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「残念。ここの牛乳パン、好きなんだよね」定休日の店先の一言→俺がサービスエリアに3回寄ったわけ

  • 2026.11.1
ハウコレ

最初のサービスエリアの売店に、探していた物はありませんでした。車に戻るたび、助手席の彼女にどう切り出せばいいのか分からなくなっていきました。

その数時間前、シャッターにかかった定休日の札を、彼女の後ろから読み返しました。初めての遠出デートで、彼女が寄りたいと言ったのはこのパン屋だけでした。下調べはしたのに、定休日を見落としていたのです。

見落としていた定休日

付き合って3カ月の彼女と、車で2時間ほどの湖のある町へ出かけた日のことです。店も道順も、ほとんど俺が決めていました。定休日の札の前で、彼女がつぶやきました。

「残念。ここの牛乳パン、好きなんだよね」

スマホで店の情報を開き直すと、定休日の欄にはその日の曜日が書かれていました。画面から顔を上げて、彼女に頭を下げました。

「ごめん、定休日まで見てなかった」

「大丈夫、また来ればいいし」

笑ってくれた彼女に、うなずいて車のキーを握り直しました。けれど、その「また」が本当に来るのか、自信はありませんでした。

トイレと言って向かった売店

帰りの高速に乗ってすぐ、最初のサービスエリアに入りました。彼女には「ちょっとトイレ寄っていい?」とだけ伝えたものの、本当の行き先は売店でした。歩きながら調べると、地元の牛乳パンはサービスエリアにも並ぶと分かり、棚を端から見て回りました。それでも、それらしい物は見つかりませんでした。

2回目のサービスエリアの棚に残っていたのは、牛乳パンと書かれた値札だけ。2回続けて手ぶらで戻る気になれず、自分用の缶コーヒーを1本買って車へ戻りました。彼女の分を買うことは、思いつきもしませんでした。

「疲れてる?」

助手席の彼女の声が、少し硬く聞こえました。

「ううん、大丈夫」

探していると言えば、見つからなかったときにまた彼女をがっかりさせてしまう。そう考えると、前を向いて短く答えるしかありませんでした。

棚に並んだ3種類の牛乳パン

3回目の看板が見えたときには、もう言い訳を考える余裕もなく、黙ってウインカーを出しました。

売店のパンの棚に、包装の違う牛乳パンが3種類並んでいました。どれも、あのパン屋のものではありません。彼女が好きだという味に近いのはどれなのか、俺には見当がつきませんでした。

しばらく棚の前で迷ったあと、3つともレジへ。

車に戻り、袋の口を広げて彼女に差し出しました。

「どれか分かんなかったから、全部買った」

膝の上にパンを並べた彼女は、しばらく俺とパンを見比べてから、声を上げて笑い出しました。

「3つも食べられないよ」

そして...

ひとしきり笑ったあと、彼女が言いました。

「なんかずっと落ち着かないから、怒ってるのかと思った」

「え、そう見えてた?」

探すことばかり考えていて、隣からどう見えるかまでは頭が回っていませんでした。照れくさくて、ハンドルを指でたたいてごまかしました。

パンは1つを半分に分けて食べたものの、あの店の味と比べてどうだったのかは聞きそびれたままです。

1回目と2回目の売店のことは、結局まだ話せていません。探し回ったと言えば、恩を着せるようで格好が悪い気がしたのです。

次のデートの候補を送るとき、今は店の名前の横に定休日も書き添えています。あの湖の町のパン屋は、候補の一番上に残したままです。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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