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【中学受験伴走】「秋から偏差値が上がらない…」その焦り、実は思い込み? 塾講師が明かす「伸びる子」のリアル

  • 2026.10.30

教育ジャーナリスト・佐野倫子です。暑く長い夏休み、お疲れさまでした……!

しかし「夏休みにあんなに頑張ったのに偏差値が変わらない……」と焦っている保護者の方も多いのではないでしょうか? 私も長男の中学受験伴走時、秋からの成績停滞に暗闇を歩くような不安を抱えました。

「偏差値が横ばいでも、大きく伸びている子はたくさんいる」とは、中学受験塾・グノーブルの山下倫央先生。

そこで今回は、焦る親の思い込みを覆す「本当に学力が伸びる子のリアル」をQ&A形式で山下先生に伺いました。

佐野倫子(さの・みちこ)

東京生まれ、早稲田大学卒。現在、東京大学大学院情報学環教育部在学中。航空業界・出版社勤務を経て作家・教育ジャーナリストに。おもな著書に『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)。2人の男の子の母。現在中受伴走2周目中。

偏差値が横ばいでも「伸びている子」はたくさんいる

Q:夏以降、「もっと成績を上げなくては」と焦ってしまいますが、秋から冬にかけて、大きく伸びる子にはどんな特徴があるのでしょうか?

山下倫央先生(以下、山下先生):まず、伸びるという言葉をふたつに分けて考えてください。一つは、多くの保護者がイメージする「偏差値や順位が上がる」という伸び。もう一つは、「本人の学力そのものが伸びる」という伸びです。

前者は同じ学年の子どもたちとの比較です。でも後者は、昨日までの自分、去年までの自分との比較ですね。このふたつを混ぜて考えると、とても苦しくなります。

例えば、夏まで真面目に勉強してきた子が、秋も同じように努力を続けたとして、学力は伸びているにもかかわらず、偏差値はあまり変わらないことがあります。

理由は簡単、周りの受験生も同じように努力しているから。つまり、みんなで成長しているので順位は動きにくく、一見、現状維持となります。

でも実は、この『現状維持』ってすごいことなんです! 偏差値だけ見ると変わっていないように見えますが、本人の学力はちゃんと伸びていますから。だから、この状態を『伸びていない』と考えてしまうのは違うのです。

急激に成績が上がるケースは、もともと勉強に十分取り組めていなかった子が、一気に受験勉強を始めたという場合などです。そういった話は特殊ゆえに目立ちますが、必ずしも一般的なお手本ではありません。

親が見てあげたいのは、「去年のわが子」

Q:先ほどの質問のお答えを聞いて、わかっていても秋以降に偏差値が動かない、もしくは右肩下がりだと、親としては心配になってしまいます。そんなときにはどう気持ちを保てばいいのでしょうか?

山下先生:そんなときは、去年のお子さんの答案やノートを見返してみてください。去年は解けなかった問題が解けるようになっている。字もきれいになっている。計算も丁寧になっている。そういう成長は親だからこそ気が付けるもの。

偏差値のグラフは横ばいでも、子ども自身は間違いなく前へ進んでいることを認め、おおいに褒めてあげてください! これは講師ではなく、保護者の方の役目であると思います。

SNSの成功談は「物語」かもしれない

Q:SNSなどで伴走中の保護者が投稿するお子さんの成績を見るたび気持ちが焦ってしまいます。伴走中はSNSとどう付き合うべきでしょうか。

山下先生:私は、そういう情報収集はあまりおすすめしません。理由はシンプルです。その家庭でうまくいった方法が、お子さんにも当てはまる保証はないからです。

合格には無数の要素があり、「何かをやったから受かった」などと言える人はいないはずです。成功談は、たまたまそのときはうまくいったという「物語」になっていることが多い。

大人はつい、「万能で便利な正解」を探したくなります。でも子どもは一人ひとりまったく違う個性や背景があり、誰かの成功体験をそのまま真似すればうまくいくほど、単純な世界ではありません。

SNS上の知らないご家庭と比較をするより、目の前の子どもの昨日より成長している部分を見つけてあげてください。

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今回の取材で山下先生は何度も「周りの子と比べない」「SNS上の偶像と比べない」「偏差値だけで比べない」ということをおっしゃっていました。

数字は変わらなくても、学力の積み重ねを信じること。それが受験生活を伴走する親にとって、一番大切なのかもしれません。

後編では、多くの家庭が悩む「親はどこまで手伝うべきなのか」という永遠のテーマについて、引き続き山下先生にお伺いします。

撮影/日下部真紀

取材・文/佐野倫子

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cocreco『中学受験伴走力 親がすべきこと、知るべきこと』(講談社+α新書)著:佐野倫子
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