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與 真司郎さん初登場。カミングアウトを経て見つけ出した【ありのままの自分】でいるための哲学

  • 2025.4.18

男女混合パフォーマンスグループ『AAA』のメンバーとして活躍し、現在はソロアーティストとしても活動している與 真司郎さん。グループ在籍時にアメリカに留学し、自らの道を切り拓き始めた彼は、2023年にファンの前でゲイであることをカミングアウト。“ありのままの自分”について真摯に語ったその姿は、ファンだけでなく多くの人の心を動かしました。今回、MAQUIAオンラインでは、自分らしさを貫く與さんのビューティ哲学をクローズアップ。さらに、自身の過去やカミングアウトへの葛藤を率直に綴った4月16日発売のフォトエッセイ『人生そんなもん』(講談社)のお話もたっぷり伺います。

與真司郎さんインタビュー
出典元:MAQUIA ONLINE
與 真司郎さん初登場。カミングアウトを経て見つけ出した【ありのままの自分】でいるための哲学_2
出典元:MAQUIA ONLINE

1988年11月26日生まれ、京都府出身。2005年に男女混合のパフォーマンスグループ『AAA』のメンバーとしてデビュー。ソロアーティストとしてもアリーナ公演を開催。2021年にアパレルなどを扱うライフスタイルブランド「446 - DOUBLE FOUR SIX - 」を立ち上げ、ブランドプロデューサーとしても活動中。カミングアウトへの葛藤や半生を綴ったフォトエッセイ『人生そんなもん』(講談社)が4月16日より発売に。

「スキンケアは自分と向き合う時間。部屋を真っ暗にして、肌に触れた感覚に集中します」(與さん)

今回のインタビューが行われたのは、フォトエッセイのプレス取材DAY。早朝から夜まで取材が続く中、その日のラストとなったMAQUIAオンラインの撮影でも、毛穴レスでツヤツヤな美肌をキープしていた與さん。「最近は花粉のせいでちょっと肌荒れしていて。いつもはもっと調子がいいんですよ(笑)」と語りつつ、美肌の秘訣を教えてくれました。

「乾燥肌かつ敏感肌なので、保湿をかなり重視していますが、今はスキンケアのステップ自体はすごくシンプル。ブースター、化粧水、美容液、乳液orクリームの4ステップで完了します。以前は倍の行程でケアをしていたけれど、肌に与えすぎていた気がして……。大切なのは、自分に合うものを見つけること。そこをちゃんと押さえていれば、スキンケアのプロセスは引き算してもいいんじゃないかなって。実際、今の方が肌の調子も良くなっていると思います。

スキンケアをする時は、部屋を真っ暗にするのが僕のこだわり。暗くすることで手の感覚に集中できるから、『今日はザラついているな』とか『もうちょっと寝た方が肌の調子が良くなりそう』みたいに、肌の状態にしっかりと向き合うことができるんです。夜はヒーリング音楽を流してメディテーション感覚でお手入れするのですが、スキンケアを通して自分と向き合う時間がすごく好きですね。

保湿以外でいうと、最近は落とすケアを強化中。今まで休みの日などメイクをしない日は洗顔のみだったけれど、ホコリや花粉を落とすためにクレンジングもした方がいいと聞いて実践するように。きちんと落とすと肌の感触も変わってくるので、自分の肌に合うクレンジングを使っています」

與真司郎さんインタビュー
出典元:MAQUIA ONLINE

「食事はグルテン&ラクトースフリーが基本。体もマインドも軽やかになるんです」

「スキンケアと同じくらい大切にしているのが、インナーケア。胃腸やマインドの状態は肌に繋がるので、内側から整えることを心がけています。そう考えるようになったのは、ロサンゼルスで生活していた影響が大きいかも。というのも、美容意識に関しては日本の方が高いと感じることが多いけれど、ロサンゼルスは健康意識がすごく高いんですよね。僕自身も食事にかなり気を配るようになり、今はグルテンフリー&ラクトースフリーが基本。脂っこいものもできるだけ控えるようにしています。それだけで体がすごく軽く感じるし、マインドも軽快になる気がします。

マインドの安定に関していえば、睡眠もすごく重要。眠りの質を高めるために、スマートフォンはブルーライトをカット。帰宅したらすぐにナイトモードに設定して、できるだけ見ないようにしています。そして、入浴も快眠に導く要素のひとつ。浴室を真っ暗にして、エプソムソルトを入れた湯船に浸かりながらメディテーションをすることで、気持ちがスーッと落ち着くんです。それだけ準備してもなかなか寝付けない日は、夜ヨガを実践。ゆっくりストレッチしていると徐々に心も体もリラックスしてきて、やっている途中から眠くなってくるのでオススメです。ちなみに、ルームフレグランスは複数の香りをミックスするのが好きなんですよね。部屋のあちこちにディフューザーをおいているので、いろいろと混ざりまくっているかも(笑)。香水もいくつか重ねて、オリジナルの香りを楽しんでいます」

