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【第12回】日本ではなぜ結婚しないと認められないのか!?

  • 2019.2.10
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日本の社会常識や価値観が常に正しいとは限らない。ところ変われば世界も変わる!
世界婚活の末、見事フランスで結婚した女性ライター・中村綾花さんが、世界と日本の価値観の違いをお伝えしていきます!

世界と比べて自己肯定感が低い日本人

「自己肯定」という言葉を耳にしたことがありますか? なんだかかしこまった印象があるかもしれませんが、シンプルにいうと「自分を認める」とか「自分に満足している」状態のことです。そしてこの自己肯定は私たちが肩の力を抜いて楽に生きるためには必須のものだと思っています。

実は日本人の自己肯定感が世界的にみてとても低いという調査結果がでているんですね。(※1)

このデータによると、自己肯定感を計る質問の「自分自身に満足している」に「そう思う、どちらかといえばそう思う」と答えた日本人は半数以下の45.8%。一方、フランス人は82.7%と日本人と倍近い差があります。

フランスには自分が大好きで、わがままな人が多いと個人的に実感している私は「やっぱりね!」と強くうなずいてしまいました。

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すぐに謝る日本人と絶対に謝らないフランス人

こんなに大きな差がある日本とフランスという国。ちょっとここで、フランスに住むことで見えてきたその違いの具体例を紹介してみようと思います。

日本人の友人がフランスでパティシエとして働きはじめたばかりのこと。彼女は上司から何か注意されたわけではなくても、ちょっとしたことで「すみません」と度々口にしていたそうです。すると上司が「そんなにしょっちゅう謝らなくていい!」といってきたというのです。

その友人はその時ハッとし、自分がすぐに「すみません」といってしまう日本式の働き方をつづけていたことに気がつきました。そして、その「すみません」がフランス人にとっては過剰に感じられることを知ったといいます。

この話を聞いた時、たしかに私たち日本人は何かある度すぐに「すみません」と謝るクセがあるなぁと納得してしまったのでした。

反対にフランス人はちょっとやそっとでは自分の非を認めようとはせず、謝るなんてことをしない人がほとんどだと感じます。

例えば、レストランでこんな体験がありました。五つ星のような高級レストランではないものの、エッフェル塔近くにある雰囲気のいいお店でのことです。
スーツを着たベテラン風サーバーの中年男性が、注文したものとは違うデザートを運んできました。私がそれを指摘すると彼は謝るどころか「あー、また厨房が間違えたな!」とイライラした態度。なぜかこちらが気を使ってしまい、結局間違って持ってこられたデザートを食べることに。

日本ならば本当に厨房のミスであったとしてもそれはレストラン側のミスとしてサーバーが謝るところ。ところがそのサーバーは謝るどころか客の前でプチ・ギレするという驚きの態度だったのです。

ほかにも、友人に連れられて五つ星の高級ホテルのアフタヌーン・ティーを楽しみに行った時のこと。私は慣れない場に注文するのさえ背筋を伸ばして緊張していました。食事が終わったころにお水を一杯お願いしたところ、どうも若いサーバーは忘れてしまったようでなかなか持ってきてくれません。
しつこく水一杯のために催促するのも気が重いな、と思いつつもあらためて同じサーバーをつかまえてお願いすると、悪びれた様子はないどころか慌てた様子もなし! ツンツンすました態度でようやく水が運ばれて来たのです。さすがにこの態度には同席した友人とともにがっかりしたのを覚えています。

五つ星のホテルですら簡単に謝らないフランス人たち。こんな対応ですから、街中のスーパー・マーケットなんていわずもがな。相手がお客様だろうがなんだろうが、謝らないことがほとんどなのです。

日本という国はこれまた特殊で、サービス業に関しては「お客様が神様」のようなあつかいを受けて当然のようなところがあります。これは、どんな外国人でも日本を訪れた際に驚かれるほど世界的に珍しい点でもあります。

誰でもすぐにあやってしまう日本を出て、誰も謝らないフランスに住んで約10年。さすがに最近では驚くというよりもあきらめの境地で、ごくたまにちゃんと謝るフランス人を見つけて感動してしまうほどです。

