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ハイブランドの憧れシューズはほぼここで作られている!【イタリア・ヴェネト州】靴づくりの名門ファクトリー現地取材

  • 2026.11.2

 気づいたら、シューズクローゼットにどんどん増えていくラグジュアリーメゾンの靴たち。3度の飯より靴が好きな私も例外ではなく、いつの間にか数十足も所有していました。シューズブランドも大好きですが、ラグジュアリーメゾンの靴は別格。デザインや素材使いが秀逸で、旬が凝縮されているのに数年後にはいても色褪せない。もはや宝物になっています♡
 
皆さんも、そんな宝物たちのアウトソールやライニングを見てみてください。フランスやアメリカのブランドなのに、なぜか「made in Italy」って刻まれていませんか? 個人的にそのことがずっと気になっていたのですが、今回イタリア・ヴェネト州に訪れて謎が解けました。なんと、この地がラグジュアリーメゾンの靴を手がけている高級婦人靴の、聖地だったのです。

ブレンダ川流域は自然も豊かで、おとぎ話に出てきそうな建物とのマッチングも絶妙ですよね。この景色、ずっと見てられる

ヴェネト州はミラノから車で約3時間の場所に位置します。古都パドヴァから水の都ヴェネツィアまでのブレンタ川流域は、昔から靴産業が盛んで、超一流ラグジュアリーメゾンの靴をこぞって製造しています。大人の事情で名前は出せないのですが、メーカーの工場を見学をしていると、そこかしこに名だたるブランドの靴を見かけました。世界中のラグジュアリーメゾンの靴は、全てここで作っていると言っても大袈裟じゃないくらいです。
 
というわけで今回は、ヴェネト州の靴について掘り下げようと思います。女性なら誰もが心躍るシューズ博物館からラグジュアリーメゾンの靴を手がける工場視察、さらにはヴェネト発の注目ブランドまで、盛りだくさんでご紹介します! 

世界的なラグジュアリーメゾンのアーカイブが展示されている「ヴィッラ・フォスカリーニ・ロッシ ラグジュアリーシューズ博物館」

本当に素敵な靴ばかりで、ずっと目が♡でした(笑)

ヴィッラ・フォスカリーニ・ロッシ ラグジュアリーシューズ博物館(イタリア語:Museo della Calzaturadi Villa Foscarini Rossi)は、高級婦人靴の歴史を展示する博物館です。そもそもこの博物館は、地域の伝統である靴づくりの職人技を後世に伝えて、20世紀後半のファッションの変遷を靴を通して記録・発信することを目的にしているそう。シューズメーカー「ロッシモーダ」の創業者であるルイージ・ロッシ氏によって1995年に設立、ブレンタ川沿いに佇む17世紀の美しい邸宅「ヴィッラ・フォスカリーニ・ロッシ」内にあります。
 
この博物館の見どころは、なんといってもラグジュアリーメゾンのアーカイブ。クリスチャン・ディオールやイヴ・サンローラン、フェンディといったブランドの歴史的な名作靴が1,500足以上も常設展示されているんです。ブランドごとに部屋を分けているので非常に見やすく、好きなブランドの部屋は永遠に居たいくらい。そして、独り言のようにずっと「素敵♡」とつぶやき続けていたことはここだけの話(笑)。
 
 
ここまで名作靴が一堂に見られる博物館って他にないと思うんですが、これが実現できたのは、ロッシモーダ社が世界のトップメゾンや高級ブランドと提携して製造してきたから。しかも、入場料は一般(大人)が8ユーロと破格!  靴好きならずとも女性ならテンション爆上がりすることうけあいの博物館なので、ヴェネト州に訪れたらマストで足を運んでみてください。

敷地内の建物も素敵♡ お庭もきちんと整備されていて、中世の時代にタイムスリップしたような気分になりました

歴史を感じさせる館内。壁紙のカラーリングも洒落てますよね

イヴ・サンローランの部屋には、モロッコの「イヴ・サンローラン・マラケシュ美術館」でも見た「LOVEポスター」も展示されていました

ラグジュアリーメゾンの靴を製造する名門ファクトリーを直撃!

靴ってこうやって作られているんだ! ということを知ることができた工場視察。靴への愛がさらに深まりました

靴本体の製造からソールやアッパーといったパーツの加工業者、卸売業者などを含めると、ヴェネト州には約1,000社ほど、靴に関連する企業があります。ブレンタ川沿いのエリアは「リヴィエラ・デル・ブレンタ」と呼ばれる世界的な高級靴の生産一大拠点になっていて、このエリアだけでも500社以上の靴関連企業が集中。そのほぼ全てが、なんらかのカタチで世界的なラグジュアリーメゾンの靴製造に携わっているそうです。
 
今回訪れたのは「ANTONIO BARBATO(アントニオ・バルバート)」と「HIM Co Industry S.p.A.(エイチアイエム・コー・インダストリー)」。前者はイタリア国内の信頼がトップクラスだそう。木型を開発して提供するファクトリーでもあります。一方の後者は、デザイン性の高い個性的な靴を手がけている印象を受けました。どちらもヴェネト州を代表する靴ファクトリーで、工場内には誰もが知るラグジュアリーメゾンの靴がズラリ。いかにヴェネト州の靴づくりが素晴らしいのかを知ることができました。

