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デザインの可能性をひらく実験的なイベント「alter. 2026, Tokyo」が開催中

  • 2026.10.30
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この秋、東京ではアートやデザインのイベントが数多く開催されている。そのなかでも、新たな才能や可能性に光を当てる実験的な試みとして注目したいのが、現在開催中の「alter. 2026, Tokyo」だ。会期は11月1日(日)まで。

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若手クリエイターのアイデアを実現する「alter.」とは

「alter.」は、デザインやアイデアがあっても、予算の関係で具現化が難しいことも多いプロダクトデザインの世界で、若いクリエイターが直面する課題を解決するために始まったプロジェクトである。

では、どう解決するのか? まず、国内外の若手クリエイターを中心に、プロダクトデザイナー、アーティスト、建築家、写真家、職人、エンジニア、研究者などがチームを組んで応募する。審査のポイントはふたつ。ひとつはプロダクトとしての評価、もうひとつは展示空間や来場者体験も含めたインスタレーションとしての評価だ。

審査を行ったのは、建築家の青木淳や「Vitra Design Museum」のキュレーター、ヨハン・デュレルら、建築、プロダクト、ファッション、キュレーション、編集、ジャーナリズムなど、さまざまなジャンルや立場からグローバルなデザインシーンを牽引する5名のコミッティメンバーだ。

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出展料は無料で、規模に応じて最大300万円の制作補助が設けられている点も特徴だ。これにより資金面のハードルが下がり、クリエイティブなマインドやビジョンを持つ人に広く出展の機会が開かれている。独創的なアイデアをプロトタイプとして形にしやすいイベントだ。今回は審査を経て9つのプロジェクトが選出され、会場で展示されている。場内は「EXHIBITION」「CIRCUIT」「LOUNGE(STUDIO / BAR)」と呼ばれる3つのプログラムで構成。さまざまな角度からプロダクトやクリエイターの魅力を発信している。

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9つのプロジェクトが集結する「EXHIBITION」

「EXHIBITION」は、審査で選ばれた9つのプロジェクトのプロダクトを展示するプログラムだ。

そのひとつが、林業・木材産業・デザインの三者による協働プロジェクト「Bole」。日本では、1本の丸太の価格が労働に見合わず、森を維持すること自体が難しくなりつつある。そこで、丸太を輪切りにし、林業の現場にある道具や技術を生かしてデザイン。1本の丸太から8脚のスツールを生み出し、新たな価値へとつなげることで、林業の現状にも問いを投げかけている。

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和紙生産者、染色職人、デザイナーが協働するマテリアルリサーチプロジェクト「Capillary Drift」。大道くらら、狩野佑真、谷口弦の3人が取り組むのは、和紙と染色の新たな可能性の探求だ。オブジェの表面を覆うのは和紙。この素材を平面ではなく「繊維の集合体」として捉え直し、染色を施すことで、毛細管現象による染料の広がりを可視化している。繊維の隙間を移動する染料は、素材の密度や方向、重力、時間などの条件によって予測できない軌跡を描く。その痕跡が、一つひとつ異なるデザインを生み出している。

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会場の奥には、実験室のような展示が広がる。手掛けるのは、他力研究所による体験型プロジェクト「TARIKI LABORATORY -Experimental Tea Party-」。各地で高精度センサーを使って採取した8種類のデータをもとに、その場で一つ一つ異なる形状のペットボトルを成形する。来場者は、そのボトルでお茶を楽しめる実験茶会だ。1日およそ1000杯が提供される予定なので、会場に着いたら早めに体験しておきたい。

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スイスのテキスタイルミュージアムと協働し、失われつつある刺繍技術の復元に取り組むプロジェクトが「PHANTOMS」だ。100年前に作られたスイス初の刺繍機が奏でる音からパターンを生み出し、チタンコーティングを施した特殊な布に刺繍。中国の職人と協働して制作した新たな生地とともに展示している。光を透過したり反射したりすることで生まれる、生地の表情の変化にも注目したい。

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素材やその質感に向き合う、国際的なクリエイター6組によるプロジェクトが「AT FIRST CONTACT」だ。デジタル技術で彫刻的な造形を生み出すオードリー・ラルジュ、素材の物理的特性を探究するソウルのデザインスタジオ、ナイスワークショップ、金属の変形を通じて新たなかたちを探るティム・テーフェンらが参加。会場に並ぶさまざまな形や素材感のプロダクトを通して、素材の表面を装飾や仕上げとしてではなく、素材・かたち・意味の捉えられ方を左右するものとして提示する。表面がどのように形づくられ、どんな意味を帯びるのかを観る人に問いかけている。

ほかにも多くのプロダクトが展示されているが、各プロジェクトの間に基本的に仕切りがなく、作品同士が有機的に混ざり合うように構成されているのも、このイベントの特徴だ。一つ一つの作品はもちろん、会場全体が一つの作品のように、現代のクリエイティブの空気感を体現している。

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プロトタイプを社会へつなぐ「CIRCUIT」と交流の場「LOUNGE」

「CIRCUIT」は、回路と循環を意味する新たなプログラムだ。プロトタイプを展示だけで終わらせず、プロダクトとして販売することで、社会や暮らしへ届ける道筋をつくることを目指す。会場では展示作品のほか、企業とアーティストによる実験的な制作物や、「alter.」がキュレーションした商品も紹介され、購入できる。とりわけ注目したいのは、初回開催となった2025年に展示されたプロトタイプが、現在のかたちで展示・販売されていること。次世代のクリエイターを継続的に支援していく姿勢は、デザイン界全体にとっても心強い。

「LOUNGE(STUDIO / BAR)」は、来場者が出展クリエイターやほかの来場者と交流できるスペースだ。バーカウンターには日替わりでバリスタやバーテンダーが立ち、ドリンクを提供する。出展プロジェクトのメンバーが登場するトークプログラムも実施され、ライブ配信のほか、YouTube上でもアーカイブが公開される。

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会場には、デザイン好きはもちろん、アートに興味がある人や、ものづくりに携わるクリエイター、プロトタイプのような新製品をいち早く知りたい人まで、幅広い層に響く試みがそろう。ここでしか得られない多様な刺激に出合えるデザインイベント「alter. 2026, Tokyo」にぜひ足を運んでみては。

『alter. 2026, Tokyo』
会期/〜2026年11月1日(日)
会場/日本橋三井ホール
時間/12:00~20:00(最終日は19:00閉場)


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