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「もう自信ない、やれない、怖い」芳根京子、朝ドラ出演後の苦悩を告白…賛否巻き起こるも“快演で魅せた”秀作

  • 2025.6.5

名作と言われるドラマや映画の中には、私たちの心を揺さぶる作品があります。今回は、そんな作品を5つセレクトしました。本記事では第3弾として、『べっぴんさん』をご紹介します。焼け跡にオープンした、小さな手作りの店。何も持たない若い母親たちが、子どもたちの未来を守るために選んだ道とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

「赤ちゃんのために」針を持った女性たち

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(C)SANKEI
  • 作品名:『べっぴんさん』
  • 放送期間:2016年10月3日 - 2017年4月1日
  • 主演:芳根京子(坂東すみれ 役)

神戸の裕福な家庭に育ったすみれ(芳根京子)は、幼い頃に母を亡くし、「思いを伝えられるような“べっぴん(別品)さん”」を作る人になりたいと願います。
「勇気」「愛情」「信頼」「希望」――すべてが揃うと幸せになれる。母が教えてくれた四つ葉の意味は、すみれの人生の信条となりました。

しかしその後、戦争によってすべてを奪われ、夫・紀夫(永山絢斗)の出征、家の焼失、娘の出産と育児に直面します。
焦土と化した神戸で、すみれは女性たちとともに小さな子ども服店を立ち上げました。やがて店は〈キアリス〉という企業に成長します。けれど、仕事と家庭の両立、夫婦のすれ違い、娘・さくら(井頭愛海)との確執――すみれの前には、まだ数えきれない選択と試練が待ち受けているのでした…。

「まさに別品」ー 子どものために、より良いものを

ドラマ『べっぴんさん』は、戦後に子ども服メーカー〈ファミリア〉を創業した女性たちの実話をもとに描かれています。

創業者・坂野惇子さんは、神戸の良家に育ちながら、戦争ですべてを失いました。そんな中、手芸の腕を活かし、仲間とともにベビー服作りを始めたのが出発点です。「子どものために」を第一に考えて作られた〈ファミリア〉の商品は、まさに“別品”。百貨店での販売を経て、やがて関西を中心に広まりました。

また、坂野さんは、上皇后・美智子さまがまだ民間人だった頃にお会いしており、美智子さまが坂野家の別荘を訪れたこともあったそう。こうしたご縁から、現・天皇陛下である徳仁親王(浩宮さま)ご誕生の際、〈ファミリア〉は80点に及ぶベビー用品を納めました。

原点にあるのは、「子どものために、より良いものを届けたい」という熱い想い。〈ファミリア〉は令和の今も、子育てを支えるブランドとして厚い信頼を得ています。

「私もう自信ない…」朝ドラヒロインが赤裸々告白

『べっぴんさん』でヒロイン・坂東すみれを演じた芳根京子さんは、当時19歳。10か月に及ぶ撮影の最終日、紙吹雪が舞うスタジオで共演者に祝福され、大粒の涙を流しました。

しかし2年後、俳優を辞めようと真剣に悩んでいた時期があったと告白。

私もう自信ない、やれない、怖いって思って
出典:フジテレビ「ぽかぽか」2025年4月24日放送回

と感じ、マネージャーと社長に“向いてない”と打ち明けたといいます。それでも、周囲の言葉や作品に救われ、頑張ってみようと思えるようになったと語ります。

今は辞めることは一切考えておらず前を向いてお芝居を楽しんでいるそうです。『べっぴんさん』は、芳根さんにとって原点であり、支えとなりました。

丁寧な描写とキャストの快演が光る名作

『べっぴんさん』には、放送当時から賛否の声が寄せられました。

中には「完走できなかった」「最後まで見た上で疑問しかなかったのがべっぴんさん」といった辛口の意見も。

一方で、「暖かくて、優しくて、起業の強い芯みたいなものを奇麗に削り出した銘品」「このドラマが大好きで、べっぴんさん展に行ったのが大切な思い出」「賛否はあったけど、俳優たちの作り出す空気感は独特で良かったな」と、共鳴する声も多く見られます。

丁寧に、人と暮らしを描いたこのドラマは――“心を込めたものづくり”が、時代を超えて人の心を動かすことを教えてくれる名作です。


※記事は執筆時点の情報です