與真司郎さんインタビュー
出典元:MAQUIA ONLINE

「精神的に一番辛かったのは、カミングアウト後。“やらなければよかった”と後悔したことも」

「僕が美しさを感じるのは、自信を持っている人。ブレない芯を持ち、自分らしく生きている人を見ると素敵だなと思います」と、與さん。現在の彼自身はまさにそれを体現しているように感じられるけれど、そこに辿り着くまでには長い時間がかかったのだそう。ゲイであることを隠し続けた日々。“本当の自分は受け入れられていない”という思いから自信を持つことができず、誰といても孤独感がつきまとう---。フォトエッセイ『人生そんなもん』で綴られる與さんのかつての苦しみの深さは、読むと胸が痛くなるほど。


「当時は『AAA』のメンバーや会社の方たちに迷惑をかけてはいけないという思いが強かったので、隠すという選択肢しかなかったんですよね。そんな自分に疲れ果てて本当の自分を伝える決意をしたものの、カミングアウトした後にはまた別の葛藤が。『ファンの方を傷つけてしまったのでは』という思いから、精神的にかなり落ち込んでしまって……。周りの人たちは『真司郎の行動でいろんな人が救われたと思うよ』と言ってくれたけれど、“やらなければよかったのかな……”と自信をなくすこともありました。自分の気持ちは全く追いついていない状態でした。そこから半年ほどかけていろんな経験を重ねる中で、徐々に自分の選択は正しかったと思えるように。失うものも多かったけれど、自分らしく生きることを選んで良かったと今は心の底から思っています。

これまでの全ての経験を踏まえて僕が改めて感じているのは、自分らしく生きるには自信が必要だということ。じゃあ自信を得るにはどうしたらいいかというと、自分が“これだ!”と思うものを見つけて、ひたすら取り組むことなんじゃないかなって。もちろん上手くいかないこともあるけれど、そこで諦めちゃダメなんです。僕の本のタイトルのように、『人生そんなもん』と考えて、すぐ次の行動に移す。そうやってトライ&エラーを繰り返していくのが人生だと思うし、諦めずに続けていれば自分を理解してくれる人に出会えるはず。僕自身も“生きる価値なんてあるのかな”とまで思いながらも、何度も何度もトライし続けたことで、今は本当の自分を愛して受け入れてくれる家族、友達、スタッフ、ファンの方たちが周りにいてくれるように。すごく時間はかかったけれど、誰に何を言われても揺らぐことのない自信を手に入れることができました」

與真司郎さんインタビュー
出典元:MAQUIA ONLINE

「たった一人でもいい。悩みを抱えている人に“諦めずに生きていれば、いつか光が見えるよ”と伝えたい」

カミングアウトから約2年。世の中の仕組みも価値観も目まぐるしく変化する中、日本と海外を行き来しながら活動を続ける與さんがLGBTQ+に対する意識の変化を感じる部分は?
「アメリカと比較すると、日本のLGBTQ+に対する感覚は閉鎖的だと感じる部分も。でもある時、アジア系アメリカ人の知人に『アジアの他の国と比べると、日本はだいぶオープンマインドだと思うよ』と言われて。たしかに僕のカミングアウトに対してもポジティブな意見が多かったし、ファンの方やメディアの方もすごくサポートして下さっているんですよね。ただ、価値観がアップデートされている若い子たちの間でも、ジェンダーに関しては未だに言いづらい環境があるのも事実で。そこの問題はやっぱり根深いんだなって感じます。

一方、アメリカは多様性の国だと言われているけれど、州によってだいぶ異なるんです。そんな中でも、レディー・ガガをはじめとするアーティストやセレブたちは性的マイノリティをサポートする発言を公の場でしてくれている。それは本当に心強いですね。日本はそうやって声を上げる人がまだ少ないから、僕の行動や発言がほんの少しでも誰かの力になれたら……と思っています。

今回フォトエッセイを出版するのも、そういった思いから。過去の葛藤を振り返る中、当時の辛い気持ちが蘇ることもありました。でも“あの時の自分には絶対に戻りたくない”と感じる一方で、“あの時代があったからこそ、今の自分がある”ということに改めて気づくことができた。自分にとって、いい機会になったと思っています。この本以外にも、今制作されているドキュメンタリー映画や楽曲といった自分だけの表現を通して、生き方を伝えていくことや、自分が自分らしく人生を送り、カミングアウトをしてより幸せになった姿を発信し続けるのが僕の目標。

LGBTQ+の人に限らず、悩みやコンプレックスはきっと誰もが持っているはず。そういった人たちに、“前に進んでいれば、いつか必ず光は見える。だから、どんなに時間がかかっても諦めないでほしい”というメッセージが届いたら嬉しいですね」

與真司郎さんインタビュー
出典元:MAQUIA ONLINE

撮影/天日恵美子 取材・文/真島絵麻里 構成/火箱奈央(MAQUIA)

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