1. トップ
  2. エピソード
  3. 「こっちに多めに入れてくれ」母が持たせてくれた高級牛肉。だが、正月の食卓で義父に分け方を指定された結果

「こっちに多めに入れてくれ」母が持たせてくれた高級牛肉。だが、正月の食卓で義父に分け方を指定された結果

  • 2026.11.7

夫の実家でのすき焼き

結婚して1年目の正月、私は夫の実家に2泊3日で帰省しました。

出発の前日、私の両親が手土産として、すき焼き用の牛肉を用意してくれました。

「ちょっと奮発したから、みんなで食べてね」

母はそう言って、きれいに包装された箱を渡してくれました。

夫の実家に到着した日の夕食は、ちょうどすき焼きでした。

「まあ、立派なお肉ね。ありがとう」

私が牛肉を渡すと、義母はうれしそうに受け取ってくれました。

夕食の準備を手伝っていると、食卓に鍋が二つ用意されていることに気づきました。

「お鍋、二つなんですね」

「そうなの。うちは食べる量が結構違うから、いつも分けてるのよ」

義母によると、よく食べる義父と夫、それに帰宅が遅くなる義弟の分が大きい鍋。

義母と私は、もう一つの鍋を囲むのだそうです。

確かに人数が多いと、一つの鍋では具を取るのも大変です。

そういうやり方もあるのだなと思いました。

ただ、用意されている牛肉の量にはずいぶん差がありました。

大きい鍋には牛肉がたっぷり。私たちの鍋は野菜が中心で、牛肉は少しだけです。

夫に小声で聞いてみました。

「いつもこんな感じなの?」

「うん。父さんたちはよく食べるからね。うちは昔からこうだよ」

食べる量に合わせて分けるのは分かりますが、私もすき焼きのお肉は楽しみたいと思っていました。

手土産の牛肉を分けようとすると

食事の準備が整い、私は両親からもらった牛肉を二つの鍋に分けようとしました。

すると、晩酌をしていた義父が声をかけてきました。

「お、それが持ってきてくれた肉か。うまそうだな」

「はい。両親が用意してくれたんです」

「じゃあ、こっちに多めに入れてくれ。うちはこっちの鍋のほうがよく食べるから」

義父は大きい鍋を指しました。

悪気があるようには見えませんでしたが、私は少し迷いました。

せっかく両親が持たせてくれた牛肉です。義母にも食べてもらいたいと思ったのです。

「あの、お義父さん。食べる量が違うのは分かるんですけど、このお肉は両方の鍋に入れてもいいですか?」

「ん?でも、そっちはそんなに食べないだろ?」

「母が、みんなで食べてねって持たせてくれたので。私もお義母さんも、せっかくだからいただきたいなと思って」

すると、隣にいた夫が笑いながら言いました。

「父さん、俺たちの鍋にはもう結構肉があるじゃん。こっちの肉はみんなで食べようよ」

義母も「そうね。私もそのお肉、楽しみにしてたのよ」と続けました。

義父は鍋の中を見てから、軽くうなずきました。

「ああ、そうか。じゃあ、両方に分けてくれ」

私はほっとして、牛肉を二つの鍋に分けました。

食事が始まると、義母が牛肉を一口食べて言いました。

「本当に柔らかいわね。ご両親にもお礼を伝えてね」

その笑顔を見て、持ってきてよかったと思いました。

翌年の正月、また夫の実家で食卓を囲むと、今度は大きな鍋が一つだけ用意されていました。

「今年は一つにしてみたの。こっちのほうが片付けも楽だしね」

義母がそう言うと、義父も「食べたいものを取ればいいしな」と笑っていました。

それ以来、夫の実家では、一つの鍋を囲んでそれぞれ好きな具を取るのが定番になっています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