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「ユーモアとシリアスの二枚看板で勝つ」CyberAgent LegitのリーダーTAKUMIが語る、チームの強さと知られざるプライベートについて

  • 2025.5.18

レギュラーシーズン終了間近のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」。ランキング上位を堅持し続けてきたのがCyberAgent Legitだ。ディレクターは昨季に2年連続「MOST CREATIVE DIRECTOR」を受賞したFISHBOYが務める。22-23 SEASONから今季のROUND13まで、レギュラーシーズンにおける黒星は4つのみ。この強さの裏側にあるものとは――。こちらも2年連続で「MVD OF THE YEAR」を獲得しているリーダー・TAKUMIに話を聞いた。

白と黒で戦うと決めたのが転機

――今シーズンは残り2試合で黒星ふたつとは強いですね。

TAKUMI:新ルールが入ってきたので調整しながらの戦いではありましたが、上位をキープできています。チームの安定感が結果に結びついてきたと感じています。

――どんなところに安定感を?

TAKUMI:シーズン全体を通して良い作品をコンスタントに作るのに必要なのはダンスの上手さだけではありません。組織的なまとまりがないといけないし、ちょっとした不満でもチームワークって崩れていきますから。

――リーグ立ち上げから2シーズンまでは苦労が多かった印象でしたが、やはり組織力という観点で発見があったと。

TAKUMI:初年度はメンバーが集まり、右も左もわからないままのスタートでしたからね(笑)。誰が主導権を持って作るか、どういう役割分担にするのかも不明確で大変でした。

でも3年目に入り、僕なら振り付けや作品をディレクションするとか、アイデアを出す人は誰で、衣装や音源の担当の人は誰、という感じで分業されて。そのほうが各メンバーが得意なところで輝けるし、「チームとして滑らかに進んでるな」という実感があったのを覚えています。

――その実感があったのは、やはり22-23シーズン?

TAKUMI:そうですね。特にFISHBOYさんの提案で「ユーモアがある『白Legit』、シリアスな『黒Legit』の二枚看板で戦っていこう」と決めたのは大きかったです。戦い方を決めたら自分たちの強みがハッキリして、「あとは何をしても勝てる」みたいな感じになっていきました。

――今季からの新ルールである「エースパフォーマンス」と「シンクロパフォーマンス」についてはいかがですか?

TAKUMI:エースに関しては、個人の直接的な貢献で1票が決まるので残酷ですが、観る側からすれば1 on 1な感じで面白いと思います。ただ2-8(4小節)という短い時間にブレイキンとかで大技をやられたら、立ち踊り側からしたら結構厳しいんですよね。

――今季、エースを3回担当されていますが、プレッシャーは?

TAKUMI:もちろんあります。一番嫌なのが結果発表の項目の最後なところ。そこが取れればSWEEPかもしれないときに落としたら「ごめん!」という感じになりますし。

ただ自分はリーダーなので、指名されたらプレッシャーよりも「俺が勝たないと」という責任感しかないですね。結果的に1回目は落としましたが、2回目で感覚を掴んでからは勝てています。

――賛否の分かれる「シンクロパフォーマンス」についてはどうでしょう?

TAKUMI:これは正直やめてほしい項目です(笑)。システムが嫌という意味ではなくて、誰かがズレたらダメなので息ができないという意味合いですけど。ただ僕らはプレイヤーですから。「そのルールのなかでどう戦うか」だけ。

もしダンスを職業にする未来がなければ

――ROUNDが終わった後に映像を見直して、誰かがズレているときは指摘しあったり?

TAKUMI:試合後は必ずミーティングをしていて、そのときに話します。今はチーム状況が良好なのでギスギスせず反省ができています。悪い流れができそうになったときに軌道修正できるのも僕たちの強みな気がしますね。

チームの仲もめっちゃいいんですよ。年に何回かみんなでご飯を食べる機会も持っています。勝てなかった時期も一緒に飲み食いしながら議論してきたので、その経験が今に活きてます。

――ネガティブな気持ちを断ち切るときに大事なことは何でしょう。

TAKUMI:反省点から目を背けないことは大事。個人としては理詰めというか、「これはこうだから、ポイントを取られたんだ」と研究します。だから相手チームとの戦いというより、「自分たちが100点の作品を作れるか」が本当の勝負かもしれません。

――リーダーとして心がけていることは?

TAKUMI:口だけではなく、誰よりも頑張る姿を見せること。目に見える形で努力していれば、自然とみんなも信頼して任せてくれるんですよ。難しいときもありますけどね。

あとマイナスだったりネガティブな言葉は伝染するので、チーム全員で気をつけてます。しんどいときに「よし、やるよ!」と盛り上げてくれるムードメイカーはena。いつも助けられてます。

――今シーズンで一番気に入っているショーケースを教えてください。

TAKUMI:うーん……個人的にはFISHさんの作品・ROUND.5『Hit The “KAKKUN”』。僕は真面目に研究して作品を考えるタイプなので、それが精神的に負担になるときもあるんですよ。でもこの作品は表情が明るくなるし、作る段階から踊っていて楽しかったですね。

――TAKUMIさんから見た、ディレクター・FISHBOYさんはどんな人物?

