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愛おしい標識たち。道路標識愛好家・山﨑賀功の東京編愛スポット

  • 2025.4.4
シャキッと矢印の道路標識、植物みたいな矢印の道路標識、くねくね矢印の道路標識

黙々と使命を全うする、愛おしい標識たち

道路標識をじっくりと観察したことはありますか。幼少の頃、交通の教本が目に留まり、道路標識一覧のページの虜(とりこ)になって以来、私は、ひたすら道路標識を追いかけてきました。

特にマニア心をくすぐるのが「指定方向外進行禁止」の標識。進行可能な方向や禁じられた方向を示すもの。その特性上、交差点の形状に合わせるため個性豊かで、「異形矢印」の愛称で撮り集めています。

どんな楽しみ方があるかというと……例えば、北区豊島にある「異形矢印」は、超複雑!墨田区「四ツ木橋南」交差点には、妖怪みたいな不気味すぎる矢印が鎮座。西東京市のひばりヶ丘駅前では、矢印が突然Uターン!複雑怪奇であるほどたまらない!そんな標識を見るたび「どうしてこんな形になったのだろう」と、思わず興味をそそられます。

さらに奥が深いのが、線の曲直。推しの矢印は、曲がりくねったものか、シャキッとしたものか……ここも好みの分かれどころです。前者ならば、足立区「四家」交差点の、妖しいうねりが惑わす矢印、後者ならば、板橋区「志村坂上」交差点の、直線的なフォルムが潔い矢印は外せません。

また、「この形、アレに見える!」なんていうのもあります。足立区千住桜木には、植物みたいなかわいい矢印。まるでヒトや文字に見えるものも。真面目なつもりが、思いがけず変な形になっちゃう、そんなところが愛くるしい……。標識たちは、今日もけなげに頑張っています。

超複雑な矢印の道路標識
王子駅の北側にあり、頭上を首都高の王子北ランプの高架が通る。斜めに並行する道路は都道306号で、首都高の橋脚を避け、上下線で分離している。都道に入るには左側通行のため、それぞれ右左折が制限されている。また、手前の路地は一方通行の出口のため進入禁止の複雑な交差点。住所:北区豊島1-11付近|地図
奇怪な矢印の道路標識
荒川に架かる「四ツ木橋」の南側の交差点にある。鐘ヶ淵駅から真っすぐ南東に進むと、国道6号(水戸街道)との、この交差点にぶつかる。標識は、鐘ヶ淵駅の通りから分岐した狭い路地の方にある。交差する道路がたくさんあるが、この標識によって右折しかできないように規制されている。住所:墨田区東向島5-39付近|地図
Uターン矢印の道路標識
西武池袋線ひばりヶ丘駅の南口ロータリーの脇にある。駅北側から南へ線路を越えると、正面の道が一方通行の出口のため、直進不可となる。ここから田無方面へ抜けるには、この標識に従って転回するように駅ロータリーに入り、そのままぐるりと回って、谷戸新道へ出る必要がある。住所:西東京市住吉町3-9付近|地図
くねくね矢印の道路標識
足立区「四家」交差点。五反野駅から北へ進むと、この標識が現れる。交差点は六差路になっており、狭い道路でありながら、車の往来は多い。どの方向からでも、日中は右折禁止となっているため、別方向からの標識は、矢印の形が少しずつ異なっており、とても見応えのある交差点である。住所:足立区中央本町3-11付近|地図
シャキッと矢印の道路標識
中山道の道中にあたる、板橋区「志村坂上」交差点にある。左折できる道が2本もあるが、手前は志村銀座商店街が広がる城山通り、その奥は旧中山道となっており、かつて「中山道最初の難所」ともいわれた清水坂につながる。右手には小豆沢通りが延びているが、この標識により日中は右折禁止。住所:板橋区志村1-14付近|地図
植物みたいな矢印の道路標識
足立区「千住桜木町」交差点の北西にある。荒川の堤防にぶつかる場所で、堤防の上下を通る道路が並行しているため、このような形となった。ここでは右折禁止で、どちらの道へも左折を指示している。この堤防沿いは変形交差点が多く、ほかにも「異形矢印」を見ることができる。住所:足立区千住桜木2-14付近|地図

profile

山﨑賀功(道路標識愛好家)

やまざき・がく/47都道府県で4,000枚以上の標識を撮影。HP「道路標識めぐりの旅」を運営。著書は『ヘンな矢印標識』。X:@unusuarrows

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