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【北九州市漫画ミュージアム】心ときめく恋の色彩!わたせせいぞうの世界展

  • 2025.4.21

こんにちは!リビングふくおか・北九州Web地域特派員のかれんです。 気温も上がってきて、お出かけしたくなる日が増える季節に、ミュージアム鑑賞はいかがですか?

「ワタシも、こんな恋をしてみたい!」 「ワタシにも、こんな恋があったかも…」

そんな言葉がふと浮かぶのは、鮮やかな色彩と、やさしい表情の男女が描かれた一枚のイラストを見たとき。

今、大人の女性が一度は夢見た“理想の恋”や“ときめき”を感じられる企画展「画業50周年記念 わたせせいぞうの世界展 ―The road to Seizo Watase―」が北九州市漫画ミュージアムで開催中。

出典:リビングふくおか・北九州Web

北九州市漫画ミュージアム(あるあるCity5階) JR小倉駅北口から徒歩2分

幼少期から高校までを北九州市で過ごし、現在は北九州市漫画ミュージアムの名誉館長でもある、わたせせいぞうさん(以下わたせさん)。

時代を超えて愛され続けるイラストは、企業、大学、ミュージシャンへのプロモーションでも目にすることも多く、わたせさんのオリジナルカレンダーは1989年から新作を毎年描き続けるなど、精力的に活動されています。わたせさんの漫画を数冊持っていて、「世代ど真ん中」の50代の私がその魅力に迫ります。

スタイリッシュなトキメキが詰まった世界観

「ハートカクテル」など、都会的で洗練された男女の恋愛を描いてきた漫画家でありイラストレーターでもある、わたせさん。1980年代を中心に、イラストとショートストーリーが融合した独自のジャンルを築き上げ、今もなお男女問わず多くの読者を魅了しています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

屏風 漫画「菜」第2巻表紙

この「菜」の表紙のような、どこか映画のワンシーンのようで、でもどこか身近にも感じられる“恋の情景”は、まさに女子達が憧れる世界。この屏風の絵に引き込まれてしまいます。私が20代のシングルだった頃に、「こんな紳士的な男性がいてくれたら…」と理想の彼氏像を追いかけていたことが思い出されます。

色使いはあくまで優しく、漫画やイラストの登場人物たちの表情や仕草を見て、声にならない感情が込められているのを体感したり、妄想したりしてキュンキュンしたり、切ない気持ちになったり。時代は変わっても、その魅力は色あせることなく、多くの人の心をとらえ続けています。

50年の画業!見逃せない展示ポイント

わたせさんの公式サイトには、同展についてこのようなコメントが書かれていました。

「ありがとう!北九州」
18年間、ボクを育んでくれた北九州へ感謝のお返しの作品展です。
画業50周年記念と銘打っています。ナンセンス漫画から現在に至るまで、どうぞ50年分の作品をたっぷりとお楽しみ下さい。

わたせせいぞう 2025/03/15
出典:リビングふくおか・北九州Web

直筆サイン入りの50周年オブジェ

北九州市漫画ミュージアム学芸研究員の柴田さんに伺ったところ、「わたせさんが青春時代を過ごした場所ということで、初期のイラストから近年の作品まで約300点もの作品が展示されています。会場入口からすぐのところに、代表作「ハートカクテル」の連載当時の原画と漫画の表紙を比較できるような配置にして、壁面に展示しています。近年の作品とはまた違ったタッチで描かれているのも見どころです。」とのことでした。

出典:リビングふくおか・北九州Web

漫画「ハートカクテル」 原画(上)と実際の表紙(下)の比較も楽しい

手掛けた広告・企業とのコラボレーション作品も展示されており、当時の時代背景やカルチャーも一緒に楽しめます。50年という長い歩みのなかで、変わらない“わたせさんのカラー”と、その進化を感じられる貴重な展示を味わえます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

缶ビールのCM(下書き)

おどろきだったのが、わたせさんの子どもの頃の夢は新聞記者で、絵よりも文章を書く方が好きだったそうです。その夢はあきらめて保険会社の会社員になったこと。その後に「会社員」と「漫画家」の二刀流を40歳まで続けていたということ。今となってはデジタルでサクッと色を変えられますが、わたせさんは、アナログに紙に漫画を描いていた時代から活動を始めていて、どれだけのご苦労があったのかと考えると、本当に尊敬の念を覚えます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

わたせさんのプロフィール年表

つづいて、わたせ先生による描き下ろしイラストについてのコメントをご紹介します。

メインのポスターは市内中央を流れる紫川を背景にしました。ボクが住んでいた頃の紫川は、自慢できるものではありませんでしたが、今は浄化され、川沿いの歩道を多くの方が早朝からランニング、犬の散歩を楽しまれているようです。

わたせせいぞう 2025/03/15

「わたせさんはとてもご縁を大切にされる方で、青春時代を過ごした北九州とのつながりを大切にされています。こちらに飾ってある『紫川・春のデュエット』はわたせさんが今回の企画展のために描き下ろした作品で、「紫川と北九州のランドマーク」となる風景と桜を描いたものです。また、わたせさんは音楽を聴きながら制作されるそうで、絵の中にも音楽が流れています。」と、柴田さん。

『紫川・春のデュエット』のポスターの二人を見るだけでも、はぁーっとうらやましいため息が出るのに、描きおろしの絵の前に立つだけで、本当に絵の中に引き込まれてしまいそうです。

出典:リビングふくおか・北九州Web

さらなる恋の色彩をわたせさんの「描き下ろし」イラストで体感できます。

ラフ画や作画へのこだわりに触れる

本展では、完成された原画だけでなく、アイディアスケッチやラフ画、ネーム(構成案)も展示されています。線一本、色一塗りに込められたこだわりに触れることで、表現の裏側にある、わたせさんの情熱が伝わります。ささっと書かれている線にも温かさを感じられます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

鉛筆で描いた上に色鉛筆で色をのせ、イメージを作り上げる。

ラフでは、キャラクターの立ち位置や視線、花や鳥などの配置まで緻密に調整されていること。また、わたせさんは、洋服のシワにとてもこだわりがあって、ご自分で服を着てポージングをした写真を資料として見ながら、絵を描いているそうです。すごい!ご本人が映っている写真が展示されていますよ。どこにあるかは、行ってからのお楽しみにしていてくださいね!

また、1980年から1984年まで『小説推理』(双葉社)で掲載されていたナンセンス漫画「刑事くん」のラフ画も。ハートカクテルでわたせさんの存在を知った世代としては、わたせさんが4コマ漫画を描いていたという事実はとても新鮮でした。作品の裏側を知ることで、また違った視点でわたせワールドを味わうことができますね。

出典:リビングふくおか・北九州Web

漫画「刑事くん」のラフ画

春、トキメキを感じたい女子必見!

出典:リビングふくおか・北九州Web

画業50周年のポスター~数字に歴代の登場人物の顔が描かれている

何気ない仕草にキュンとしたり、すれ違う心に胸が痛んだり――少女時代に夢見た“理想の恋”が、わたせさんの描く世界に息づいています。

「こんな恋がしたい!」「もう恋なんて…」「こんな恋がしたかった」と思っていた人も、きっと心がふっとあたたかくなるはず。この春、“ときめく恋の色彩”を感じる体験を、北九州市漫画ミュージアムで楽しんでみてくださいね♪

画業50周年記念 わたせせいぞうの世界展 ―The road to Seizo Watase―
会期:2025年5月11日(日)まで
時間:11:00~19:00 ※入館は閉館の30分前まで
場所:北九州市漫画ミュージアム 企画展示室(北九州市小倉北区浅野2-14-5 あるあるCity5階)
休館日:毎週火曜日(祝・休日の場合は開館、翌水曜日休館)
入場料:一般 1,000円、中高生 600円、小学生 300円
※入場券は当日券のみ、会場にて販売
※本入場券で、6階常設展示室も観覧可能
問い合わせ:℡093-512-5077(北九州市漫画ミュージアム)

※記事に掲載した内容は公開日時点または取材時の情報です。変更される場合がありますので、お出かけの際は公式サイト等で最新情報の確認をしてください

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