9月よりNetflixにて新作エピソードの世界独占配信が決定したストップモーションアニメ『ポケモンコンシェルジュ』。南の島のポケモンリゾートへ新米コンシェルジュとしてやってきた主人公・ハルが、お客様であるポケモンたちとの触れ合いを通して成長していく物語だ。本作は、日常に疲れてしまった大人にこそ観てほしい、“癒しの効果ばつぐん”のアニメになっている。
あたたかみを感じる人形の“質感”
『ポケモンコンシェルジュ』の大きな特徴として、ストップモーションを使ってつくられている点が挙げられる。ストップモーションとは、人形を一コマごとに少しずつ動かしながら撮影し、それらを組み合わせて映像をつくる手法のことだ。アニメーション制作は、ストップモーション制作の第一人者であるドワーフスタジオが手がけた。
ドワーフスタジオによる人形づくりと装飾づくりは、作品全体に漂うほっと安心するようなあたたかさを演出している。オオタチやイーブイのもふもふした毛並みは、つい触りたくなるほど。一方、メタグロスは見るからに硬そうなツヤを放っている。異なる素材の検討など、ポケモンの個性をより表現できるよう、何度もすり合わせを行ったそうだ。
リゾート内の装飾もこまかく、画面の隅々まで見渡したくなる。ハルの部屋に置いてあるコップの中には、モンスターボールがデザインされたマドラーが。ポケモンの形をしたランプやサクラビスのぬいぐるみといったさまざまな小物がちりばめられており、細部へのこだわりを感じる。
思い出の“相棒”が見つかる?愛くるしいポケモンたち
本作には、ポケモンリゾートのお客様としてさまざまなポケモンが登場する。フシギダネ、カイリュー、ヒノアラシ、シャンデラ、コダック、ヤナップ……。シリーズの新旧を問わずポケモンが集まっているため、きっと自分の思い出深いポケモンも見つかるだろう。
筆者は子どものころ『ポケットモンスター ルビー・サファイア』を夢中でプレイしていたため、ミズゴロウが出てきたときは声が出てしまった。しっぽをブンブン振り、うれしさのあまりハルにみずでっぽうを浴びせてしまうお茶目さがかわいい。ミズゴロウ以外にも、自由なポケモンたちの一挙一動がかわいらしく、頬が緩んでしまう。
人形のあたたかみのある素材感と、個性豊かなポケモンが持つ愛らしさ。その2つが合わさり、本作独特の魅力が生まれているのだ。
やさしく肯定してくれる作品の“メッセージ”
『ポケモンコンシェルジュ』は、かわいいポケモンたちに癒されるだけではない。コンシェルジュとして働くハルは、ポケモンやポケモンリゾートの人々との交流を通して、ほんとうに大切なことに気づいていく。
ポケモンリゾートのアルバイトスタッフ・アリサが、「苦手なことを必死でやるより、得意なことを見つけてやるほうが効率いいじゃん」「人もポケモンと一緒じゃん」とハルにアドバイスするシーンがある。このセリフにハッとしてしまうのは、きっとハルだけではないはずだ。
また、ポケモンリゾートの清掃員・タイラは、浮き輪をつけて楽しそうに泳ぐコイキングを見ながら「ハルもそれでいいんじゃない?得意なことを必死になって探さなくても、楽しんでできることを探せばさ」と声をかける。ハル、そして私たちのこともやさしく肯定してくれるセリフの数々に、心が軽くなる。
9月から配信される新作エピソードに対してSNSでは「新エピソード嬉しい!」「9月まで待てるかな」「リピートし続けるほどハマった」「ずっと待ってた」と期待の声が。細部までていねいにつくられた『ポケモンコンシェルジュ』は、人形にこめられたメッセージから“ぬくもり”を感じる作品だ。
『ポケモンコンシェルジュ』Netflixにて配信中
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ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari