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「猫を飼う女は寂しい女」と言った彼→うちの猫に懐かれなかった話

  • 2026.11.3
ハウコレ

台所から戻ると、彼は床に腹ばいになってベッドの下をのぞき込んでいました。小さな声で何を話しかけていたのか、私には聞き取れなかったのです。

玄関のドアを開けた途端、キャットタワーの上の猫がさっと床に飛び降りました。付き合って3か月の彼を、初めて部屋に呼んだ日のことです。猫はそのままベッドの下にもぐり込み、出てこなくなりました。

キャットタワーを見て

彼は部屋の隅のキャットタワーを見上げて、ふっと笑いました。
「猫を飼う女は寂しい女」
3年前に保護猫の譲渡会で出会ったこの子は、私にとって家族です。
「この子、家族なんだけど」
「そういう意味じゃない」
彼はそれだけ言って、ソファに腰を下ろしました。
私はキャットタワーに残る爪とぎの跡を、なんとなく指でなぞります。
家族なのに…。
寂しさの埋め合わせのように言われた気がして、その日は口数が減りました。
彼はどういう意味なのか、最後まで説明してくれません。
ベッドの下の暗がりで、猫の目だけが光っていました。

床に座る彼

それからも、彼は週末になると部屋に来るようになりました。
猫は彼の足音が聞こえるだけで、ベッドの下に逃げ込みます。
何週間たっても、彼の前に猫が出てくることはありませんでした。
不思議だったのは、彼がソファではなく、ベッドの近くの床に座るようになったことです。
スマホを見るでもなく、ただ壁にもたれて座っています。
猫のことは嫌いなのだろうと思っていたので、その姿がどうにも腑に落ちませんでした。
ある日、台所でお茶をいれて戻ると、彼は床に腹ばいになっていました。
ベッドの下をのぞき込んで、何か小さな声で話しかけているのです。

聞こえなかった言葉

台所の入り口からでは、何を言っているのか聞き取れませんでした。
「何してるの」
声をかけると、彼はあわてて体を起こします。
「別に」
膝のほこりを払いながら、彼は私と目を合わせようとしません。
その顔は、心なしか赤くなっているようでした。
ベッドの下の猫は、さっきより少しだけ手前に出てきているように見えました。
寂しい女と笑った人が、なぜ猫にあんなふうに話しかけていたのか。
湯のみを持ったまま、私はしばらくその場に立っていました。

そして...

お茶を受け取った彼は、湯のみを両手で包んだまま口をつけません。
やがて床に座り直して、こちらを見上げました。
「笑わないで聞いてくれる?」
私がうなずくと、彼はゆっくり話し始めました。その間に、ベッドの下から猫が一度だけ出てきて、彼の靴下のにおいをかいで、また戻っていきます。
彼の前に猫が出てきたのは、この日が初めてでした。
最後まで、私は笑わずに聞きました。
あの日の言葉は何だったのか。ベッドの下の猫に、彼は何を話していたのでしょうか。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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