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なかなか寝ない子に効果絶大!? ママパパも癒やされる「お月さまの絵本」3選[絵本の専門家が選出]

  • 2026.11.3
cocrecoイメージ写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

絵本は、子どもへの贈りものに最適なアイテム。とはいえ、ぴったりな1冊を選ぶのは、なかなか難しいもの。連載【子どもの本のプロが選ぶギフト絵本】では、絵本の専門家が、プレゼントにふさわしい絵本をセレクトします。

第26回は、絵本コーディネーターの東條知美(とうじょう・ともみ)さんが、おすすめの“お月さまの絵本”をご紹介。

お月さまを捕まえる!? 女の子の一夜の大冒険

子どもにとっては、不思議で妖しげな存在の「月」。夢想を誘う月は、古今東西、数えきれないほどたくさんの絵本に描かれてきました。

2026年の十五夜(中秋の名月)は、9月25日。月の美しい季節に、ファンタジーの世界にどっぷり浸れる「お月さまの絵本」を贈ってはいかがでしょうか。子どもも大人も、きっと心癒やされるはずですよ。

最初にご紹介するのは、手のひらサイズの小さな絵本『マギーとおつきさま』(瑞雲舎)。作者は、日本でもファンの多いアメリカの人気絵本作家、マーサ・アレクサンダーです。

鮮やかな黄色の表紙の真ん中には、暗闇の中で木に登る女の子と、その様子を見守る犬。黒い鉛筆で描かれたモノクロの世界に、唯一、色を与えられた満月が輝いています。思わず手に取りたくなる美しさです。

cocreco『マギーとおつきさま』(作:マーサ・アレクサンダー、訳:田中潤子/瑞雲舎)

満月の夜、月明かりで目が覚めてしまったマギーは、愛犬を誘って窓からこっそりと抜け出します。なんと、お月さまを捕まえに行こうというのです。

部屋の中から見えるお月さまは、丘の上にのっているよう。外に出ると、今度はうんと低いところにあって、転がして持ち帰れそうなほどです。

ところが、リンゴ畑で見るお月さまは空高くにあって、木に登っても、投げ縄を使っても届きません。マギーと犬はガッカリして家に帰ろうとしますが、途中、池に落ちているお月さまを見つけて──。

美しい月夜に、女の子の小さな声だけが聞こえてくる静かな物語。お月さまは、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、水の中に隠れたり。眩しいくらいに照らしたかと思えば、雲に入って夜道を真っ暗にもしてしまう。子どもにとっては、なんとも不思議な存在でしょう。

この夜、お家を抜け出したのは、マギーと犬、そして、読者だけの秘密。詩情豊かで、眠りにつく前、お子さんとないしょ話のようにささやきながら読みたい一冊です。

*読み聞かせ 3さいくらいから

*ひとり読み 5さいくらいから

眠れない夜にお月さまがしてくれたこととは?

次にご紹介するのは、絵本作家・鈴木真実さんの『ふわふわ ふんわり おやすみなさい』(講談社)。

お空の月は、どこにいてもこちらを見ているようです。小さなお子さんには、自分を見守る大きな存在のように感じられることでしょう。

cocreco『ふわふわ ふんわり おやすみなさい』(作:鈴木真実/講談社)

こちらの絵本の主人公も、なかなか寝付けないようです。

「どうして よるは ねむらなくちゃ いけないの。わたし、ねむくないもん」と、ちょっと不満げ。

女の子は「ぴーすけ、おふとんとんねる しよう」と、お気に入りのぬいぐるみ・ぴーすけを誘って、おふとんの中へ潜り込みます。

「ふわふわ ふんわり おふとんとんねる。」

「ふわふわ ふんわり くもみたい。」

そうしてトンネルを進んでいくと、白ひげをたくわえたお月さまが気持ちよさそうに眠っています。女の子に気づいて、目を覚ましたお月さまが「さあ でて おいでー」とおふとんをめくると、中から無数の星々が飛び出してきました。

お月さまは、シャラランシャラランと優しく歌いながら、女の子を寝かしつけようとします。ところが……「わたし、ねむくないもん」。女の子は、まだまだ眠れそうにありません。

そう、子どもを寝かしつけるのは至難の業ですよね(笑)。最後にお月さまは、女の子に何をしてくれたと思いますか?

女の子とお月さまの、やわらかくてあたたかい時間。お子さんがなかなか眠らない夜は、腹をくくって、お月さまのようにゆったりと子どもに寄り添おうではありませんか。

パステルで描かれた素朴であたたかなタッチの絵が、ふわふわのおふとんのように、親子の一日の疲れを癒やしてくれます。優しく眠りの世界へと誘ってくれる一冊。お子さん、そして、子育てに奮闘する親御さんへ、エールとともに贈りたい絵本です。

*読み聞かせ 2・3さいくらいから

*ひとり読み 5さいくらいから

輝く月に静かな祈りを捧げる絵本

最後にご紹介するのは、『ふしぎな月』(理論社)。

古来、月には大きな力が宿るといわれてきました。月の満ち欠けが海の形を変化させ、生命の営みを支配する──。こうした現象は、今やさまざまな研究によって解き明かされていますが、それでも私たちは、月に人知を超えた不思議な力を感じて、祈ったり、願いを託したくなるものです。

『ふしぎな月』は、満月の夜を舞台に、この世の情景と、そこに生まれる幻想や祈りを静かに描き出す散文詩です。

cocreco『ふしぎな月』(文:富安陽子、絵:吉田尚令/理論社)

空にまるい月がのぼった夜、林の中では、月光を浴びた虫がいっせいに羽ばたきます。妖精に姿を変えて舞い踊る彼らは、この夜を祝福しているかのよう。土の下で眠っていた種は目を覚まし、ぐんぐん伸びて、野を一面の花で満たします。

海の魚たちはダイナミックに空へと飛び出します。満月を取り囲むように泳ぐ、クジラ、ウミガメ、小さな魚の群れ。

家の中にも月光は差し込み、目を覚ました赤ちゃんが、夜空を悠々と飛び回ります。なんという美しい幻想、解放感に満ちたイメージでしょう。

そして、もちろん月は、戦場の空にものぼります。戦火で燃えさかる街から見える月。苦しみと悲しみの中、解放されない子どもたちは、がれきの中にたたずむことしかできません。この月を見上げる彼らは今、いったい何を思うのでしょうか。

終わりは、月に捧げる祈りのような言葉と、穏やかな朝の訪れを描いた絵で締めくくられます。すべての子どもが想像の羽を広げ、美しい世界を夢見ることができますように。美しい月夜に、親子で読んでいただきたい一冊です。

*読み聞かせ 5さいくらいから

*ひとり読み 小学1年生くらいから

取材・文/星野早百合

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