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元宝塚娘役トップスター・朝月希和さんが「山山山&谷谷谷!な人生」を乗り越えられた理由

  • 2024.5.11

退団後もさまざまなフィールドで活躍し、輝き続ける宝塚OG。その美しさの秘密を、宝塚仕込みの〝素化粧〟から紐解きます。今回は、宝塚卒業から2年を迎えた元雪組トップ娘役朝月希和さん。3度の組替えを経てトップに就任するまで朝月さんを支えたものは何でしょうか。細部までの表現を追求する娘役として愛された朝月さんが、そのこだわりを語ってくれました。

山と谷の連続のような人生。成長に必要なチャンスと捉えたい

お話を伺ったのは……朝月希和さん

《Profile》
東京都出身。母と祖母に宝塚公演へ連れていかれたのが出合い。2010年宝塚歌劇団入団。月組公演『THE SCARLET PIMPERNEL』で初舞台後、花組に配属。2017年『MY HERO』でWヒロイン、同年雪組に組替え。2019年花組に戻り、2020年『マスカレードホテル』でヒロイン、同年再び組替え後、2021年雪組トップ娘役に就任。『CITY HUNTER』の槇村香役でトップお披露目。2022年『蒼穹の昴』で退団。舞台『シェルブールの雨傘』に出演し、今後も『王様と私』や『ライムライト』など大作への出演予定が控えている。お菓子作りが趣味。

―コンディションを整えるためにしている習慣はありますか?

朝は5分でもいいのでヨガかストレッチを必ず。あと、朝と寝る前は必ず白湯を飲みます。内臓が温まって朝は目覚めるモードに、夜はリラックスして寝るモードに切り替えてくれるんです。また、トップ娘役になったとき、私にできることは体調を整えて、元気を保つことだなと。そこから食生活を見直し、冷凍庫にいろいろな食材をストックして、時間がなくても栄養を摂れるようにしています。お菓子作りも大好きでして、今は和菓子の練り切りに挑戦中です。

―宝塚では花⇒雪⇒花⇒雪と組替えされて娘役トップに。

花組に戻った時は学年も上がっていて慣れた頃にまた組替え、の繰り返しでしたから、なぜ?と考えてしまったこともありました。でも、これは私にとって必要なステップで、持っているものをすべて出して下級生に伝えられたらそれでいいと思えるようになりました。不安があっても一歩踏み出す勇気というのは、宝塚での組替えで培われたと思います。

―そして入団12年目でトップに。ベテランの安定感がありました。

とんでもないです!私、一足飛びにはいかないのろまな亀なので、小さな目標を立ててコツコツ取りくんでいました。だからトップのお話をいただいたときは本当にびっくり。ただ、舞台でのスカートのさばき方や佇まいなど、娘役としてのこだわりを自分なりに持って臨めたのはよかったですね。

―それは退団後の舞台でも役に立っていますか?

最初は「宝塚を卒業したのだから」と自分の中に変な一線を引いてしまっていたんですが、これまでやってきたことを否定しなくてもいいと気付いて。これまでの土台があってそこに新しいものを重ねていけばいい。ただ、宝塚の時は裏声も使って歌唱するんですが、今は発声の仕方が変わりました。『シェルブールの雨傘』では、高音でファルセットに入らないようにするとか、地声での表現方法がすごく難しくて。これからも練習します。

―次は『王様と私』に出演されますね。

世界で再演されてきた名作ですから身の引き締まる思いです。主演のアンナ先生を演じられる大先輩の明日海りおさん(元花組トップスター)との共演もうれしくて。明日海さんと花組でご一緒の時「お化粧は最後に横顔を必ず確認するといいよ」とアドバイスしてくださって、その教えをずっと守っているんです。今回もたくさん学ばせていただきたいです。

―最後に、朝月さんにとって「美しく生きる」とは?

素直さと感謝の心があれば何だって受け入れられる。これまで落ち込むたびに周りの方にかけていただいた一言で、あともう少しだけがんばろう、と積み重ねてきて今の私があります。山山山&谷谷谷!みたいな人生ですが(笑)、それが私らしいのかも。まっすぐには進めないけれど、素直さと感謝の心を忘れずに進んでいけたらと思います。

朝月希和さんからのメッセージ

たびたびの組替えがあったからこそ成長できたと思っています。何でも必要な試練と与えられたチャンスと捉えて、新しいことにどんどん挑戦し、領域を広げていきたいです。

《衣装クレジット》
インナー付きシャツ¥205,700 スカート¥154,000(ともにファビアナフィリッピ/アオイ)ピアス¥12,600 ネックレス上¥10,800 ネックレス下¥17,600 ブレスレット¥4,860 2連リング¥4,860 石付きリング¥9,240(すべてアビステ)シューズ¥135,300(セルジオロッシ/セルジオロッシカスタマーサービス)

2024年『美ST』5月号掲載
撮影/八木淳(SIGNO)〈人物・静物〉ヘア・メーク/田中宏典 スタイリスト/久保コウヘイ 取材/稲益智恵子 編集/石原晶子

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