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こんなハズでは…まさかの大誤算!「副業」を始めたITエンジニアの家庭が壊れるまで【お金のプロ解説】

  • 2025.5.16
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写真:photoAC(イメージ)

本業のほかに副業を行い、収入が増えてくると嬉しいものです。

近年は副業を容認する企業も増えています。社員にとっては副収入を得られるという経済的なメリットはもちろん、自分のスキルや能力が評価されることで、モチベーションが湧くケースもあるでしょう。

しかし、副業に意識が向きすぎると、大切な自分の時間や家族の時間が犠牲になってしまいます

今回はFPとしてさまざまなご家庭でお金の相談を受けてきた筆者が「副業に軌道が乗ったものの家族間の関係にヒビが入ってしまった事例」を紹介します。

収入は増えたが…家族の時間が減り家族仲が悪化

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写真:photoAC(イメージ)

Aさんの勤務先は副業が容認されており、実際にAさんを含めて同僚でも副業を始める人が増えているとのこと。

Aさんは本業がエンジニアということもあり、個人事業主としてプログラミングITコンサルタントの副業を始めました。

日本ではIT人材不足が課題としてあり、またAさんが実務経験を豊富に持っていることもあり、すんなりと副業でファーストキャッシュを得られたそうです。「その後も、同じ企業から依頼を受けたり、他にも依頼してくれる企業が増えて、順調に収入が増えました」とのことでした。 

「会社に頼らず収入を得られ、自分の事業が軌道に乗るのは嬉しい」「自分の実績や経験が評価されて、仕事を受けられるのはやりがいがある」と感じ、Aさんはどんどん依頼を引き受けます。

FPとして家計のアドバイスをしている中で、私自身もAさんの資産が順調に増えているのを感じていました。しかし、ここで金銭面以外の問題があることを、Aさんから打ち明けられます。

副業収入が増えるメリットがある一方で、Aさんは家族との時間を削ってまで副業をするようになっていたのです。もともとAさんは共働きで、育児や家事は夫婦がバランスよく分担していました。しかし、副業が忙しくなるにつれて奥様の不安が増え、喧嘩する機会が増えたとのこと。

家族で外食したり旅行したりする機会がほとんどなくなったうえ、家事と育児を押し付けられている奥様はついに家を出ていってしまいました 

「今思えば、副業はある程度セーブすべきでした。収入が増えたり、自分が必要とされる喜びを優先しすぎたのは、大いに反省しています」と、Aさんは話していました。

副業はほどほどに!

Aさんは奥様にきちんと謝罪、一度は壊れた夫婦・家庭関係も今は以前同様の生活を送っています。

副業は続けていますが、受注する量をセーブして家族との時間を確保し、家事や育児もこなしているようです。

FPとして、Aさんには「収入が増えたり自分の事業で稼げるようになったりするのは嬉しいが、もっと大切なことがあるのも事実」ということを伝えました。

 お金は幸福を実現するための手段に過ぎず、お金だけを求めるのはアンバランスです。家族との時間を犠牲にしてまでお金や仕事のやりがいを求めても、人生の満足度は高まらないのではないか、という話もAさんとしました。

夫婦間・家族間の信頼関係が強化され、コミュニケーションが向上すれば、関係が円満になります。その結果、日々の生活でストレスを感じることが少なくなるでしょう。

 また、子どもと一緒に遊んだり家族で旅行に行ける時間は有限です。「本当に副業に充てる時間を優先すべきか」を冷静に考えた結果、Aさんは自分の価値観が変わった、と話していました。

 家族で楽しく過ごす機会を設けることで、子どもに貴重な経験をさせてあげたり、成長によい影響を与えられるメリットも期待できます。

 「家族が家から出ていく」というショッキングな体験をしたAさんには、今後副業をしつつも、自分や家族の幸福を高めるために工夫をしてほしいと思います。

まとめ

副業をすることで副収入を得られたり本業以外では習得できない知識やスキル、人脈を得られるメリットがあります。 

しかし、本業がある中で副業をすると、自由な時間が減ってしまう点には留意しなければなりません。収入が増えても、自分の時間や家族との時間が減ってしまうと、人生の満足度や幸福度は低くなってしまう恐れがあります。

副業をしている方やこれから始めようかを検討している方は、お金や仕事のやりがい以外の大切なことにも、意識を向けてみてください。



 【柴田充輝】
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。

※記事内のイラストおよび画像はイメージです。

※サムネイル画像出典:photoAC(イメージ)