1. トップ
  2. エピソード
  3. 「最近、お返しがないわね」野菜を届けるたびに見返りを期待する近所の女性。だが、町内会で隣人が口を開いた瞬間

「最近、お返しがないわね」野菜を届けるたびに見返りを期待する近所の女性。だが、町内会で隣人が口を開いた瞬間

  • 2026.11.2
「最近、お返しがないわね」野菜を届けるたびに見返りを期待する近所の女性。だが、町内会で隣人が口を開いた瞬間

玄関先で言われた思いがけない一言

近所に住む年上の女性は、庭で家庭菜園をしていて、とれた野菜をよく我が家に届けてくれました。

女性は町内会でも顔が広く、誰に何をあげたかをよく話す人でした。

私は好意で分けてくれているのだと思い、毎回ありがたく受け取っていました。

ある日の昼、チャイムが鳴って玄関を開けると、女性がトマトの入ったかごを持って立っていました。

「いつもありがとうございます。助かります」

そう言って受け取ろうとすると、女性が笑顔のまま言いました。

「最近、お返しがないわね」

「えっ?」

突然の言葉に、思わず聞き返してしまいました。

「いつも野菜を持ってきてるでしょう?」

そこでようやく、お返しを期待されていたのだと気づきました。

「すみません。そこまで気が回らなくて……」

女性はそれ以上何も言いませんでしたが、私は気まずくなり、その日の夕方に焼き菓子を買って届けました。

女性は箱を受け取ると、中をのぞいて満足そうにうなずきました。

それで済んだと思っていたのですが、その後も野菜を届けに来るたび、女性はかごを渡したあとも玄関先に立ったままでした。

何かお返しを待っているように見えて、次第に野菜をもらうこと自体が負担になっていきました。

町内会の集まりで隣人が口を開いた

ある日の昼、町内会の集まりがありました。

話し合いが終わり、お茶を飲んでいたときのことです。あの女性が、周囲に聞こえる声で話し始めました。

「最近の人は、お返しも知らないのよね」

何人かが私のほうを見ました。

「野菜をあげても、何もないことが多いんだから」

焼き菓子を届けたことはありましたが、毎回お返しをしていたわけではありません。

自分のことを言われているのだと感じ、どう答えればいいのか迷っていました。

すると、隣の家の奥さんが口を開きました。

「あのね、私も前にお返しがないって言われたことがあるのよ」

女性は少し驚いたような顔をしました。

「おすそわけだと思っていたから、あのときは困ったわ」

奥さんは責めるような口調ではなく、普段どおりの落ち着いた声で話していました。

「でも、お返しを待たれると、もらうほうも気をつかうのよ」

その言葉に、机の向こうに座っていた年配の女性もうなずきました。

「うちも、言われたことがあるわ」

ほかの住人たちも顔を見合わせていました。

野菜を届けてくれる女性は何か言いかけましたが、結局、言葉にはせず、湯のみに目を落としました。その後は集まりが終わるまで何も言いませんでした。

それから、女性がお返しのことを口にすることはなくなりました。野菜が届く回数もずいぶん減りました。

一方で、隣の奥さんとは以前よりよく話すようになりました。

「この前は、ありがとうございました」

そう伝えると、奥さんは笑って言いました。

「いいのよ。私もずっと気になってたから」

垣根越しに笑う奥さんを見て、私もようやく気持ちが軽くなりました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