1. トップ
  2. 「イメージしてた内容と違う」朝ドラ脚本家の新作アニメに反響!大ヒットシリーズ初期を思わせる盛り上がり

「イメージしてた内容と違う」朝ドラ脚本家の新作アニメに反響!大ヒットシリーズ初期を思わせる盛り上がり

  • 2025.4.16

4月6日から放送が開始した『前橋ウィッチーズ』。サンライズ制作であり、主要キャストは新人声優であること、そしてアニメ放送前から先行上映回や声優によるイベントが精力的に行われていたことからも、『ラブライブ!』シリーズの初期を思わせる。群馬県・前橋市を舞台に、魔女を目指す女子高生が活躍する物語だ。

undefined
(C)PROJECT MBW

怒涛の展開で魔女見習いへ

主人公は、高校1年生の赤城ユイナ(春日さくら)。とにかく明るい性格で、写真が趣味で、“エモエモ最強マックスな写真”を撮ることを目標にしている人物だ。ある日、ユイナが自宅に帰ると、部屋に喋るカエル・ケロッペ(杉田智和)が。ケロッペは、明るい性格の人物が足りていないんだと言い出し、ユイナは魔女見習いにスカウトされる。

カエルに飛ばされた先の空間には、4人の少女が。ユイナは、新里アズ(咲川ひなの)、北原キョウカ(本村玲奈)、上泉マイ(百瀬帆南)、三俣チョコ(三波春香)と共に、魔女になるための魔力を貯める手段として花屋を開店し、お客さんの願いを叶えることに。

5人の少女とケロッペのキャラクター設定、世界観設定の説明が怒涛の展開で描かれた物語の前半。ユイナの明るすぎる性格や個性的なセリフに圧倒されつつも、的確で自然な設定説明により、独特の世界観を受け入れてしまった。不思議なエネルギーを感じる作品だ。

夢に対する考えからキャラクターの性格が見えてくる

5人が経営する花屋の最初のお客さんとしてやってきたのは、進学校の前橋学園に通う優等生・膳栄子(芹澤優)。医大を目指したいという気持ちがありつつも、母親からは地元での進学を勧められ、先生からは医大なんて無謀な挑戦をせず推薦がもらえる看護大学にすべきだと言われ、進路に悩み中のようだ。

そんな栄子に、ユイナはいち早く寄り添い、青いバラを手渡す。しかし、そんなユイナの積極的な行動がアズの逆鱗に触れ、ユイナとアズは喧嘩を始めてしまい、大失敗。5人はケロッペの導きの元、反省会を開き栄子にどう向き合うべきかを話し合う。

面白いのが、医者を目指したいという無謀に思える夢を持つ栄子に対して、何をすれば“夢を叶える”ことになるのか、5人の少女のスタンスが異なることだ。チョコは医大生、医者にしてあげればいいと提案し、マイは医者になるために勉強に励むのは大変だと主張。アズもマイに同調する。アズは、夢なんて叶えずに、今の自分のままで楽ができる道に進む方がいいだろうと言い始める。一つの物事に対して、それぞれの考えを言わせることで、キャラクターの性格が見えてくる。

ユイナは頭を悩ませたのち、栄子の望みは誰かに応援されることではないかと提案。現状維持は悪いことではないが、魔女なら誰かに奇跡を起こすべきだと力強く言い放つ。奇跡が誰かに応援されることというのは少し切ない気もするが、栄子は応援されれば一歩踏み出せるという思いだったのかもしれない。ユイナは再び、「不可能はない」という花言葉と共に、青いバラを栄子に渡し、5人は栄子のために歌い始める。

ポップな世界観の中で描かれる夢へのスタンス

第1話から見えてきたのは、夢へのスタンスには正解がないということだ。栄子は応援されることを望んでいたが、アズやマイのリスクを考えて現状維持をするスタンスが間違っているわけではない。しかし、相手の夢へのスタンスを無視して、考えを押し付けることは、確実に正解とは言えない。自分の常識に左右されず、フラットに相手に対して何ができるのかを考えるユイナの姿は、とても輝いていた。

ポップで可愛らしい世界観が印象的だが、SNSでは、「女児向けだと思ったけど深夜アニメなんだ」「イメージしてた内容と違う」と評する声も。「つんく作詞のエンディングが癖になる」「和を感じる劇中歌が可愛い」など、楽曲にも注目が集まっている。

実在する前橋の街を舞台にしながら、そこで描かれる女子高生のリアルな感覚が楽しめた第1話。ウィッチーズたちにどんな事情があるかなども描かれていくことだろう。本作のシリーズ構成・脚本を担当しているのは、朝ドラ『虎に翼』やアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』を手掛けた吉田恵里香だ。キャラクターの感情が伝わってくる的確なセリフ、情緒的に伝わってくる構成が得意な吉田が、ウィッチーズたちをどのように描いていくのかに注目したい。

前橋ウィッチーズ
ABEMAにて毎週土曜日23時より放送
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/13-200
【(C)PROJECT MBW】


ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。X:@k_ar0202