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GWは大阪の穴場へ!千林商店街で味わう下町文化の旅。

  • 2025.4.30

北海道の田舎から関西に移り住んだ僕が、何よりも「おもろい」と感じたこと。

それは商店街を中心に広がる、大阪独特の下町文化だった。大阪には数多くの商店街がひしめき合い、それぞれにユニークな特色がある。

商人の街・大阪ならではの風景だが、その中でも名を馳せているのが「大阪三大商店街」として知られる天神橋筋商店街、駒川商店街、千林商店街だ。

地元民に愛され続ける「千林商店街」

地元民で賑わう千林商店街

そのうちのひとつ、千林商店街は「日本一安い商店街」とも呼ばれる、地元の人々に愛されているスポット。

大阪メトロの「千林大宮駅」から京阪電鉄の「千林駅」までの約660mのアーケードには、飲み屋や生鮮食品店、金物屋、古着屋、パン屋に純喫茶などなど、多彩な店が軒を連ねる。

花屋の軒先に並ぶおもちゃ

観光地のような華やかさはなく、三大商店街のなかでも観光客は少なめ。しかしその分、地元の人たちがのんびりと買い物を楽しむ姿があり、大阪の下町文化を肌で感じることができる。

今年のGWは大阪万博の開催もあり、梅田や心斎橋、難波などの繁華街は混雑が予想される。

もちろん、そういったエリアも楽しいのだが、もし観光地の喧騒から少し離れてみたくなったなら、この千林商店街を訪れてみるのはいかがだろうか。

今回は、そんな大阪の穴場・千林商店街とその周辺でのんびりと、そして楽しく過ごせるおすすめスポットを紹介したい。

バリ安、99円パン

激安&絶品!「ねぎすじの店」

路地裏に佇む「ねぎすじの店」

関西の名物料理・ねぎ焼きを千林商店街で食べるなら、路地裏にひっそりと佇む「ねぎすじの店」がおすすめ。

大通りから細い道を抜けた先にあり、少し見つけにくいが、それがまた隠れた名店の風格を漂わせている。

お店は屋台形式で、メニューは「ねぎ焼すじ」(600円)の一種類のみ。たっぷり入った牛すじと青ねぎが生み出す甘みと食感は絶品。本当に600円でいいの?!と言いたくなるほどのボリュームと美味しさだ。

マヨネーズと七味唐辛子のトッピングがおすすめ

気さくで温かい雰囲気を纏っている店主さんは、きっと子ども好き。屋台の下の壁には、子どもたちがかまぼこ板に描いた可愛らしいイラストが並んでおり、ほっこりとした気持ちにさせてくれる。

ねぎ焼きの美味しさに加え、店主さんの人柄が訪れる人の心を癒してくれるお店だ。

子どもによるかまぼこ板アート

「喫茶 再会」でひとやすみ

レトロ純喫茶「喫茶 再会」

商店街の散策に少し疲れたら「喫茶 再会」の扉を開けてみてほしい。

ここは千林商店街に隣接する小さな通り「あじな商店街」にひっそりと佇む、昭和29年創業の老舗純喫茶。

赤煉瓦調の壁とやわらかな照明が、まるで時間の流れをゆるやかにしてくれるような、どこか懐かしい空間を作り出している。流れるBGMも心地よく、外の喧騒とは切り離された静かな時間がここにはある。

この店の名物は「タマゴサンド」。

ふわっふわのオムレツを挟んだボリューム満点の逸品。ぜひ注文してみてほしいが、今回はホットケーキとコーヒーを注文したので、そちらをご紹介。

ホットケーキとホットコーヒー

ホットケーキは素朴ながらしっかりとした美味しさ。シロップをたっぷり染み込ませて口に運ぶと、どこか懐かしい甘さが広がる。

コーヒーは香ばしく、ほどよい苦味が心地よい。酸味控えめの深い味わいが、甘いホットケーキとの相性抜群だ。

店内には常連さんの姿も多いが、妙な騒がしさはなく、温かな空気に満ちている。そんな心地よさに、コーヒーを片手に読書をしたり、ぼんやりと物思いに耽りながら、ついつい長居をしてしまいたくなる。

あじな商店街は昭和の香りが残る

明治13年創業「御菓子司 寳来堂」

「御菓子司 寳来堂」

千林商店街を抜け、大阪メトロを挟んで反対側の通りには、地元で長く愛される和菓子屋「御菓子司 寳来堂」がある。

明治13年創業。素材へのこだわり、数々の受賞歴、確かな技術。そして何より、時代を超えて受け継がれる伝統の味。それだけでも訪れる価値はあるのだが、この店にはもうひとつ、心を惹きつける光景があった。

店先には、店主のおじいさんがにこやかに立ち、傍らでは宿題をしている子ども(おそらく孫だろうか)の姿が。優しいおじいさんが作る和菓子に囲まれながら、のんびりと勉強する孫。これは都会ではなかなか見られない風景かもしれない。

おすすめの和菓子は「あんバターどら焼き」。北海道産小麦のしっとり生地に、北海道産あんことバターをたっぷりと挟んだ上品なひと品。あんこの優しい甘みとバターのコクが絶妙に絡み合い、ひと口で幸せな気持ちになれる。

あんバターどら焼き

せっかく千林に来たなら、旅のお土産にここの和菓子を選んでみてはいかがだろうか。

旅の締めくくりに「神徳温泉」の軟水でお肌つるつるに!

「神徳温泉」

「寳来堂」の近くに、旅の疲れを癒すのにぴったりの銭湯がある。地元の人に愛される「神徳温泉」だ。

特筆すべきは、すべての浴槽に軟水装置が導入されていること。軟水は肌に優しく、湯上がり後はつるつるすべすべになると評判。

場内は銭湯としてはかなり広々としており、浴槽の種類も豊富。特にサウナ(別料金)は清潔に保たれ、しっかりとした熱さを感じられるので、サウナ好きにはたまらないだろう。

そして何より、この場所に流れる地元の空気が心地いい。時折耳に入る常連客同士の会話を聞いていると、まるで自分も大阪の街に溶け込んだような気分になる。

商店街を巡り、美味しいものを食べ歩いた後は、ここでゆったりと湯に浸かり、一日の締めくくりをしてほしい。

夕暮れ時の通りはどこかノスタルジック

千林商店街で下町文化を味わう旅を

商店街のキャラ「ふうわくん」たちがお出迎え

千林商店街。

そこには大阪の下町文化が息づき、今も昔も変わらず、人々の日常が流れている。

アーケードを歩けば次々と目に入る安くて、ユニークで、楽しい店々。そして温かい人々。

目まぐるしく移ろう時代の中で、こんなにも懐かしく、素敵な景色に出会えるのは、やはり大阪ならではだろうか。だから僕は、大阪の商店街が好きなのだ。

路地裏でねぎ焼きを頬張り、純喫茶でホットケーキとコーヒーを楽しみ、老舗の和菓子屋で温もりを感じるお菓子をお土産に。そして最後は銭湯で、湯に浸かりながら一日を振り返る。

それは観光地の喧騒とは違う、庶民的でゆるやか時間だ。大阪の下町を歩く旅。今年のGWは、そんな特別な一日を過ごしてみてはいかがだろうか。

バナナの写真を撮ってたら、おっちゃんに「兄ちゃん、なんでバナナ撮ってるのん?」と声を掛けられた

All photos by Satofumi Kimura

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