1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【第10回】モテないと結婚できないと思っていた

【第10回】モテないと結婚できないと思っていた

  • 2019.1.27

「モテ」という言葉をよく聞いたり使ったりするけれど、具体的にどんな人や例をあげられますか?

婚活していた当時、私にとってのモテる女性とは「エビちゃん」こと蛯原友里さんでした。ファッション雑誌『CanCam』の専属モデルで、男ウケの良さそうなロングヘアーに文句なしの整った顔。素直で性格も良さそうで誰にでもモテる女性のイメージです。

モテる女性にならなきゃいけない?

私がこのモテという言葉をつよく意識するようになったのは、婚活をするようになってからでした。婚活というのは私を選んでくれる人を探すこと。だから「選ばれる女性でなければ!」「モテなければ結婚できない!」と、これまた変に思い込んでいたのです。

それまでモテなんて言葉は自分に関係がないとスルーしていた私は、会社に化粧なんてして行ったこともなく、スッピンで大好きな古着を着て出社しているような人でした。
それが、モテを意識するようになってからというもの、同じ職場にいる女性社員たちのブランドバッグや洋服、時間とお金をかけたらしいネイル、化粧なんかが無性に気になるようになってしまったのです。

とはいえ、正社員とちがって契約社員で基本給も20万以下の私には、何十万もするブランドバッグなんて買えません。せめて女子力なるものをアップしようと、表参道にある美容室に行ってみた時のこと。
美容師さんに手渡されたヘア・カタログ雑誌の中には「愛されヘア」「愛されメイク」だの、いかにも男ウケしてモテそうなぶりっ子スタイルの嵐……。

それを見て私は、なんでここにいるんだっけ!? と息が苦しくなるほどの強迫観念に押しつぶされそうになったのです。

その時の私の頭の中は……
「いまさら、『愛され○○』みたいな女子になれるわけないわ!」
「いや、結婚するためにはがんばって『愛され○○』スタイルに近づいてモテなきゃダメなんだよ!」
という二つの考えの間で板ばさみになりパニック状態。

そもそも化粧の仕方も知らないし、職場の人たちが女子トイレで化粧直しってしているけど、あれっていつどのタイミングで一日何回やるものなの!? というか、そもそも彼氏ってどうやったらできるの? 本当に女子っぽくして、ぶりっ子みたいに自分を変えなきゃ結婚できないの!? あああああーー! 反吐がでそう!

婚活をしている間、この葛藤は続きました。そして、やってもやってもなかなか結果が出ない婚活の苦しみも手伝って、どんどん自分を否定し、素直になれない「こじらせ」を発症してしまったのです。

モテを意識するようになってからというもの、同じ職場にいる女性社員のネイルや化粧なんかが無性に気になるようになってしまった

こじらせた結果のバカな体験

こうなるとやっかいな悪循環におちいるもので、男性を目の前にしても「こんな自分を好きになってくれる人がいるわけない」と、自分を卑下するようにもなっていきました。

でもね、 いま振り返ると私に好意をもってくれた男性が少なくとも1人か2人は周りにいたなと思うのです。

例えば、ずっと友人として仲良くしていた男性の一人は、私が世界婚活の旅に出てパリに住み始めた頃でもよく安否を心配してくれ、チャットをしたりスカイプで話たりしていました。
するとある日、チャットのメッセージで斉藤和義の「ずっと好きだった。」という曲のYouTubeが送られてきたのです。
彼とはどんな女友達よりも定期的に会って遊んでいたけれど、まさかこんな私を異性として見てくれるはずがない、と思いながら、結局私は彼の気持ちに気づかないまま、いや、気づこうとしないままでした。

ほかにもう一人、シェアハウスに住んでいた際に、住人の友人としてよく遊びにきていた男性がいました。彼は私にFacebookで友達申請をしてくれたり、会うとなにかと話しかけてくれていました。
アスパラのように細くか弱い彼から発せられる視線にも、気づいてはいたのです。 でも、「まさか、こんな気の弱そうな人が私に興味があるわけないわ」と、無意識に彼の好意をスルーしていました。

当時の私は本当にバカだったな、と思います。彼らの好意に気がつけて、素直になって、こちらから心を開けば婚活なんてしなくてもよかったし、世界婚活なんてすることもなかったはず、なんて言っても過去のこと……。

「まさか、こんな気の弱そうな人が私に興味があるわけないわ」と無意識に彼の好意をスルーしていた

過去の自分に伝えてあげたいこと

この私のバカな体験でわかるのは、「モテ=エビちゃんや愛され女子だけの特権」という思い込みのせいで自分を責めてこじらせては、なーんにも良いことがないということです。

フランスに住んで8年、結婚をして6年がたったいま、婚活していた当時の自分をふり返って過去の自分に教えてあげたいのは、「モテというのは、不特定多数から求められるモテじゃなくていい。自分が最高にモテる相手を探せばいいんだよ」ということです。

とはいえ、当時は自分の本当にしたいこと、どうあれば幸せなのか? などなど、疑問に思ったこともなく、自分の基準というものがないに等しい状態だったので、こう言われてもあまりピンとこなかったでしょう。

だからもうちょっと噛みくだいて、過去の自分へ以下のメッセージを送ってみたいと思います。
無理して自分のキャラクターまで変えなくていい。誰かにモテるように自分を変えようとしなくていい。自分が本来持っているキャラクターは変えようがないし、変えてもそれは自分にウソをついて、自分を否定してしまうことになる。そんな人は魅力的じゃないし、好意を持ってくれる人にも悲しい思いをさせてしまうんだよ」

このメッセージが昔の自分だけでなく、いま、過去の自分のように思い込んでいる人たちに届いたらいいなと思っています。

自分が最強にモテる相手と出会えるよう、ポイントを絞って探してみればいいのです

自分が最高にモテる相手を探せばいい

これまでの連載でお伝えした通り、私はこんな具合で日本の婚活でうまくいかず、こじらせてしまい世界婚活の旅に出ました。
その先々での色々な出会いを通して発見や気づきがあり、おかげでようやく自分を知って自分に素直になり、自然と恋をすることもできたわけです。

だからか、パリに来てからの出会いはものすごく自然に、スーっと吸い込まれていったような感じでした。自分にウソもなく無理もなく否定もない。そんな時にふと目の前に現れたのがいまの旦那さんでした。

彼と出会ってびっくりしたのは、私ってこんなにモテるのか! ということでした。だから、彼と結婚していまも一緒に生活しているのだと思います。

まあ、結婚生活は色々ありますけどこれはまた別で紹介するとして、とにもかくにも、自分が最強にモテる相手と出会えるよう、ポイントを絞って探してみればいいのです。
別に「愛され女子」的なわかりやすいモテにホイホイ吸いよせられる男性を見てがっかりすることなんてないし、そういった人たちを追いかけるのも時間がもったいないですからね。

さて、続く第11回は2019年2月3日(日)配信予定! お楽しみに。

▼前回の記事はこちら
【第9回】失恋、失業、婚活苦というドン底からでも、一歩踏み出せば人生も変わる!?

▼第11回の記事はこちら
【第11回】日本のモテは世界から見ると変態!?

中村綾花さんプロフィール

Writing:Ayaka Nakamura
Illustration:foxco
Edit:TRILL編集部

の記事をもっとみる