子育ては、親の思い通りにはいかないことの連続です。いつの間にかイライラや疲労が蓄積され、子どもや他人の前にもかかわらず大爆発! なんてことも……。今回は私の友人A子さんから聞いた、近所の百均で遭遇した男の子2人を連れた疲労困憊なママの話を紹介します。
近所の百均での出来事
A子は高校生と中学生の男の子、夫と共に田舎で暮らす40代後半の主婦です。ある日、近所の百均で買い物をしていたとき、20代半ばと思われるママが4歳くらいと6歳くらいの男の子を連れて買い物に来ていました。
子どもたちは大きな声で楽しそうにおしゃべりしたり、ママと離れて店内を走り回ったりととても活発な様子。「走らないよ!」とママは声掛けはするものの、子どもたちはよほど楽しかったのかなかなか言うことを聞きません。A子は最初、子どもたちが店内を走り回る様子を見て「元気な子たちだなぁ」「ママ大変だろうなぁ」とくらいにしか思っていなかったのですが……。
店内に響き渡るママの声
理由はよくわかりませんでしたが、しばらくすると先ほどのママが店内に響き渡るような大きな声で子どもたちを叱り始めました。ママはまず上の子の肩を掴んで目を見て叱っていたものの、反抗期なのか冗談でママを困らせようとしたのか、ママの手を振りほどき、またどこかに逃げていく始末。
堪忍袋の緒が切れたママは「いい加減にしなさい! もう一生連れてこないから!」とほかのお客さんがいるにもかかわらず絶叫。そして、「もう疲れた」と目に涙を浮かべ……。子どもたちはママの大きな声にびっくりした様子だったものの、落ち着いていたのは一瞬だけでした。
過去の自分が重なり、つい……
A子自身も3歳差兄弟のママ。子育て期真っ只中だったときの自分とこのママが重なり、いてもたってもいられなくなりました。
A子はママが見ていないところで、ちょうど近くに来た上の子に「お店の中では走らない。ママさ、とっても悲しそうだよ。」と伝えました。ママに言われるより知らない人に言われる方が、子どもの心には響くと思ったからです。
子どもたちが戻るも……
すると上の子は知らない大人から話しかけられびっくりしたのか、ママのところへ戻っていきました。お兄ちゃんに言われて、下の子も続いてママのところへ。しかし、ママの表情は暗いままで……。親子は何も買わずに店を出ていきました。心の中で「ママ頑張れ」と応援していたA子でした。
人目もはばからず公共の場で怒鳴ってしまうほど、ママには余裕がなかったのでしょう。子どもたちを「連れてこなければよかった」と思っていたかもしれません。きっと真面目で頑張り屋さんなママだったのだと思います。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2025年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:ichika.K
2児の育児を機に、ママの悲喜こもごもを描くライターとしての活動をスタート。子育てメディアなどの執筆を経て、独立し現在はltnでコラムを連載中。大手企業の総合職でのOL経験、そこから夫の単身赴任によりワンオペでの育児を行った経験から、育児と仕事を両立するママの参考になる情報を発信すべく、日々情報をリサーチ中。