TAKUMI:人格者だと思いますよ。自分ならここまで向き合えるかな、というくらい他人の意見をしっかり聞いてくれるんです。チームとして勝つ流れができているのはFISHさんのおかげだなと。あとはコレオグラファーとして単純に尊敬。

いつも最初にテーマを聞くと、「何言ってるんだ、この人?」と思うんですけどね(笑)。でも最終的に作品としてまとめる力が本当にすごい。全員がディレクターを信頼していますし、いつも完成が楽しみで仕方がないです。

――TAKUMIさんは福島県出身で、東日本大震災を機にダンスを始められたということで。

TAKUMI:シンプルにダンスが好きで、辛い気持ちにならなかったんです。あの大変な時期に熱中したダンスを仕事にできていることがありがたい。だから自分も子どもたちに夢を与えられる存在になりたいですね。

――「Dリーガーになる」という選択肢が、後続の人にとって大きな選択肢のひとつになっていく気がします。

TAKUMI:この場を作ってくださっている、D.LEAGUEの関係者の方々には本当に感謝です。Dリーガーになる前は大学に通いながら活動していましたが、もしダンスを職業にする未来が思い浮かばなかったら趣味にしようと思っていました。このリーグをきっかけに本場のストリートシーンや深い部分にまで興味を持ってくれる人が増えたら嬉しいです。

Legitに参加して一番の感動

――チームとしてはイギリスのテレビ番組「Britain’s Got Talent 2024」でゴールデンブザー(最高評価のパフォーマンス)を獲得し、セミファイナルにまで出場しています。そのときの反響はいかがでしたか。

TAKUMI:すごかったです。全員がスタンディングオベーションで「ゴールデンブザー! ゴールデンブザー!」という大合唱。それで審査員のサイモン・コーウェルさんが話している声が聞こえなくなったんですよ(笑)。その観客の熱気に押されて彼がブザーを押したんです。あの光景はLegitで活動していて一番の感動でした。

――海外での活動を踏まえて、日本のシーンはどう見えていますか?

TAKUMI:イギリスはエンタメが根付いた国だなと思いましたが、「ダンスは海外が本場」という感覚はないですね。「違うダンスシーンだな」という程度。

日本は踊りの面でいえば緻密ですよね。「振りを揃える」ということに関して意識が高い。あとはD.LEAGUEの盛り上がりもすごいですし、独自に発展したカルチャーになっていると思います。もっと貢献していきたいです。

――プライベートについても聞きたいと思います。オフの日は何をされますか?

TAKUMI:アウトドア派ですね。とにかく自然が好きなので川や渓谷に行きます。あとは服をまとめて買いに行ったり。友達に聞いたりして、なるべく新しい店で買うことが多いかもしれません。

――ファッションのこだわりは?

TAKUMI:何でも着てみたいので、「自分っぽさ」を作らないようにしています。暗めからカラフルな色、フォーマル、カジュアルなど分け隔てなく着ますね。

――他に趣味などがあれば教えてください。

TAKUMI:スポーツ観戦は大好きで、特にアメリカのメジャーリーグはオタクですね。あと最近は海外サッカーとNBAも観始めました。面白いことに、シーズンを通して打てていた人がポストシーズンで急に調子が悪くなったり、逆にダメダメだった人が打ったりする。

それも偶然じゃないんですよね。彼らのメンタリティは勉強になります。自分の好きな選手が活躍したシーンを思い浮かべて、「自分はそちら側の人間だ」と憑依(ひょうい)させてから試合に臨んだこともありました。

――何でもダンスに通じてしまうんですね。何も考えずに楽しむ趣味などは……?

TAKUMI:動物の動画ですかね(笑)。最初は犬とかレッサーパンダが可愛くて観ていたのですが、だんだんとSNSで上がってくる動物関連のポストの野性味が増してきました。今はサバンナで肉食動物が狩りをする動画で攻防を楽しんでます。

――いよいよレギュラーシーズンを終えて、CHAMPIONSHIP(CS)へと向かっていくわけですが、どう戦っていきますか。

TAKUMI:まずはシーズンをいい形で終われるように、最後の最後まで気を引き締めて頑張ります。CSにいい流れで迎えるようにしたいですね。

CSは過去2回負けているので、今年は絶対獲りたいんですよ。念願の優勝に向けて可能なことは全て尽くしていきたいです。練習は痺れるスケジュールになると思いますが、チームで励ましあって頑張ります。

Profile/TAKUMI
9歳の頃まで野球一筋で、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が始まると、日本、韓国チーム選手全員の打率まで暗記するほど夢中になっていた。2011年の東日本大震災によって、外出自粛の中、屋内でできるスポーツを探したところダンスと出会う。

その後”DANCE ALIVE KIDS FINAL” や”WDC 2on2 KIDS FINAL”優勝などバトル、コンテスト両方で数多くの全国大会優勝経験をを誇り、”NY アポロシアターアマチュアナイト ” では自身の振り付けで月間百点満点優勝をするなど海外でも活躍。

D.LEAGUEでは、「D.LEAGUE 22-23 SEANSON」のCYPHER ROUNDで最高得点を叩き出すなど圧倒的な存在感を出すほか、「D.LEAGUE 22-23 SEASON」、「D.LEAGUE 23-24 SEASON」 二年連続“MVD OF THE YEAR”を受賞。チームを牽引し悲願のCHAMPIONSHIP優勝を狙う。

2023年3 月早稲田大学法学部卒業。LDH 史上最大オーディション「iCONZ 第二章」より結成されたグループ「THE JET BOY BANGERZ」にも所属。

Instagram:@beatelements_takumi
X:@legi_takumi

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