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俳優・戸塚純貴さんインタビュー「ページをめくれば、上京当時のがむしゃらで新鮮な気持ちにいつだって戻ることが出来る」

  • 2025.2.5
俳優・戸塚純貴さんインタビュー「ページをめくれば、上京当時のがむしゃらで新鮮な気持ちにいつだって戻ることが出来る」の画像1

文通しているような気持ちで作った本

――新刊『登場人物未満』戸塚さんのお写真に、作家のくどうれいんさんが物語を紡ぐという連載企画が1冊にまとまった本ですね。くどうさんの創り出すショートストーリーにはどのような印象を持ちましたか?

くどうさんは同郷で、すでに作家としてとても活躍されている方だったので、そんな方が僕の写真をもとに物語を作ってくれるなんて「嬉しい!」」という気持ちが大きかったです。連載が進むうちに、「この写真に、今度はどんな文章を書いてくれるのかな」と楽しみに待つようになりました。文通をしているようなドキドキ感もありましたし、そしてキャッチボールをしているような純粋な楽しさもありました。

――戸塚さんの想像を超えた物語が届くことも多かったのでしょうか?

そうですね。「これは想像をはるかに超えてきてくれたな」と感じたのは、一面溶岩に囲まれた山の中で撮った写真に恋愛要素を盛り込んで来てくれた話ですね。何のためにこの場所にいるのかわからないような写真だったので、くどうさんの創作意欲を刺激したのかもしれません。

特に印象に残っているのは、2人の地元である岩手・盛岡の百貨店「川徳」の屋上で撮ったもの。ここは盛岡のシンボル的な存在なんです。まさか看板の目の前で写真を撮るなんて思いもしなかった! これをきっかけに「川徳」のポスターの仕事とか来ないかな(笑)。盛岡では、毎日通っていた通学路でも撮影したので、すごく不思議な気持ちになりました。

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©小見山峻

――戸塚さんのファンが「聖地巡礼」をされるかもしれないですね! 岩手ロケ以外は、くどうさんは撮影には参加されずに撮影は進めていたとのことですが、撮影チームで何かルールのようなものは決めていましたか?

わかりやすいものは撮らないように心掛けていたと思います。こちらもくどうさんの文章を楽しみにしていましたし、「こういったものを書いてね」というメッセージは写真にのっけないようにしていましたね。あいまいさを大事にしていました。ある種の「違和感」みたいなものが、物語に発展していくと考えているので、「これってどういう状況なのかな」と、ちょっと立ち止まって考えてもらえるような写真がたくさん掲載されています。

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©干川修

がむしゃらに頑張っていた自分がいるから今がある

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――戸塚さんが書かれた「はじめに」に、「連載企画が小さな日常から大きな人生になりました」とあります。戸塚さんにとって日常と人生ってどのようなものなのでしょうか。

盛岡から出てきて俳優という仕事をはじめて、とにかくがむしゃらに仕事を頑張ってきました。前に前に進まなきゃ、という気持ちが強かった。その渦中にいる時は、なかなか後を振り返るタイミングがないし、そんな余裕すらなかったんですが、この連載のおかげで振り返るタイミングを作れて、頑張ってきたからこそ今があることとか、僕を支えてきてくれたたくさんの方々の存在に改めて気づくことができました。

今回の連載および書籍では、どこかにいる誰かを演じているので、写真に写っているのは戸塚純貴という僕ではないのですが、心境の変化や心の余裕が表情に表れているかもしれません。ぜひチェックして欲しいです。

子どもの頃好きだった絵本は 『はらぺこあおむし』

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――戸塚さんが幼い頃に好きだった絵本についてもお伺いさせてください。

当時好きだった絵本は『はらぺこあおむし』(エリックカール/作 偕成社)。あおむしのちょっといびつな形、カラフルで独特な色合いをしている野菜や果物に魅力を感じていました。今読んでも、この色づかいにはハッとさせられるものがありますね。見入っちゃいます。少し変わったものが好きなのは今も昔も変わってないのかもしれません。改めてじっくり読み返したいです。

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INFORMATION

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『登場人物未満』
モデル/戸塚純貴 文/くどうれいん
KADOKAWA 1870円

雑誌『ダ・ヴィンチ』で2023年から約1年連載された、コラボ企画を書籍化。遊園地やカフェなど各所で撮影された戸塚純貴さんの写真を元に、作家のくどうれいんさんが「この街のどこかにいるかもしれない人たち」の物語を紡ぐ。

インタビュー/高田真莉絵 撮影/森川英里 スタイリング/森大海(AGENCE HIRATA) ヘアメイク/上野知香

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