「HIM Co Industry S.p.A.」はアーカイブを拝見することができたのですが、これまで愛用していた靴やずっと欲しかった憧れの靴が並んでいて、思わず小躍りしちゃいました

伝統を未来へ繋ぐ。若者が憧れる、驚異の育成システム

こちらのモダンな建物が「Politecnico Calzaturiero」

ヴェネト州において靴は一大産業ですが、そこで知りたかったのが後継者の育成についてでした。日本では職人の高齢化や後継者不足が深刻な問題になっているので、イタリアの伝統職人の世界はどうなっているのか、気になっていたのです。
 
そこで訪れたのは、「Politecnico Calzaturiero(ポリテクニコ・カルツァトゥリエーロ)」。ここは世界最高峰の靴産業専門の教育・研究・技術革新センターで、なんとリヴィエラ・デル・ブレンタ地区の靴工場で働く職人や技術者の約95%が、このポリテクニコの卒業生なんです。また、日本では「職人=下積みが長くて収入が不安定」というイメージがあるけど、この地区は全く違うといいます。
 
超一流のラグジュアリーメゾンの靴を一手に引き受けているため、ファクトリーや職人の経済的地位が非常に高いそう。もちろん社会的にもリスペクトされていて、給与面や労働環境もしっかり守られているため、若者が喜んで飛び込む業界になっているんだとか。これは日本も見習わなければいけないところですよね。

こちらは高校生が作った作品。初めて作ったとは思えないほどの完成度!

しかも、これほど最先端の環境でありながら授業料が手ごろで、誰にとっても学びやすい環境が整っているというのも大きな魅力です。「靴製造」という名がついているものの、時代のニーズに合わせてバッグなどの高級革製品や最先端の3D CADデザイン、さらにはマーケティングまで多角的に学べる場でもあるんだそう。体験コースなども用意されているそうなので、1カ月ほどこの土地に滞在して、じっくり靴づくりを学ぶのもいいですよね。いつか、自分が作った靴をはいて街を歩いてみたい!

あのラグジュアリーメゾンの靴も作っている、ヴェネト発のブランドもチェック!

今回、実際に出会ったヴェネト州の注目ブランドはこちら。これから日本で見かけたらぜひチェックしてみてくださいね。

【POEVE(ポエヴェ)】

ハラコを使った美しいパンプス。アッパーのギャザーがデザインアクセントになったローファーも素敵!

モダンで洗練されたデザインにひかれた【POEVE(ポエヴェ)】。全てヴェネト州の職人たちのハンドクラフトで作られている気鋭の靴ブランドです。デイリーに使える靴をモットーに、歩きやすさや軽さ、人間工学に基づいたフィット感を徹底的に追求しているそう。また、サステナブルへの意識も高く、国際機関(LWG:レザー・ワーキング・グループ)から厳格な環境認証を受けた、最高品質のイタリア産天然レザーのみを採用しているのも特筆すべき魅力。すでに日本での人気も高まっているそうで、百貨店やセレクトショップで取り扱っているので、気になる人はチェックしてみて!

【SANDRO VICARI(サンドロ・ヴィカリ)】

クラシックなデザインにパンチのあるスネーク柄というコンビが、めちゃちゃタイプです♡

もうひとつ気になった靴ブランドが、1960年創業の老舗名門ファクトリーが手がける【SANDRO VICARI(サンドロ・ヴィカリ)】。自社ブランドを手がけるかたわら、フランスやアメリカの一流ラグジュアリーメゾンの製造・開発も支え続けている、まさにイタリア靴職人界のレジェンド的なファクトリーなんです。【SANDRO VICARI】の靴は、とにかく美しくエレガント。キャッチーな素材使いも印象的で、足元から大人の色気を引き出してくるような気がします。それでいてハンドクラフトならではの極上のはき心地を楽しめるというのも魅力。日本進出はこれからとのことですが、こちらも要チェックです!

【VENETIAN BEAUTY(ヴェネティアン・ビューティー)】

他とは一線を画す構築的なデザインが洒落てるんです!

最後に、2021年にヴェネツィアで誕生したバッグブランドをご紹介します。それが【VENETIAN BEAUTY(ヴェネティアン・ビューティー)】なのですが、このブランドの面白いところは、ヴェネツィアのシンボルであるゴンドラの美しい木造パーツや造船技術を、そのままバッグのデザインに昇華させている点。とくに気になったのがこちらのバッグなんですが、独特なフォルムとリベット使いが洒落ていますよね。ゴンドラのオールを支える木製の仕掛け「フォルコラ」をモチーフにしているのも印象的です。最高級のイタリアンレザーも美しく、めちゃくちゃタイプです♡

ヴェネト州に訪れたのも知ったのも今回が初だったので、ここまで靴が一大産業になっていることに驚かされました。家にあるラグジュアリーメゾンの靴の数々がヴェネト州で作られていたことも感慨深いですし、これからも大切にはいていこう! と心に誓った次第です。靴産業が盛んな地域はヴェネツィアからも近いので、ぜひ足を運んでみてください。もっと靴が好きになりますから!

協力/イタリア靴メーカー協会、イタリア大使館貿易促進部、ヴェネト東部産業連盟

Text:KYOKO CHIKAMA

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