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教育や生活習慣の違いで、価値観が変わってくる

この「簡単に謝る」日本人と「謝らない」フランス人の違いは、自己肯定の違いが顕著に現れている例だと思います。

すぐ謝ってしまう日本人は「他人に見られる自分」を強く意識していて、周りと上手くやっていくためにすぐに謝ってしまう。謝らないフランス人は、「他人より自分」の方が正しいといった傾向があるのではないかと思うのです。

一体、この違いはどうして生まれてしまうのでしょうか? 私はただ単に生まれた場所や、育った環境が違いを生むだけなのではないかと思っています。

例えば学校での教育にも大きく違いがあります。作文の授業を例にあげてみると、日本人の私が子供のころに書いた作文というとなんとなく模範解答があって先生や大人が褒めてくれるような作文を書くのがベターという傾向があった気がします。

一方フランスでは、一つのテーマについて「自分はどう思うか? その理由は?」ということをはっきりと求められるだけでなく、あえて自分の意見とは反対意見についても書く技量が求められるそうです。

これだけでなく、高校を卒業して大学に進学するための試験スタイルにも大きな違いが見えます。

日本ではこれまで記憶力が重要視されるマーク式のセンター試験が主体でしたが、フランスでは小論文や面接など徹底的に自分の頭で考えて自分なりの意見をいうことが求められます。

違いは学校外の日常生活の中にもあります。私がフランスに来て日本との大きな違いとして感じたのが、多くのフランス人たちが自分の意見をいいあう議論が大好きだということです。

クリスマスをはじめとした家族が集まる大イベントからちょっとしたホームパーティーまで、気心の知れた家族や友人たちが集まる場ではその時々の時事問題を話のネタに、「私はこう思う」「僕はこう思う」という自分の意見をぶつけあうのをいつも目にするのです。

こんな環境でフランスの子供たちは、大人たちの話し方や話す内容を間近に見て学び 、最初は親のまねごとをしながらだんだんと自分らしい考え方や話し方を磨いていくのです。

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国や環境が違うだけで、自分の肯定感も変化する

自己肯定について、日本人とフランス人の大きな違いを紹介してみましたが、国が違えばこうも人間というのは違って育つということがわかってもらえたでしょうか?

今回私が伝えたいことは、自己肯定感の違いは私たち自身の生まれた環境によって決まってしまうということです。だから、日本人の自己肯定感が低いのは日本で育ったことに原因があるだけ。

もしあなたが日頃、自分自身に満足できないと感じていたり、自信を持てないと思いがちだったりするなら、それは「日本人だから」といっても言い過ぎではないのです。だから、自分に満足できないことを「自分がダメだからだ」なんて強く思い込まなくても大丈夫ということなんですね。

そして実はこの自己肯定が、私の婚活と大きく関わることでもありました。婚活中の私は無意識に「結婚すれば自己肯定される」、「結婚することで自分が認められる」、「結婚してこそ一人前」と思い込んでいたのです。

自己肯定したいがための結婚。というか、されたいがための結婚。

たしかに結婚すると自己肯定感が高まることを実感していますが、自己肯定を結婚に求めるのは違うなとも思うのです。

自己肯定はあくまで他人ではなく「自分で自分を肯定する」こと。他人に選ばれて肯定されて自信がもてることはあってもやっぱり全てではないんですね。

当時の私のように「結婚することで自分が認められる」と無意識に思い込んでいる人はあんがい多いのではないでしょうか? その思い込みに気づかないと結婚したあと、相手にばかり求めて不満をためてしまう人になりかねません。結婚したとしても、それは人生のひとつ。自分の人生どう向き合っていくか、自問自答し続けることが大切かもしれませんね。

さて、続く第13回は2019年2月17日(日)配信予定! お楽しみに。

※1参考データ:「自己肯定感の比較調査結果」内閣府

▼前回の記事はこちら
【第11回】日本のモテは世界から見ると変態!?

▼第13回の記事はこちら
【第13回】恋愛格差と不倫の関係ってナニ?

中村綾花さんプロフィール

Writing:Ayaka Nakamura
Illustration:foxco
Edit:TRILL編集部

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