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医師「寝室に持ち込まないで」→『疲れが取れない人』がやりがち…“意外なNG行動”とは?【医師が解説】

  • 2025.4.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「しっかり寝たはずなのに疲れがとれない」「朝起きてもスッキリしない」――そんな悩みを抱えていませんか?
睡眠時間が足りているはずなのに疲労感が残る場合、問題は“睡眠の長さ”ではなく“質”にある可能性があります。そしてその質を下げている原因の多くは、実は寝る前の何気ない習慣に潜んでいます。この記事では、科学的根拠に基づいた睡眠の仕組みをもとに、「疲れがとれない人」が見直すべき“就寝前のNG行動”と、今日から実践できる改善法について解説します。

「寝る直前の習慣」が睡眠の質を大きく左右する

人間の体は、自律神経のバランスと体内時計(概日リズム)によって、眠気や覚醒のリズムがコントロールされています。
夜になると、脳は睡眠ホルモン「メラトニン」を分泌し、体温を下げて“眠る準備”を始めます。ところが、就寝前の過ごし方によっては、この自然な眠気のリズムを妨げてしまうことがあるのです。
例えば、以下のような行動が「睡眠の質」を下げる主な原因として挙げられます。

■ 就寝直前までスマホ・パソコンを見ている

スマートフォンやPCの画面が発するブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制します。これにより、脳が昼間と錯覚して覚醒状態が続き、寝つきが悪くなるとされています。

■ 寝酒(ナイトキャップ)を習慣にしている

アルコールは一時的に眠気を誘発しますが、睡眠中の中途覚醒を増やし、深い睡眠(ノンレム睡眠)の質を低下させます。
結果として、朝起きたときに「寝たのに疲れが取れない」と感じる原因になります。

■ 激しい運動・熱い風呂に入る

就寝直前のハードな運動や熱い入浴は、体温を一時的に上昇させ、自律神経を刺激します。
睡眠には“深部体温が緩やかに下がる”ことが必要であり、体温が高いままだとスムーズな入眠を妨げます。

疲労を回復させる“良質な睡眠”を得るためにできること

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

良質な睡眠とは、眠りにスムーズに入り、深く、途中で目覚めることなく、朝スッキリと目覚めることができる状態を指します。
そのためには、夜間の行動だけでなく、日中の過ごし方や環境の整備も重要なポイントです。

■ 寝る90分前のぬるめの入浴が効果的

体温が一度上がったあとに下がるタイミングで、眠気が強くなります。
そのため、就寝の1〜2時間前に40℃前後のぬるめの湯に浸かることが、スムーズな入眠を促す効果があるとされています。

■ 寝室の環境を整える

照明はできるだけ暗めにし、寝具の温度・湿度も快適に保つことが重要です。
また、スマホやPCは寝室に持ち込まないことが、光と情報の刺激を避けるうえで効果的です。

■ カフェイン・糖分の摂取を控える

コーヒーや緑茶、チョコレートなどに含まれるカフェインは、摂取後4〜6時間にわたって覚醒作用が持続します。
夕方以降のカフェイン摂取は控えましょう。また、糖質の多い夜食も血糖値を乱し、眠りの質を下げる要因になるため、極力避けてください。

■ 起床時間を一定にする

「寝だめ」は睡眠リズムを乱す原因になります。
毎日ほぼ同じ時間に起き、朝日を浴びることで、体内時計が整い、自然な眠気も引き出されやすくなります。

「寝る前行動」を整えれば、睡眠はもっと回復力を発揮する

疲れがとれない、寝てもすっきりしないと感じる場合、ただ長く眠るだけでは改善されないことがあります。

むしろ、寝る前の“たった数時間”の過ごし方が、睡眠の質と回復力を大きく左右しているのです。現代はスマホや情報に囲まれ、つい交感神経が優位になりがち。

だからこそ、意識的にリラックスできる時間を作り、眠りの質を高めるルーティンを取り入れることが大切です。疲労回復の第一歩は「よく寝ること」。
そして「よく寝るためには、寝る前を整えること」。今日から、ほんの少し“寝る前習慣”を変えてみませんか?


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。