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「昇進した女は可愛くない」と言った彼が、私の昇進の日に台所で見せた顔

  • 2026.11.6
ハウコレ

「昇進したよ。可愛くない女になっちゃった」。笑って言ったつもりでしたが、振り向いた彼の顔は、これまで見たことのないものでした。

ベランダの洗濯物を取り込もうと、リビングを横切ったときのことでした。ソファの彼は、スマホの画面をじっと眺めています。すれ違いざまに聞こえてきた言葉に、思わず足を止めました。

すれ違いざまの言葉

「昇進した女は可愛くない」
彼はスマホから目を上げずに、はっきりそう言いました。
同棲して3年になる彼の口から、そんな言葉を聞くとは思っていませんでした。
聞かなかったふりをして、私はベランダに出ます。
ガラス戸を閉めて、乾いたタオルを1枚ずつたたみました。
そのころ私は、会社で課長への昇進の面談を受けたばかりだったのです。
彼に真っ先に話すつもりだったその報告を、私は飲み込みました。
それからは、仕事の話を自分からはしなくなっていったのです。

台所に立つ背中

数週間後、私の昇進が正式に決まりました。
会議室で辞令を受け取ったとき、最初に浮かんだのは、やはり彼の顔でした。
家に帰ると、彼は台所に立ってフライパンを振っています。
「おかえり」
振り向かずにそう言った背中に、鞄を置いて声をかけました。
「昇進したよ。可愛くない女になっちゃった」
笑って言ったつもりでしたが、声は少しとがっていたと思います。
フライパンを揺する音が、ぴたりと止みました。
ゆっくりと振り向いた彼の顔は、これまで見たことのないものだったのです。

見たことのない顔

眉が下がり、口はかたく結ばれていました。
目のふちが、見る見るうちに赤くなっていきます。
怒っているのか、悲しんでいるのか、私には区別がつきませんでした。
あの言葉を口にした日と同じ人とは、とても思えない顔です。
「ちょっと待って」
彼はコンロの火を止めて、寝室に入っていきました。
閉まったドアの向こうからは、物音1つ聞こえてきません。
フライパンの中では、炒めかけの野菜がまだ湯気を立てていました。
台所に残された私は、鞄を置いた場所に立ったまま、そのドアを見ていたのです。

そして...

しばらくして寝室から出てきた彼は、テーブルの椅子を1つ引いて、私のほうを見ました。
「座ってくれる?」
言われるままその椅子に腰を下ろすと、彼は向かいに座って両手をテーブルの上で組みます。
目のふちには、まだ赤みが残っていました。
彼が最初に口にしたのは、「昇進おめでとう」でした。
「遅い」
そう返しながら、私は少しだけ笑っていました。
彼は組んだ手に目を落とし、ゆっくりと口を開きます。
「昇進した女は可愛くない」と言ったはずの人が、どうして私の昇進にあんな顔をしたのでしょうか。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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