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30年前、日本中が虜になった“美しき狂気のラブソング” J-POP黄金期に100万枚超を売り上げた“異端のヒット曲”

  • 2025.6.5

「30年前、どんな音楽に夢中になっていたか覚えてる?」

1995年10月にリリースされたB’zの『LOVE PHANTOM』は、J-POP史においても一際異彩を放つロックナンバーだ。イントロが流れた瞬間、耳を駆け巡るオーケストラと荘厳なコーラスに驚き、そして心を奪われる。

それまでのB’zにはなかったクラシックとロックの融合、ミステリアスで重厚な世界観ーー。美しくも危ういその音は、多くのリスナーにとって衝撃だった。

それはまさに、“J-ROCKの限界を押し広げた一曲”だった。松本孝弘のギターと稲葉浩志のボーカルが、情熱と緊張感の中で火花を散らす。当時のJ-POPシーンにおいて、ここまで“芸術性と爆発力”を兼ね備えた楽曲は印象的だった。

日本中が虜になった“美しき狂気のラブソング”

『LOVE PHANTOM』で描いた稲葉浩志の歌詞は詩的かつ直接的で、リスナーの内面に潜む複雑な感情を鮮やかにすくい上げている。

サビに至るまでの静と動のコントラストや爆発的なギターリフが、楽曲全体に緊張感と高揚感をもたらす。抑えきれない衝動と、どこか抗いがたい破滅願望。そこに漂う危うさが、多くの人を惹きつけた。

理性と狂気がせめぎ合うこの曲で、B’zは音楽表現の新たな領域を切り開いた。

J-POP黄金期に100万枚超を売り上げた“異端のヒット曲”

『LOVE PHANTOM』がリリースされた1995年、B’zはすでに国民的バンドとしての地位を確立していた。しかしこの曲によって、“B’zはただのヒットメーカーではない”ということが世に示された。

オリコンチャートでミリオンセールスを記録し、テレビ朝日系で放送された海外ドラマ『X-ファイル』の日本版プロモーションではイメージソングとして使用され、話題を呼んだ。同時に、ライブでのパフォーマンスも圧巻で、ステージ上で繰り広げられる壮大な演出は、観る者に“非日常の物語”を体感させた。

ライブでこの曲が流れ始めると、会場全体が一気に緊張感と熱気に包まれた。それでも『LOVE PHANTOM』は、単なるヒット曲ではなかった。“時代そのものの空気”を封じ込めた、ひとつの“芸術”とも言えた。

いま聴いても、なお鮮烈な存在

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(C)SANKEI

30年が経った今でも、この曲のイントロが流れると、誰もが一瞬で“あの時代”に引き戻される。CDの売上やチャートの数字以上に、この曲が残したものは、聴いた人の心に刻まれた衝撃だ。

音楽が“時代を切り取る”という感覚を、体験として知っている人にとって、この曲は特別な一本になっている。

B’zが生み出したこのラブソングは、令和の今もなお、新鮮な熱量を保ったまま、聴く人の胸を打ち続けている。それこそが、『LOVE PHANTOM』が“時代を超えて語り継がれる名曲”である所以なのだ。


※この記事は執筆時点の情報です。