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「彼女には内緒で」と打った俺が、友人に頼もうとしていたこと

  • 2026.11.1
ハウコレ

友人からの返事を待っていたスマホに、届いたのは付き合って2年近くになる彼女からのメッセージでした。開いてみて、ようやく自分が送り先を間違えていたことに気づきます。友人に頼むはずだった一通は、いちばん読まれたくない相手に届いていました。

机の上の小さな袋

1年目の記念日に、彼女が選んでくれたのが腕時計でした。毎日つけていたその時計を、先月、友人たちとのフットサルで転んだ拍子にコートの柵へぶつけてしまったのです。

ガラスにはひびが入り、針は止まったまま。それ以来、時計は布の袋に入れて机の上に置いていました。

フットサルの場にいた大学時代からの友人が、自分も時計を直してもらった店があると教えてくれました。友人の知り合いがやっている小さな店で、一緒に行けば話を通してくれるそうです。

次に彼女と会うのは、付き合って2年の記念日の食事。それまでに直して、何事もなかったように手首につけていくつもりでした。

「彼女には内緒で頼みたいんだけど、この前教えてくれた店、今度一緒に行ってくれない?」

その一通を、俺はチャットの一覧で友人のすぐ下にあった彼女に送ってしまったのです。

打っては消した返事

「これ、私宛てじゃないよね?」という彼女の言葉を見て、すぐに打ち返しました。

「ごめん、友達に送るつもりだった」

続けて事情を書こうとして、打った文を消しました。時計を壊したと書けば、それで済む話です。けれど、彼女が選んでくれたものを自分の不注意で壊したと、メッセージで伝える気になれませんでした。

迷っているうちに、彼女から次のメッセージが届きました。

「内緒って、何のこと?」

壊れたと打っては消し、フットサルでと打っては消し。何通分もの文面が、送られないまま消えていきました。結局送ったのは、これだけです。

「今度会ったとき、ちゃんと話す」

彼女からは「わかった」とだけ返ってきました。

内緒にしたかった本当の理由

そのあと、友人に同じ文面を送り直しました。事情を知った友人から届いたのは、「それ、先に彼女に言えばよかったんじゃない?」という一言。しばらくしてから、店に行くのは彼女に話してからにすると返しました。

内緒にしたのは、彼女を悲しませたくなかったから。そう思っていましたが、本当は、大事にしていなかったと思われるのが怖かっただけかもしれません。直してから何も言わずにつけていけば、壊したこと自体をなかったことにできる。そんな都合のいい考えでした。

会うまでの数日、彼女にはいつもどおりのメッセージを送り続けました。

そして...

記念日の待ち合わせの改札で、彼女を見つけて手を上げました。

レストランの席に着いてから、鞄から布の袋を取り出し、止まった時計をテーブルに置きました。フットサルで壊したこと、直してから何も言わずにつけてくるつもりだったこと。順番に話すと、彼女は時計を手に取り、ひびの入ったガラスをしばらく見ていました。

「直るなら、一緒に取りに行こうよ」

時計は今、友人に紹介してもらった店に預けてあります。財布に入れた預かり票を、ときどき取り出しては受け取りの日付を確かめています。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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