えませんでした」。

遊びと仕事の狭間を大切に、柔軟に表現を拡大する時。

『ART-PUT』は"仕事にしない"をマイルールにしているそう。「遊びと仕事の狭間ぐらいの感覚であ ることに意味があるんです。曲作りも期限を設けず、作りたくなったら作る。柔軟に楽しむんです。そうすると何曲か続けて出来たりして、気がつけば17曲が完成していました」。ここまで静かなトーンでクリエイティブへの情熱を語ってきた京本。自分自身をどんな性格だと思うか問うと、「本当に人を振り回す人間なんだと思っています」と、即答。「『ART-PUT』のスタッフには、振り回しすぎて逃げられないように必死で気を遣ってます(笑)。でもプライベートだとマイペースなので、友だちは多分嫌気がさしてると思います。突然、ごはんだ映画だ、と誘うので『こっちだって自分の生活があるんだよ!』と返されることも(笑)」。

最後に、歩みを止めない原動力は? と尋ねると、やはりその根幹には"表現への意欲"が宿っていた。 「好奇心や好きという感情なのかな。音楽や写真もそう。ただ、ミュージカルは、いまの自分にとっては絶妙というか複雑なもの。もちろん大好きな世界だけれど、舞台に立つことはいまでも怖いし、挑戦や試練のような意識が強くある。その点、音楽やカメラはもうただただ好きで、その気持ちだけで 続けられているのだと思います」。

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*「フィガロジャポン」2025年7月号より抜粋。

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