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「もう一度観る自信ない」豪華キャストの“体当たり演技”に視聴者騒然…“タイトルの意味”に物議を醸した衝撃映画

  • 2025.6.15

映画には、心を揺さぶり、涙を誘う“号泣必至の名作”があります。今回は、そんな感動作を5本セレクトしました。本記事では第5弾として『八日目の蝉』をご紹介します。八日目の蝉は幸せかもしれない――逃避行の中で交わされた母子の愛が、観る人の心を締めつける感動作です――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

「ありがとう」と語る誘拐犯 - 罪に手を染めた女の逃避行

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(C)SANKEI
  • 作品名:映画『八日目の蝉』
  • 公開日:2011年04月29日
  • 主演:井上真央(秋山恵理菜 役)、永作博美(野々宮希和子 役)

不倫相手の子を誘拐した野々宮希和子(永作博美)は、4年間逃亡しながらその子を育てた末に逮捕。「ありがとう、子育てできて幸せでした」と語る彼女に、反省の色はありませんでした。

誘拐された少女・薫(井上真央)は成長後も心に深い傷を抱え、孤独に生きています。ある日妊娠が発覚し、記者・千草(小池栄子)との出会いをきっかけに、封じ込めていた記憶と向き合うことに…。

やがて薫は、希和子と過ごした島を再訪しますが―。

「圧倒的な演技」…“涙を誘う母と娘の記憶”

角田光代さんの人気小説を映画化した『八日目の蝉』は、2011年に公開されました。

本作は「母性とは何か」「本当の親子とは何か」という普遍的な問いを投げかけ、多くの観客の心を揺さぶりました。
誘拐犯でありながら、主人公を深く愛し育てた希和子、その愛を信じて育った娘・恵理菜、そして実母・恵津子(森口瑤子)が抱えるわだかまり――異なる立場から描かれる“母と娘”の関係は、切なくも温かく、観る者の涙を誘います。

物語は、恵理菜が過去と向き合う現在と、希和子との逃亡生活を送っていた過去の記憶を巧みに交錯させながら進みます。記憶を辿りながら、恵理菜が“自分は確かに愛されていた”と気づいていく様子に、心を動かされた方も多いのではないでしょうか。

演技面では、永作博美さんが鬼気迫る熱演で希和子を演じきり、井上真央さんも抑制の効いた演技で恵理菜役を見事に体現。「イメージを一新した」「圧倒的な演技」といった声も寄せられました。

体当たりで挑んだ主演女優たち

恵理菜を演じた井上真央さんは、撮影を振り返り、次のように語っています。

悩み抜いて演じた作品です。一つの光を信じるように、違う景色が見えるかもしれないと信じて頑張りました。出典:井上真央『八日目の蝉』初日挨拶で「子役の目力を参考にしました」(MOVIE WALKER PRESS)2011年4月29日配信

また、希和子役の永作博美さんも、劇中に自らの地毛を切り落とす体当たりな演技に挑戦。

切るしかなかったんで、迷いもなく……。こんな機会でもなければ短くすることもなかったし、さっぱりして良かったですよ。出典:井上真央、裸でぶつかった「八日目の蝉」完成に感無量(映画.com)2011年2月28日配信

永作さんは2010年5月に第一子を出産しており、八日目の蝉は復帰作となりました。赤ちゃんや乳幼児も出演する今回の現場では、永作さんの母としての一面も大いに活かされたようです。

SNSでは、「あの永作さんの演技で更にジリジリ心に焼きついて…」「頑張って逃げてほしいってついつい思ってしまった」「もう一度観る自信ない」と、誘拐犯である希和子に思わず感情移入してしまうほど、永作さんの演技に絶賛の声が集まっていました。

あまりにも見事なキャストの快演と、考えさせられる脚本に「グサグサ突き刺さる」「原作至上派だが、これに関しては映画の方が感動した」と言ったコメントが見受けられました。

「何故八日目なのか?」許されない選択の先にあった「希望」- 「八日目」を生きた母娘

SNSには「何故八日目なのか?それを知るともっと面白いかも」という声も寄せられています。

実際、タイトルの意味を知ることで、物語の深みがいっそう際立ちます。
蝉は地中で数年を過ごし、地上で生きるのはわずか七日間と言われています。その「七日目」を超えた「八日目」とは、本来存在しないはずの一日。つまり、許されなかった時間や、予定されていなかった人生を象徴しているのかもしれません。

誘拐犯として逃げながらも、娘のように幼い子を育てた希和子。誘拐された過去と向き合い、自分が愛されていた記憶を手繰り寄せる恵理菜。二人はともに、社会の枠から外れた“八日目”という時間を必死に生きてきました。

八日目の蝉は仲間の居ない孤独の中を生きることになるが、見ることのないはずだった世界を見ることができ、それは希望にもなりうる…」――そんな解釈が浮かぶほどに、この作品は“異なる生”の孤独と切なさ、そして儚い希望を見事に描いています。

母と娘、愛と罪、そして赦し――すべてがキャスト陣の迫真の演技で描かれた本作は、まさに“号泣必至の名作”と呼ぶにふさわしい一本です。


※記事は執筆時点の情報です