空間まるごと「新しい金沢時間」を提案するデザインホテルへ！【石川県・金沢市｜香林居】

2025.4.16

予定を詰め込む旅ではなく、籠って楽しめる場所でゆっくりと過ごす。そんな贅沢な旅のスタイルにいま私たちは心惹かれる。土地が紡いできた文化や伝統に、モダンな美意識を反映したデザイン宿で、豊かな時の流れを堪能するステイを。

香林居［石川県］金沢市

ハイフロアスイートシティビューは眺望も魅力。裸足の心地よさを、とローベッドに。茶器は九谷焼、錦山窯に特注、室内着はハルノブムラタ。

アーチの曲線美が誘う内なる旅の桃源郷。

金沢の中心地、香林坊に位置するモダンなブティックホテル。コンセプトは「新しい金沢時間を処方する」。金沢に流れる時間や空気を、緩やかに感じてもらいたいという思いが込められている。特徴はルーツを掘り下げ、空間デザインやコンテンツへと昇華している点。半世紀前に建設された九谷焼などを扱うギャラリー、眞美堂の建築をリノベーション。斬新なアーチ窓が連なるファサードを生かし、その曲線をシグネチャーに。部屋の入口やコーナー、ルームサイン、キーホルダーと館内各所のアクセントにしている。左官職人の手仕事でニュアンスのある色ムラに仕上げたグレーの壁の静謐な空間に、柔らかでありつつ凛としたアーチの曲線が随所に配され、視覚的にも心をほどく。

アーチのファサードが目印。宿は金沢駅から車で約10分。

チェックインは2階ロビーで。フリードリンクも提供。

眞美堂で扱っていた明治・大正期の輸出品の九谷焼。ウェルカムドリンクはこの茶器で香林にも通ずる桂花茶を提供。

アートスタイリングはカーチも運営するアンティークショップ、スクロの塚本美樹。花安藤の装花や中田雄一など地元作品と世界のアートの折衷で。

『香林居の本』（￥4,400）に描かれた英国在住アーティスト、ハリエット・リー＝メリオンによるキービジュアル。

香林居のネーミングは還俗僧の名を冠した所在地名に由来。延暦寺の僧侶だった香林坊は江戸時代に金沢で薬種商を営み、藩祖の目の病を治す薬で名をあげた人物。そういった土地に宿るストーリーは、ユニークなコンテンツで伝える。石川県の霊峰・白山の木々を蒸溜。地産地消のアメニティに仕上げ、館内使用はもちろん販売も行う。そもそも香林とは漢詩で異民族が共存する理想郷を意味し、金沢が宿す異文化を取り入れるバランス感覚を台湾朝食を提供するタイワニーズ・キュイジーヌのカーチや、客室に配された世界の名作椅子で表現。