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不登校の娘が“変わった”中3の夏休み 母に明かされた「学校に行けなくなった」本当の理由【中編】

  • 2026.11.2
cocrecoイラスト:べるこ

18歳と16歳の女の子を子育て中のママ(48歳)です。

小学1年生のころから、幾度となく友だちからの仲間外れといういじめを受け続けた娘。心機一転、入学した学区外の中学校でも、またもや仲間外れにされてしまいました。

それを機に不登校になった娘は、「死にたい……」と漏らすまでに追い詰められることに。

あの日以来、私は娘に「学校へ行きなさい」と言うのを一切やめました。「生きていてくれれば、それでいい」心の底から、そう思うようになったのです。

朝、時間どおりに起きられなくてもいい。一日中部屋から出てこなくてもいい。笑えなくてもいい。とにかく「今日を生き延びること」だけを目標にする日々が始まりました。

※本記事はママの実体験を取材しプライバシーに配慮し構成したものです。

昼夜逆転し部屋にこもった娘

学校に行かなくなった娘は、次第に昼夜逆転の生活を送るようになりました。リビングに顔を出すのは夕食前後の1時間ほどだけ。

家族とは会話をかわさず、まるで外の世界と拒絶するようにイヤホンをして、スマホを見たり漫画を読んだり。ときにはソファに寝転がり、ボーッと天井を眺めるだけの日もありました。そんな娘の姿を見た私は、「この子は一生このままなんだろうか」という、なんともいえない不安に押しつぶされそうになりました。

昼夜逆転の生活をただ黙って見ていたわけではありません。朝早く起こしてみたり、夜は早く寝るように仕向けたり、ひととおりやってはみたのですが、うまくいかなかったのです。それどころか、無理に正そうとすればするほど、娘は家族と距離をとろうとしてきました。

せっかく学校を休むことを決めたのに、これじゃ本末転倒かもしれない。そう思った私は、「今は、傷を癒やすための回復期間なんだ」と自分に言い聞かせ、娘の様子を見守ることにしたのです。

唯一のおでかけは、たまにふたりで行くスーパーやコンビニくらい。それほど会話をするわけではなくても、こうやって一緒に過ごせる時間が持てることを、私は幸せだと感じるようになっていました。

女子グループを見るだけで 娘は目を逸らした

そんな生活を半年ほど続けるうちに、娘は少しずつ元気を取り戻し、以前のように私と話す時間も増えていきました。好きなアーティストの話をしたり、夕飯の準備を少し手伝ってくれたり。一時期は目を合わせることすらできなかったのに「今日こんな変な夢を見たんだ~」と、話してくれることも増えていきました。

それでも、以前とまったく同じ状態に戻ったわけではありません。学校や勉強の話になると、スッと娘の表情が変わってしまうのです。少しずつ外出はできるようになっていましたが、同世代の子たちが集まる場へは、なかなか足が向きませんでした。

特にグループで行動している女の子の集団に気づくと、目を逸らしたり、避けようとしたりする。“同年代の集団”への恐怖心だけは、根深く娘の中に居座り続けているようでした。

学校に戻れないまま 娘は中3になっていた

cocrecoイラスト:べるこ

少しずつ家庭内での笑顔が増えてきたとはいえ、そこからすぐに学校へ戻れたわけではありません。その後も登校できないまま時間は過ぎ、気づけば娘は中学3年生になっていました。

学校からのプリントなどを見ても、受験に向けての案内ばかり。外に出れば、塾に通っている同級生の姿を見かけます。親戚から「高校はどうするの?」「このままで大丈夫なの?」と聞かれることもありました。私だって、不安でいっぱい。でも、誰よりも自分の将来を不安に思い、絶望しているのは娘自身なのです。

「私の不安を見せて、これ以上娘に追い打ちをかけてはいけない」。そう自分に強く言い聞かせ、私はできるだけ普通に接しようと努めていました。

「どうせ最後は嫌われる」娘が初めて明かした本音

夏休みのある夜。久しぶりに娘と夜更かしをしながら、ふたりでゆっくり話す時間がありました。そのとき私は初めて、娘が友だちとうまくいかなかった背景に、どんな苦しさがあったのかを知ることになったのです。

娘は、小学1年生で初めて仲間外れにされたあの日から「また嫌われるかもしれない」という恐怖を強く抱えるようになってしまったと話してくれました。

娘は、目の前の友だちそのものが怖かったわけではありませんでした。以前の友人関係で傷ついた経験から、「また同じことが起きるかもしれない」と不安になっていたのです。

「今は仲良くしてくれていても、急に嫌われるかもしれない」

「私のいないところで、悪口を言われているかもしれない」

「どうせ最後は、みんな離れていく」

そんな思いが頭から離れなくなり、友だちに「大丈夫だよ」と言われても本当なのか信じきれず、メッセージの文面を何度も読み返したり、相手の返事が少し遅いだけで「嫌われたのかもしれない」と不安になったりしていたそうです。学校で誰かが笑っているのを見ると、自分のことを笑われているのではないかと感じることもありました。

傷つきたくないから、必死に相手の気持ちを確かめる。でもその行動が、かえって友だちとの距離をぎこちなくしてしまう。娘は、そんな悪循環のなかで苦しんでいたのだと思います。

娘の話を聞いて、私は愕然としました。クラス替えをすれば、中学校に上がれば、きっと新しい人間関係を築ける。そう思っていたのは、私だけだったのかもしれません。

娘の中では、最初に傷ついた経験が、まだ終わっていなかったのです。

文/構成・橘サチ

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