魚豊による漫画を原作としたTVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』。最終話となる第25話では、タイトルとサブタイトルを同時に回収し、2クールにわたり続いてきた物語が堂々の完結を迎えた。最終話に対してSNSでは「アニメ終わって喪失感が……」「ついに終わった」「いい作品に出会えてよかった」と大きな反響が。X(旧Twitter)にてアニメ公式アカウントが投稿したモザイクアートは、なんと9.8万いいねを突破している。
アルベルトが抱いた「?」現実につながるようなラストに
ラファウとともに学術系サロンに参加したアルベルト・ブルゼフスキ。だが、今日の観測記録をつけていないことを思い出し、いそいで家に戻る。すると、そこにはナイフを持ったラファウと、血まみれで倒れているアルベルトの父の姿があった。
アルベルトの父が持っていた資料のために、彼を殺したと話すラファウ。結局、ラファウは村人に捕まり、その後どうなったかはわからない。成長したアルベルトは、ラファウに父を殺された出来事がトラウマのようになっており、大学に行くのも馬鹿らしいと考えるようになった。
アルベルトの告白を聞いた司祭は、最後に「何をささげればこの世の全てを知れる……と思いますか?」と質問し、「大学へ行くのは1つの道だと思いますよ」とアルベルトに助言を授けた。アルベルトは夜空の星座を指で結びながら、この世の美しさに迫ることを決意。アルベルトは働いているパン屋の親方に、「大学へ行かせてください」と頭を下げた。
ラストで、村人から「地球の運動について」という言葉を漏れ聞くアルベルト。そして、彼は「ん?」と頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。「運動するのは天球だし」とアルベルトは一瞬考えるが、その常識に“疑問”を抱いたのだ。アルベルトは天動説に対して疑念を示す考えを持ち、彼の教え子にはコペルニクスという名前の青年がいた。
アルベルトとコペルニクスは、ポーランドに実在した人物だ。コペルニクスに関しては、地動説を発表した張本人。つまり、最終章はフィクションと現実が入り混じった世界だと受け取れる。アルベルトが「ん?」と疑問を持ったことで、コペルニクスに地動説を継承できた。すこし複雑な展開だが、これまでの物語の流れを引き継ぎつつ、現実の世界に広がっていくような構成になっているのだ。
アルベルトがラストに抱いた「?」というサブタイトルについてSNSでは「最終回のタイトルが『?』なの最高すぎる終わり方だったね」「美しい終わり方すぎる」「この『?』こそチ。の全てな気がしてきた」「最終話のタイトルである『?』これが大事で物事の根本ということかね」「『地球の運動について』というタイトル回収と『?』という副題の回収が見事でした」との声があがった。
「最後の空白のピースはあなたの物語で」集大成となった“モザイクアート”
最終回の放送後、X(旧Twitter)にてアニメ公式アカウントが「今、たまたまここに生きた全員は、同じ時代を作った仲間な気がします。そんな仲間たちに全25話を使用したモザイクアートをお贈りします」というコメントとともにモザイクアートを投稿。1箇所だけ空白になっており、「最後の空白のピースはあなたの物語で埋めて頂けたら嬉しいです」と加えている。
9.8万いいねを突破する反響が巻き起こったモザイクアートに対して「このモザイクアートに震える」「チ。の場合は大体画面暗いから難なく出来るのか……なるほど!」「公式さんからのめっちゃ嬉しいプレゼントだ」「たしかに、8割方画面くらいな……って思ってたから納得のモザイクアートだ」「久々に本物のモザイクアートが見れてめっちゃうれしい」との声が。
黒の背景に白い文字で大きく「チ。」と描かれたモザイクアートは、よく見ると一つひとつがアニメのワンシーンになっている。そして、最後の空白を残し、私たちがピースを埋められるようになっているのが粋な計らいだ。『チ。』は、「つなぐ」「継承する」といったテーマが物語の中だけでなくモザイクアートにまで込められた、最後までメッセージ性を貫くすばらしい作品だった。
チ。 ―地球の運動について―
ABEMAでは『チ。 ―地球の運動について―』毎週土曜日夜24時10分より無料独占・見放題最速配信
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/568-32
【(C)魚豊/小学館/チ。 -地球の運動について-製作委員会】
ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari