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「お前の家族に嫌われてる」と言った彼が、喫茶店で父に「1つだけ聞いてもいいですか」

  • 2026.11.5
ハウコレ

父がテーブルに置いたスマホの画面を、彼はしばらく見つめたまま顔を上げませんでした。やがて父に向かって口を開いた彼の声は、思っていたよりずっと落ち着いていました。

喫茶店の窓際の席で、父はコーヒーに手をつけずに待っていました。彼と並んで向かいに座ると、父は小さく咳払いをします。この席を用意したのは、半年前に言われた彼の言葉がきっかけでした。

実家に行かないと言い張る彼

彼と付き合って2年になります。
半年前、初めて実家に連れていったとき、両親はごちそうを用意して迎えてくれました。
食事の途中で、彼は手を洗いに廊下へ出ていきました。
戻ってきた彼は、それから急に口数が減り、早めに帰ろうと言い出したのです。
帰り道、彼はぽつりと言いました。
「お前の家族に嫌われてる」
理由を聞いても、彼は「なんとなく分かる」としか言いません。
両親の態度を思い返しても、思い当たることはありませんでした。
彼が帰ったあと、母は「また連れておいで」と言っていたくらいです。
そう伝えても、彼は首を横に振るだけでした。
それ以来、実家に誘っても、彼は首を縦に振らなくなりました。

父を呼び出した

このままでは先に進めないと思い、父に相談することにしたのです。
父は電話口で少し黙ってから、「一度、外で会おう」と言いました。
彼は渋りましたが、私が頼みこむと、ようやくうなずいてくれました。
喫茶店で向かい合うと、父は鞄からスマホを取り出します。
「母さんとのやりとりを見せる。あの日のあとのものだ」
隣に座る彼の肩が、こわばるのが分かりました。
父は画面を彼のほうへ向けて、テーブルの上にそっと置きます。

画面に並んでいた言葉

画面には、あの日の食事のあとに両親が送り合ったメッセージが並んでいました。
母は「礼儀正しくて、いい人だったね」と書いています。
父のメッセージは、短いものでした。
「あの男なら任せられる」
父がそんな言葉を書いていたとは、私も知りませんでした。
彼は画面を見つめたまま、しばらく顔を上げません。
やがて彼は、父に向かって言いました。
「1つだけ聞いてもいいですか」

そして...

父は「何でも聞いてくれ」と答え、私のほうを見ます。
「少し、外で待っていてくれるか」
店の外から窓越しに見ると、彼は背筋を伸ばして、父に何かを話し始めていました。
人通りの多い歩道まで、2人の声は少しも届きません。
途中で、父が目を丸くして額に手を当てるのが見えました。
店から出てきた彼に「何の話だったの」と聞くと、返ってきたのは「お父さんに嫌われてなかった話」という一言だけでした。
両親にあれほど認められていたのに、彼はなぜ嫌われていると思いこんでいたのでしょうか。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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