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「合体してないから不倫じゃない」どこからが不倫?”攻めた脚本”に物議…それでも「今まで見たドラマの中で一番好き」大絶賛の傑作

  • 2025.5.26

忘れられない名作には、時代を超えて愛される理由があります。今回は、そんな名作ドラマを5本セレクトしました。
本記事では第3弾として『離婚しようよ』をご紹介します。「おしどり夫婦」と呼ばれながら実際はすれ違う日々…。世間の目と愛憎の狭間で揺れたふたりが選んだ未来とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

「勝ったら別れよう」― “支えるふり”と“離れる決意”

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(C)SANKEI
  • 作品名:『離婚しようよ』
  • 配信期間:2023年6月22日〜
  • 主演:松坂桃李(東海林大志 役)/ 仲里依紗(黒澤ゆい 役)

若手・世襲議員の大志(松坂桃李)と国民的女優のゆい(仲里依紗)は、世間からおしどり夫婦と見られながら、実は家庭内別居状態。互いに離婚を望みながらも、それぞれの立場や世間体のために公表できずにいました。

夫・大志は女性スキャンダルで人気が低下した中、次期選挙を控える身。ゆいもまた、新たな恋の兆しに心が揺らいでいました。二人は離婚の意思を確認し合いますが、話し合いの末、「選挙に勝ったら離婚する」という約束を交わします。ゆいは選挙期間中“良き妻”を演じ、大志を支えます。そして大志も、勝利の先の“円満な離婚”を目指して奔走。

しかし、周囲の反対や複雑に絡み合う人間関係により、事態は思わぬ方向へ――。

「合体してないから不倫じゃない!」―  不倫はどこから? “合体論争”

『離婚しようよ』は、“離婚”というシリアスなテーマを扱いながら、決して重くならず、テンポよく進むユーモアと毒気で夫婦関係の本質を浮かび上がらせます。

数ある名シーンの中でも、SNSで特に話題になったのが“合体論争”。
加納恭二(錦戸亮)との不倫を認めたゆいに、東海林家の母・峰子(竹下景子)が言い放ちます。

合体してないから不倫じゃない!

この“合体”という言葉選びもさることながら、ゆいの返しも強烈です。

合体以外のことを全部やったんだから不倫!」…。

あまりにストレートで、思わず笑ってしまうやり取りですが、けれどその裏には、「不倫はどこからか」「どこまでがセーフか」という普遍的な問いが潜んでいます。誰もが一度は考えたことのあるテーマだからこそ、多くの人の心に刺さったのでしょう。

「このセリフ、どっち?」人気脚本家ふたりの“交換日記”

脚本を手がけたのは、『池袋ウエストゲートパーク』や『あまちゃん』で知られるクドカンこと宮藤官九郎さんと、『家売るオンナ』シリーズや『光る君へ』を世に送り出した大石静さん。異なる作風で知られる人気脚本家同士の初タッグです。

脚本は1話ごとの分担ではなく、交互にプロットを出し合い、シーン単位で割り振る“交換日記方式”で作成され、現場では俳優たちが「このセリフは宮藤さん?それとも大石さん?」と想像しながら演じたそうです。

“共感ゼロ”と“爆笑連発”が共存したドラマ

『離婚しようよ』には、放送直後から多くの感想が寄せられました。

一部には、「共感も感心も驚きも、何の感情も起きなかった」「政治、芸能、二世、不倫、姑、不全と問題が散らばりすぎてまとまりがなかった」との指摘も。

それでも圧倒的に多かったのは、「今まで見たドラマの中で一番好き!」「どうやったらそこまで面白く書けるのか、爆笑しっぱなしです!」といったコメントの数々。人気脚本家ふたりの化学反応に魅了された視聴者が続出しました。

「政治を皮肉ってる?」コメディに紛れた選挙のリアル

物語の後半、『離婚しようよ』は単なる夫婦のコメディから、“選挙ドラマ”へと展開。選挙の舞台裏がリアルに描かれます。

「政治家というか現政権をかなり皮肉っててなかなか面白いね」「選挙に行きたくなる」といった声も聞かれ、日本の政治への鋭い風刺と感じた人も多かったようです。

故郷愛に目覚めた大志が再選をかけて挑む選挙戦は、やがて彼自身の再出発の場ともなりました。

“別れるために支え合った”夫婦の結末とは…

『離婚しようよ』は、“別れ”を通して“再出発”を描いた物語です。

ふたりは世間や立場に縛られながらも、迷い、ぶつかり合い、自分たちらしい答えを見つけていきます。笑いの裏に本音と優しさがあり、選挙戦の舞台裏まで描ききった本作は、宮藤さんと大石さんのW脚本だからこそ生まれた、忘れられない一作です。


※記事は執筆時点の情報です