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「なんで3本も買ったの」と聞かれた俺→ドラッグストアの棚の前で20分迷っていたわけ

  • 2026.11.7
ハウコレ

ドラッグストアの棚の前で、俺はテスターのふたを順番に開けて匂いを確かめていました。気づけば、肝心の食料品を何1つ買わずに店を出ていたのです。

実家から帰ってきた彼女が、持ち帰ったタオルに顔をうずめていました。「やっぱり、うちのタオルの匂いって落ち着く」と、つぶやくように言います。同棲して3年になりますが、あんな顔を見たのは久しぶりでした。

ドラッグストアの棚の前

2週間ほどたっても、あのときの彼女の顔が頭から離れませんでした。
あの匂いを、2人の部屋でも出せないだろうか。
仕事帰りにドラッグストアへ寄り、柔軟剤の棚の前に立ちました。
ところが、似た匂いがいくつもあって1つに絞れません。
店員さんに聞こうにも、どんな匂いなのかをうまく言葉にできないのです。
テスターのふたを開けては閉め、気づけば棚の前で20分ほどたっていました。
迷ったあげく、近いと思った3本をまとめてかごに入れたのです。
買い物を頼まれたわけではありませんが、帰りに食料品も買うつもりでいました。
それをすっかり忘れていたと気づいたのは、家に着いてからでした。

空の冷蔵庫の前で

袋を洗面台の下に押しこんでから、台所の冷蔵庫を開けました。
卵と調味料くらいしか入っていない棚を見て、つい声が出ます。
「冷蔵庫の中、何もないな」
自分に向けたつもりの一言でした。
「ごめん、買い物行けてなくて」
彼女に謝られて、慌てて首を振りました。
買い物を任せきりにしている俺に、責める資格なんてありません。
「いや、そういうんじゃなくて」
けれど続きを話せば、柔軟剤のことまで言うことになります。
麦茶だけを出して、話を終わらせてしまいました。

洗面所で見つかったボトル

数日後、洗面所のドアを開けると、彼女がボトルを並べて首をかしげていました。
「それ、まだ開けないで」
「なんで3本も買ったの」
ここで説明すると、あの匂いに近づけるかどうか分からないまま話すことになります。
ちゃんと洗ったタオルで、彼女に確かめてもらいたかったのです。
彼女の手からボトルを取って袋に戻し、それだけ伝えました。
「次の休み、空けといて」

そして...

次の休み、3枚のタオルをそれぞれの柔軟剤で洗い、ベランダに干しました。
乾いたタオルを並べて、彼女に1枚ずつ顔を近づけてもらいます。
2枚目で、彼女の手がふっと止まりました。
「これ、ちょっと近いかも」
完全に同じではないと笑われましたが、それでも構いませんでした。
冷蔵庫に何もないと言ったあの日、俺の頭の中は、彼女の実家のタオルの匂いでいっぱいだったのです。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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