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友人の前で妻が言った「結婚は私が妥協してあげた」→玄関の鍵を閉めてから、俺が並べた3年分のこと

  • 2026.11.7
ハウコレ

友人を見送ったあと、俺は初めて自分が手放したものを口にしました。妻は返事の代わりに寝室へ向かい、何かを手に戻ってきたのです。

リビングのテーブルの上で、妻の友人が持ってきたケーキの箱が開いていました。結婚して3年、家に友人を招くのは久しぶりのことです。紅茶を注ぎ足していたとき、友人の何気ないほめ言葉に、妻が思わぬ返事をしました。

妥協してあげた、という言葉

妻の友人は学生時代からの付き合いで、結婚式にも来てくれた人でした。
ケーキを食べながら、友人が俺の方を見て言いました。
「優しい人と結婚できてよかったね」
照れて笑いかけた俺の横で、妻がカップを両手で包んだまま答えます。
「結婚は私が妥協してあげた」
友人は眉を上げて「へえ」と言い、すぐに別の話題へ移りました。妻はその間、一度も俺の方を見ていません。
笑って流すべきだったのでしょう。それでも、カップを置く手に力が入りました。

俺が手放したもの

結婚の話が出た頃、俺には本社への異動の話がありました。受ければ、妻とは遠く離れて暮らすことになります。
迷った末に断ったことを、妻には詳しく話していませんでした。学生時代から乗っていたバイクを売って、式の費用に回したことも同じです。
恩を着せるつもりはありませんでした。自分で選んだことだと思っていたからです。
それでも「妥協してあげた」と言われたまま、何事もなかった顔をできる気がしません。
友人が帰り、玄関の鍵を閉めたところで、俺は妻の方を振り返りました。

口にした本当のこと

「妥協したのは、俺のほうだよ」
言ってしまってから、もう止められませんでした。異動の話を断ったこと、バイクを売ったこと。妻が知らないはずのことを、1つずつ並べていきました。並べるほど、自分が小さい人間に思えてきます。それでも、3年分のことを今さらのみ込むことはできませんでした。
妻はカップを2つ持ったまま、リビングの入り口に立っていました。最後まで口をはさまず、驚いた顔もしません。ただ、じっと俺の顔を見ていました。
言い終えると、部屋の中には冷蔵庫の音だけが残りました。

そして...

先に口を開いたのは、妻のほうでした。
「ちょっと待ってて」
妻は寝室から、ノートを持って戻ってきました。
最初のページには、妻の字で2行だけ書かれています。
ページをめくる俺に、妻は「ごめん」と言いました。
「これ、いつから書いてたの」
目を上げずに、聞けたのはそれだけでした。
このノートを持っていた妻が、なぜ友人の前で「妥協してあげた」と言ったのでしょうか。

(30代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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