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まだ間に合う…待望の“新作”アニメが続々登場! 厳選した3作品の“見逃せない”魅力

  • 2025.4.4

4月クールの新作アニメには話題作が揃っているが、注目すべきは『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(以下、『ジークアクス』)、『LAZARUS ラザロ』、『前橋ウィッチーズ』の三作だろう。

劇場アニメの大ヒットでブーストがかかった『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』

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(C)創通・サンライズ/(C) 創通・サンライズ・MBS

4月11日から放送がスタートする『ジークアクス』は、サンライズが制作する人気ロボットアニメ『機動戦士ガンダム』シリーズの最新作。ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(以下『エヴァ』)の監督として知られる庵野秀明が設立したスタジオカラーが制作し、監督を鶴巻和哉、シリーズ構成を榎戸洋司が務める。

鶴巻は庵野の片腕として『エヴァ』シリーズの監督や、榎戸の脚本で『フリクリ』、『トップをねらえ2!』といったアニメ作品を手掛けている。
鶴巻と榎戸は、思春期の少年少女の繊細な心理描写を、SF的なアイデアが盛り込まれた物語を通して描くことに定評があり、空間の広がりを感じさせるアニメならではの派手なアクションシーンが作品の見せ場となっており、今回の『ジークアクス』も、宇宙を舞台にしたマチュ、ニャアン、シュウジという少年少女の物語となりそうだ。

また、今年の1月にはテレビ放送に先駆け、アニメ映画『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』が劇場公開された。 本作は二部構成となっており、物語の前日譚と、本編となるマチュたちの物語が描かれたのだが、何より大きな話題となったのが、庵野秀明が脚本を担当した前日譚。

なんとシリーズ第1作となる『機動戦士ガンダム』(以下『ファーストガンダム』)で描かれた一年戦争を「もしも敵役のシャア・アズナブルが活躍して、敵国であるジオン公国が勝利していたらどうなっていたのか?」というIFの歴史を描いたものとなっていた。
『ガンダム』には宇宙世紀と呼ばれる架空の歴史を舞台にした作品と、宇宙世紀以外の世界を舞台にした「オルタナティブ」作品があるのだが、これまでの宇宙世紀作品が、『ファーストガンダム』で描かれた一年戦争を軸に、その後の時代や外伝的なエピソードを映像化していたのに対し、『ジークアクス』は、いわゆる架空戦記的なアプローチとなっており、目の肥えた『ガンダム』オタクほど唸る前日譚となっていた。

テレビシリーズの『ジークアクス』は、IFとしての一年戦争のその後の物語となるのだが、完全なオリジナル展開となるのか、『ファーストガンダム』の続編となる『機動戦士Zガンダム』をリブートしたような作品となるのか、『ファーストガンダム』の主人公であるアムロ・レイは登場するのか? など、SNS場では様々な切り口で盛り上がっている。

その意味で『ガンダム』オタクのための究極の『ガンダム』と言える作品だ。そのため、新規ファンの取り組みに成功した2022~23年に放送された『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のような幅広い支持を獲得できるかはわからない。

とは言え、劇場アニメの興行収入は32.9億円と大ヒットしており、逆に『ジークアクス』を観るために『ファーストガンダム』を履修するという新規ファンも生み出している。

映画の成功によって期待値がマックスとなったタイミングでテレビ放送がスタートする『ジークアクス』だが、『ガンダム』をなぞりながらも、これまでの『ガンダム』とは全く違う作品になるのではないかと楽しみにしている。

機動戦士Gundam GQuuuuuuX
ABEMAにて2025年4月11日(金)22時00分~
番組URL:https://abema.tv/video/title/13-197
※放送後1週間、最新話を無料で視聴できる
【(C)創通・サンライズ】
【(C) 創通・サンライズ・MBS】

おしゃれな音楽とスタイリッシュなアクションが光る「LAZARUS ラザロ」

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(C) 2024 The Cartoon Network, Inc. All Rights Reserved

4月9日から放送がスタートする『LAZARUS ラザロ』は、『カウボーイビバップ』や『スペース☆ダンディ』などのテレビアニメで知られる渡辺信一郎監督によるオリジナル作品だ。

西暦2052年。脳神経学博士スキナーが開発した鎮痛剤「ハプナ」が普及したことでかつてない平和な時代を迎えていた。 しかし「ハプナ」には使用者を3年後に死に至らしめるという罠が仕掛けられていた。
タイムリミットは30日。世界中から集められた5人のエージェントチーム「ラザロ」はスキナー博士の持つワクチンを奪い取るために、行動を開始する。

スタイリッシュなアクションとおしゃれな音楽を通して、物語を見せるのが渡辺監督の特徴だが、先行公開されているPVを観た印象では、彼の代表作である『カウボーイビバップ』と似た空気感を感じ、シリアスな世界を描きながらも大人のユーモアが漂う作品となりそうである。

またアクション監修には映画『ジョン・ウィック』シリーズの監督として知られるチャド・スタエルスキが参加しており、アクションに特化したPVも現在公開されており、高層都市の屋根や線路の上を疾走するパルクールが披露されている。制作スタジオは『呪術廻戦』や『チェンソーマン』で知られるMAPPAなので、カッコいいアクションが観たい方は必見である。

LAZARUS ラザロ
ABEMAにて2025年4月9日(水)12時00分~
番組URL:https://abema.tv/video/title/26-241
※放送後1週間、最新話を無料で視聴できる

『虎に翼』の脚本家・吉田恵里香が描く魔法少女&ご当地アイドルアニメ『前橋ウィッチーズ』

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(C)PROJECT MBW

そして最後に、ダークホースとなりそうなのが、4月6日から放送が始まる『前橋ウィッチーズ』だ。
サンライズが制作する本作は、群馬県前橋市で暮らす5人の少女が突然、魔女に選ばれ、魔法のお花屋さんを営みながら、ローカルアイドルとして活動する物語。

ジャンルとしては『プリキュア』シリーズのような魔法少女モノで、そこにローカルアイドルの要素が加わった少女たちの成長物語という複合的な作品だが、脚本・シリーズ構成が吉田恵里香だということが注目である。

吉田は昨年、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)の脚本を手掛け、ドラマファンの間で注目されたが、アニメの脚本家としても活躍しており、2022年に脚本とシリーズ構成を担当した『ぼっち・ざ・ろっく!』はアニメファンから高く評価されている。

今回の『前橋ウィッチーズ』はオリジナル作品だが、『虎に翼』で展開された女性の生きづらさや、マイノリティー差別といった社会的なテーマが、少女向けアニメの枠組みの中で、どのように展開されるかが見どころだ。

前橋ウィッチーズ
ABEMAにて2025年4月6日(日)23時00分~
番組URL:https://abema.tv/channels/abema-anime/slots/Exo112PqMy2wZ1
※放送後1週間、最新話を無料で視聴できる

どの作品も気鋭のクリエイターが関わる話題作で、漫画や小説といった原作が存在しない。そのため、毎週どうなるのかわからないという、テレビ放送ならではのライブ感が楽しめるのではないかと思う。


ライター:成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』(PLANETS)がある。