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22年前、日本中が耳を澄ませた“二面性ラブソング” 静かに熱く世界中に響き渡った“切実すぎる歌声”

  • 2025.6.1

「22年前の冬、どんな歌が心に残っていたか覚えてる?」

六本木ヒルズがオープン、阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝、織田裕二主演の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』が大ヒットした2003年。この年の冬、日本中にそっと降り積もったのは、白い雪だけではなかった。それは、心の奥にやさしく染み込む一曲だった。

2003年10月1日に発売された中島美嘉『雪の華』(作詞:Satomi、作曲:松本良喜)—。

この曲は、当初大々的なプロモーションがあったわけではなかったが、口コミやラジオ、そして何よりその“切ないすぎる歌声”によって、じわじわと人気が広がっていった。

以降、現在に至るまで「冬といえばこの曲」と20年以上に渡り大きな支持を集める冬の定番バラードとなった。

“誰かを大切に思う”気持ちの結晶

『雪の華』は、印象的な歌い出しから始まる、切なくも温かいラブソング。寒さの厳しい冬といえば“別れ”を連想されることが多いが、この曲は恋人と過ごす何気ない日常のささやかな幸せ、それを守りたいという切なる願い、そして相手への“無償の愛”が静かな旋律の中に丁寧に描かれている。

決して派手な曲調ではないが、洗練されたメロディと“言葉の温度”が心にじんわりと広がっていく。

そして何より、それを歌い上げる中島美嘉の声。

当時20歳だった中島の儚さと強さを同時に持ち合わせた歌声が、この曲に“冬の静けさ”と“想いの熱”という相反する感情を共存させていたといえる。

“声”が描き出す風景と感情

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(C)SANKEI

2001年、『STARS』でデビューした中島美嘉というアーティストは、デビュー当時から“唯一無二の存在感”を放っていた。整ったビジュアルとミステリアスな雰囲気、そして語りかけるような歌い方ーー。

ひとつひとつの言葉が、吐く息のように白く漂い、聴く人それぞれの“心の雪景色”を描いてくれる。耳で聴くというより、胸の奥にそっと降り積もるような楽曲だった。

静かに熱く、響き渡った“20歳の歌声”

『雪の華』は、その後も多くのアーティストにカバーされ、ドラマや映画、CMなどでもたびたび使用され、2019年には同名タイトルで登坂広臣(三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)と中条あやみ主演で映画化もされた。

冬の空気に触れると、自然とこの曲がよみがえる。静かな夜、吐く息が白くなるたびに、あのメロディが胸の奥でそっと鳴り始める。『雪の華』は、冬そのものの記憶と、誰かを想うぬくもりを重ねるようにして、今も私たちの心に降り続けている。

22年目を迎える2025年も、冬になるとこの曲を口ずさむ人は多いだろう。

“誰かを想う”という気持ちが、時代を超えて変わらないものだからーー。


※この記事は執筆時点の情報です。